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もし「5億円の借金」を背負ったらどうするか…30代の開業歯科医が約20年で完済した"節約以外の方法"

プレジデントオンライン / 2025年1月28日 8時15分

いのうえ歯科医院理事長 井上 裕之 - 写真=本人提供

お金を稼げる人とそうでない人の違いは何か。歯科医の井上裕之さんは「若いうちに成長のための自己投資をしたかどうかだ。私は30代はじめにクリニックを開業した時点で5億円の借金があったが、成功哲学を学ぶために何百万円もするセミナーを受講し、高額な教材も購入した」という――。

※本稿は、井上裕之『結果を出し続ける人が行動する前に考えていること 無理が勝手に無理でなくなる仕組みの作り方』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。

■プロフィールを褒められるのは「予想通り」

先般、ある懇親会の場で、実業界で大きな功績を上げているシリアルアントレプレナー(連続起業家/生涯にわたって、新規事業を立ち上げる起業家)にごあいさつをさせていただきました。

僭越(せんえつ)ながら拙著をお渡しすると快く受け取っていただき、そして私のプロフィールに目を留め、「立派なご経歴ですね」と好意を示してくださいました。

評価をいただけたことを光栄に思いつつ、一方で、「予想通り」の反応でもありました。

なぜなら私は、相手に評価をいただけるよう、「他者に説得力のあるプロフィールを計画的に作ってきた」からです。

■単なる自己紹介ではなく、人生の設計図

私は、

「相手が同業者であれば、こういう内容が書いてあると評価が高いのではないか」
「相手が実業家であれば、こういう肩書を評価してくれるのではないか」
「こういうポストや役職を載せられたら、社会的に認められるのではないか」

と想定し、「プロフィールに書く内容を増やすための行動」をしています。もちろん、相手に評価されることだけを目的にしているのではなく、「自分はこうありたい」が大前提ですが。

私にとってプロフィールは、単なる自己紹介ではありません。プロフィールには、「自分の実績や経験を振り返ってまとめる」という自己回顧の側面だけでなく、「これから自分はどうなりたいのか」という未来を描く「人生の設計図」でもあるのです。

「プロフィールに書く内容が増える」=「理想の自分に近づいている」ことをあらわしています。

■歯科関連だけで10個の肩書がある

私の「歯科関連の肩書(歯科医師、講師、教授、経営者)」が「国立、私立」「日本、海外」と網羅的なのは、複数の肩書を広く持つことで、

「影響力を強化できる」
「キャリアを多角的に発展できる」
「誰と接するかに関わらず、一定の評価を得ることができる」

と判断し、そのために行動した結果によるものなのです。

井上裕之の役職(歯科関連)
▼ 島根大学医学部 臨床教授
▼ 東京医科歯科大学 非常勤講師
▼ 東京歯科大学 非常勤講師
▼ 北海道医療大学 非常勤講師
▼ 昭和大学歯学部 兼任講師
▼ ブカレスト大学医学部 客員講師
▼ インディアナ大学歯学部 客員講師
▼ ニューヨーク大学歯学部 インプラントプログラムリーダー
▼ ICOI(口腔インプラント学会)ディプロメイト(指導医)
▼ 日本歯科審美学会評議委員

「プロフィールに書くことがない」「プロフィールに書ける内容が増えていかない」としたら、その理由は、「こういう自分になりたいという理想を持っていない」からです。

まずはなりたい自分の姿を探してイメージし、そのために必要な経歴や肩書や実績は何かを考え、一つ一つ積み上げてほしいのです。

「なりたい自分なんて、すぐに思いつかないよ、見つからないよ」ということでしたら、1年後や5年後といったそこまで先じゃないスパンでもいいので、できるところから取り組んでみてください。

歯の治療中の診察室
写真=iStock.com/iryouchin
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/iryouchin

■とにかく節約するか、さらにお金を使うか

5億円の借金があったとします。

Aさんは、お金を返すためにせっせと働き、やりたいこと、ほしいものを我慢して、「返済し終えた! もう一度学校にでも行って学ぼう」と考えました。

Bさんも、お金を返すためにせっせと働き、一方で、自分を成長させるためにお金をどんどん使いました。

さて、ここでクイズです。どちらが早く借金を返せるでしょうか?

答えはBさん。これは私自身の経験です。

■若いうちにブレーキをかけてはもったいない

借金があると、多くの人はAさんのように、「まずは借金を返さなくては」と節約に励みます。無駄なお金は使わないようにしようと考えます。

借金は人の行動にブレーキをかけてしまうため、自分の成長のための投資もおろそかになります。節約に躍起になるのは、「借金のプレッシャーに負けている」「お金に負けている」からこそ。

真面目に働き、節約して、こつこつと返済すれば、いつかは借金を返せるでしょう。しかし、膨大な時間がかかってしまいます。40年、50年かかって完済したとして、そのときに果たして何歳になっているのか……。

そこから何かを成し遂げたいと学び始めても、「ときすでに遅し」となる場合がほとんどでしょう。一生懸命に学んでも、能力も知力も体力も追いつかないからです。

やはり、できるだけ若いうちに、成長のための自己投資をしたほうがいい。できるだけ若いうちに、学びにお金を注ぐ必要があります。

「もう自分はそんなに若くないんだけど……」とおっしゃる方もいるかもしれません。自己投資は早いに越したことはありませんが、でしたら、やるなら今です。冷静に考えれば当たり前のことですが、今が現実的に最も若いわけですから。

■5億円の借金があるのに、1億円を使った理由

私は30代のはじめに歯科医院を開業しました。開業資金や住まいの増改築、家族の負債などで銀行から5億円の融資を受けました。言い換えると、借金が5億円あったのです。

開業以降考え続けていたのは、「1日でも早く借金を返済するにはどうしたらいいか」。その結果、「自分が成長してより多く稼げるようになるしかない」という結論に至ります。だから、成長のための投資は惜しみませんでした。

歯科医師として最新の歯科技術を学ぶのはもちろんのこと、成功哲学を徹底的に学びました。何百万円もするセミナーを受講し、高額な教材も購入しました。自己投資額はトータルで1億円ほどです。

100万円束3つと敷かれている大金
写真=iStock.com/Hanasaki
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Hanasaki

自己投資をして自分を磨くと、知識も技術も高まり、他の人と違うレベルの高い仕事ができるようになります。人よりどんどん輝いていきます。

仕事ができて、輝いている人の周りには人が集まり、周囲の人たちからはもっとお金を払おうと思ってもらえるようになります。

すると収入がどんどん増えるため、その分、借金も早く返せます。

■クリニックを留守にしたことは後悔していない

仕事ができるようになると、何よりも人生が楽しくなります。

借金を返したいからと、自分の好きなことをあきらめたり、出かけるのをやめたり、何も買わなくなったりするのは避けるべきです。節約に心を奪われると、現状に留まるだけの人生になりますから。

水が溜まると淀むように、人も留まり続けるとくすんでしまいます。水は流せばきれいになるように、人も留まらずに行動することが輝く秘訣です。

さらに私は自己成長のため、海外でのセミナーにも参加したため、クリニックを空けることもありました。周囲からは、「院長が不在だと患者さんが来なくなるよ」と心配する声も聞こえてきました。

しかし、「借金を早く返すには自分を早く成長させるしかない」と結論づけたので、自分で決めた道を選びました。借金がのしかかっているのは自分の肩です。返す方法は自分で決めるしかありません。

人に言われた通りにして人生がダメになるより、自分の意志で決めたことでダメになったほうが納得できると考えたこともあり、このような行動をとり続けました。今振り返っても、この行動は間違っていなかったと考えています。

■休日も家族旅行中も勉強し続ける日々

「成功するために、こんなにたくさん学ぶことがあるんだ」「これを学ぶと成功できるんだ」と思うと楽しくてしかたありませんでした。

同時に、爪の先から頭の髪の毛1本まで、すべてに成功哲学をしみ込ませようと必死でした。寝ても覚めても四六時中、勉強勉強の日々です。

時間さえあれば、成功哲学の本を読み、何百万円もするセミナーにも通いました。就寝中もオーディオブックを聴いていました。休みの日は、朝から晩まで勉強しました。

家族で旅行をしている最中も、おかまいなしに勉強を続けます。家族が観光に行っている間、私はホテルの部屋でセミナーのDVDを観ていました。

■約20年で借金を完済することができた

成功哲学のセミナーで配布された資料は、自分なりにカスタマイズし、オリジナルに作り直して活用しました。

たとえば、顧客へのアプローチ方法に関する資料を整理するときは、「顧客」という言葉を「患者さん」に、「会社」という言葉を「歯科医院」に置き換えるなど、自分の言葉にして考え、データ化し、自分の歯科医院経営に合致した資料に作りかえていました。そして、院内のスタッフとシェアして活用したのです。

この作業によって、より深く理解できて、成功哲学を机上のものではなく、自分にしみ込ませることができました。

人から「気の遠くなる作業ですね……」と言われたこともありますが、自分としては楽しくて、やりたくてしょうがない作業だったのです。

私は惜しみなく自己成長に投資しながら、5億円の借金を20年ほどで完済しました。50代に入ってからは無借金で歯科医院の経営を続けています。

借金があればあるほど、自分を磨く必要があります。自分を磨けば磨くほど、早く借金を返せるからです。

■借金があっても動き続ける人、止まる人

もし、借金に負けそうになったら、自分にこう言い聞かせてみましょう。

「おまえ(借金)になんか負けないよ。自己投資して倍にして仕返ししてやるから」

井上裕之『結果を出し続ける人が行動する前に考えていること 無理が勝手に無理でなくなる仕組みの作り方』(クロスメディア・パブリッシング)
井上裕之『結果を出し続ける人が行動する前に考えていること 無理が勝手に無理でなくなる仕組みの作り方』(クロスメディア・パブリッシング)

試練は「神様が私たちの信念を確かめる機会である」と私は考えています。

たとえば、「借金でそこから動けないだろう」と神様から言われているとしましょう。

実際、8割の人はそのまま止まって動けません。

しかし、ここでこう考えてください。

「自分は動くよ。止めようとしたって無理。無駄な抵抗はやめなさい」

こうして、「動き続ける2割の人」になれば、あっという間に借金は返済できるでしょう。

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井上 裕之(いのうえ・ひろゆき)
いのうえ歯科医院理事長
歯学博士、経営学博士、東京医科歯科大学非常勤、インディアナ大学客員講師など国内外7大学の役職を勤める。世界初のジョセフ・マーフィー・トラスト公認グランドマスター。ベストセラー『「学び」を「お金」に変える技術』(かんき出版)、『本物の気づかい』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)など、著書多数。

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(いのうえ歯科医院理事長 井上 裕之)

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