親指2本を使って20秒間動かすだけ…マッサージへ通う前に試してほしい「ガチガチに固まった首」をほぐす方法
プレジデントオンライン / 2025年1月28日 16時15分
※本稿は、理学療法士キリツ『根本から体を整える 姿勢復元完全バイブル』(KADOKAWA)の一部を再編集、一部を書きおろししたものです。
■筋肉を鍛えても姿勢は改善しない
理学療法士として10年以上、姿勢の改善に取り組んできました。その中で、私はあることに気づきました。
いくら弱い筋肉を鍛え、硬くなった筋肉を伸ばしても、根本的な姿勢の改善には繋がらないということです。
ストレッチや筋トレ、整体といった従来の方法は、崩れた姿勢を「外側から」整える方法です。
一時的に効果があったとしても、すぐに元に戻ってしまう、あるいは別の場所に負担がかかってしまう…そんな経験はありませんか。
これは、根本的な原因に対処していないからです。そこで、神経生理学・脳科学に基づいた、体に本来備わっている姿勢コントロールシステムを活性化させるアプローチを確立しました。
無理に矯正するのではなく、眠っている体の力を目覚めさせることで、自然と美しい姿勢が身につきます。自然だからこそ、効果が持続するのです。
本記事では、デスクワークやスマホの使用によって、現代人の多くが抱えている「ストレートネック(亀首・スマホ首)」の解消法を取り上げていきます。
■姿勢が悪くなる原因とは?
ですがその前に、「なぜ、あなたの姿勢が悪くなってしまうのか」その背後にあるメカニズムをまずは、解説していきます。
姿勢が悪くなる原因は、大きく分けて「重力の影響」と「体の重心の位置」の2つに集約されます。
私たちは常に、地球の中心に向かって働く「重力」の影響を受けています。重力に対して、体の筋肉が適切に働いていないと、体は徐々に重力に負けてしまい、姿勢が崩れてしまうのです。
例えば、長時間デスクワークをしていると、頭の重みで背中が丸くなり、猫背になってしまいます。これが、重力に負けて姿勢が悪くなっている典型的な例です。
また、人間の体は、常に「重心」を一定の位置に保とうとするメカニズムが備わっています。
例えば、猫背の状態で長時間座っていると、頭が体の軸よりも前に出てしまい、重心が前方に偏ってしまいます。
この状態から立ち上がろうとすると、そのままでは前に倒れてしまうため、体は無意識に腰を反らせたり、骨盤を前に突き出したりして、バランスをとろうとします。その結果、反り腰やスウェイバック(※上半身が下半身より後ろに位置し、骨盤が体の前方に移動している姿勢)といった姿勢となってしまうのです。
このように、重心の位置がずれた状態になると、体はバランスをとろうとして余計な負担をかけてしまい、それがさらなる姿勢の悪化に繋がってしまうのです。
ここまで見てきたように、悪い姿勢は、重力にうまく抵抗できなかったり、重心をうまくコントロールできなかったりすることが大きな原因となっています。
つまり、悪い姿勢を根本から改善するためには、単に「筋肉が硬い」「筋肉が弱い」といった部分的な問題だけでなく、「重力」と「重心」という、体全体に影響を与える要素を理解し、コントロールすることが重要なのです。
では、具体的にどう対処すればいいのか。ここでは重要な知識と、最低限やっていただきたい簡単な実践法をお伝えします。大きくは3つの要素です。
■まずは首の軸を知ろう
長時間のデスクワークや猫背などの悪い姿勢によって、首や肩、胸の筋肉は緊張し、本来の感覚(※五感のほか、位置覚や運動覚、平衡覚などのこと)が鈍ってしまっています。感覚を意識することで、脳への入力がよりスムーズになり、反射(※脳が体の状態を感知し、無意識に筋肉に指令を出し、姿勢を調整するシステム)が働きやすくなります。
まずは、緊張した筋肉を優しくほぐし、体の各部位からの感覚を呼び覚まし、感覚のスイッチをONにすることが重要です。
ストレートネックの場合は、まずは「首の軸を知る」ことから始めましょう。軽くあごを引いてから、首をゆっくりと前に曲げていきます。この時「首の骨は耳の下から始まっている」ことを意識してみましょう。
耳の下を軸に、そこからまるで首の骨を1本ずつ丁寧に曲げていくようなイメージで、ゆっくりと頭を下ろしていきます。あごを胸に近づけるように、真下を見ましょう。今度は逆の動きで、首の骨を1本ずつ伸ばしていくイメージで、ゆっくりと頭を上げていきます。額とあごが床と垂直になるまで、丁寧に頭を戻しましょう。
■親指2本でできる簡単トレーニング
ただ闇雲に体を動かすのではなく、体の感覚に意識を集中することがポイントです。特に、重力を感じながら体を動かすことで、より効果的に姿勢調整システムを活性化できます。
ストレートネックは、「うなずく」ような小さい動きを繰り返すことで、感覚を入れます。額とあごのラインが垂直になるようにあごを軽く引き耳の下を支点に、頭が背骨の上に自然に乗っている状態を意識します。正座やイスに座り、両手の親指を重ねてあごに軽く当てます。
親指で軽く抵抗を加えながら、「ウンウン」と小さくうなずくように頭を前後に10回動かします。耳の下を軸に、首の下の部分が曲がらないように、あごの小さな動きを意識しながらゆっくりと動かします。喉仏のあたりが優しく収縮するのを感じながら行いましょう。
■首のインナーマッスルを活性化するエクササイズ
インナーマッスルは、意識しなくても姿勢を支えてくれる、まさに「縁の下の力持ち」のような存在です。このインナーマッスルを活性化することで、神経を通じて体が自然と良い姿勢をとれるようになるのです。
インナーマッスルを意識するエクササイズに加えて、重力を感じながら体を動かすことで、反射的にインナーマッスルが働き、より効果的に姿勢復元を促します。
まずは、鼻できれいな円を描くように、ゆっくりと頭を回していきます。この時、目印を一点に見つめ続け、視線は動かさないようにしましょう。左右それぞれ10回行います。
次は、床に四つん這いになります。頭が背骨の延長線上にあるように姿勢をとります。耳の下を軸に、首の骨を1本ずつゆっくり曲げていきます。あごを胸に近づけるように、ゆっくりと頭を下ろしていきましょう。今度は逆の動きで、首の下から首の骨を1本ずつ伸ばしていくイメージで、ゆっくりと頭を上げていきます。ゆっくりと左右に10回行ってみましょう。
最後は、正座やイスに座り、タオルを両手で持ち、頭の上にかけます。タオルを下に引っ張る力に抵抗するように、頭を真っ直ぐ上に伸ばしていきましょう。この時、頭の後ろが気持ち良く伸びているのを感じてください。これを10回繰り返します。
いかがですか。もう一度、体の感覚を感じてみましょう。首の後ろの緊張が和らぎ、動かしやすく軽くなったように感じたらOKです。
簡単ではありますが、知識と実践法をご紹介いたしました。
これらの要素は、それぞれが独立しているのではなく、互いに密接に関係し合いながら効果を発揮します。感覚を入れることで、体の状態を正しく認識できるようになり、インナーマッスルを効果的に使えるようになります。
また、インナーマッスルが活性化することで、感覚もより研ぎ澄まされていくという好循環が生まれます。この3つの要素をバランス良く鍛えていくことで、「感覚→神経→筋肉」という反射の経路が活性化され、最終的には「自然と正しい姿勢になる」という素晴らしい結果に繋がっていくのです。
私は、理学療法士として働き始めてからも、思うように患者さんの症状が改善しない時、悔しい思いを何度もしました。「どうしたらもっと良くなるのか」と必死に勉強し、試行錯誤を繰り返しました。
そして、患者さんの回復に共に喜び分かち合い、感謝の言葉をいただいた時の喜びは、何物にも代えがたいものでした。これらの経験を通して得た知識や技術、試行錯誤の過程が、この姿勢を良くするための内容に繋がっています。
「姿勢」という言葉には、体のかっこうだけでなく、「態度」という意味もあります。外見の姿勢と内面の姿勢は、切り離すことのできない関係にあるのです。皆様が心と体の両面から、より良い人生を歩むためのヒントを見つけていただければ、これ以上の喜びはありません。
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理学療法士
10 年以上の臨床経験を持つ理学療法士。 解剖学や脳神経学の専門知識を活かし、姿勢に特化したアプローチを確立。セミナーやレッスンを通じて、たくさんの人々の姿勢改善をサポートしている。また、SNSでの情報発信力にも力を入れており、わかりやすい解説と効果的なエクササイズの提案をし、総フォロワー数10万人(2024年12月現在)を超える支持を得ている。
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(理学療法士 理学療法士キリツ)
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