順番を誤ると「不用品の処分」は一生終わらない…片づけのプロ"こんまり"流「家で最初に手を付けるもの」
プレジデントオンライン / 2025年1月29日 16時15分
※本稿は、川原卓巳『人生は、捨て。自由に生きるための47の秘訣』(徳間書店)の一部を再編集したものです。
■片づけに「浮気」は厳禁
では実際に、手放すモノを入れる箱やゴミ袋を用意して片づけに取りかかりましょう。その際に重要なのは片づける順番です。麻理恵さんは、次の順にモノを見極めていくことを推奨しています。
衣類を片づけている途中で、目に入った書類に手をつける。その書類をめくっている途中で、かたわらの小物に目移りし取捨選択をはじめる。そんな行き当たりばったりのやり方はNGです。
作業中に浮気はしない。あくまでこの順番にのっとって「モノ別」にまとめて処理していきましょう。それがいちばん効率的なのです。場所別ではなく、「モノ別」に片づける。これもこんまりメソッドの大きな特徴のひとつです。
どうして衣類から取りかかるのか。それは「ときめきセンサー」が発動しやすいから。つまり、「捨てる/残す」の判断がいちばんつきやすいからです。
そして衣類の次に判断しやすいのが本。さらにその次が書類。ひるがえって、もっとも判断にあぐねるのが思い出の品というわけです。
■アルバムや写真は「ラスボス」
写真や手紙や記念品といった「思い出品」は、歳月とともに増えていきます。それはあなたが生きてきた証しそのもの。だからそう易々とは手放せない。「捨てる/残す」の判断に行き詰まってしまいます。
日中に片づけをはじめたものの、ふと開いたアルバムや卒業文集にのめり込み、気づくとそのまま夕方になってしまった。そんなことも珍しくないでしょう。
思い出品は、片づけの勢いを削いでしまう恐れがある。ですから最後の最後に回しておく。いわばラスボスです。
■すべてのモノは目に見えない付加価値をまとっている
モノとは単なる物体ではありません。そのほとんどが可視化できない付加価値をまとっています。その付加価値には大まかに4種類あります。「機能」「情報」「感情」「希少」です。
役に立ちそう=情報価値
愛着がある=感情価値
なかなか手に入らない=希少価値
とうぜんそのモノがまとう付加価値が大きいほど、捨てにくくなります。むしろそれは捨ててはいけないモノかもしれません。
衣類は相対的に付加価値が小さい。着古した服は機能価値も下がります。高価な服であっても必ずしも愛着が湧(わ)くわけではないのもおもしろいところ。だから比較的、衣類は判断がしやすいのです。
かたや思い出の品には愛着を抱きがちだし、なにより希少価値は最高クラス。おいそれと捨てられないのはある意味とうぜんでしょう。でも、だからこそ「捨てる/残す」の判断をしっかりやり遂げないといつまでも埒(らち)が明きません。
自分とじっくり向き合い、残したいという誘惑を振り払う。そうして真の片づけをまっとうする。すべてはあなたが自由になるための作業なのです。
■なぜ服や本から手をつけるべきなのか
少し違った観点ですが、この片づけの順番が秀逸でほかにありえないと思う話をしておきたいと思います。それは自分にとって身近なところから手をつけているということです。
服は持ち物のなかでもっとも肌に近い存在です。つまり、触ったときの感覚で選ぶことがしやすい。その次は本。これは本自体も物質的に確かに触るものですが、それにあわせて頭や脳にも近い存在。なので、判断基準が触った感覚とともに、頭での感覚も使うようになります。
さらに、書類となるとその数自体が劇的に増え、かつ本にも近い感覚で選べるもの。ここまできたら、培った「ときめきセンサー」の感覚をもとに小物という大きなカテゴリーにチャレンジし、最後にもっとも難しいであろう「思い出品」を残すのみ。
どうでしょうか。もはや流れ自体が美しい。超納得の最善設計。こんなに選びやすい順番、ほかにありません。
■衣類は「収納から取り出して1つの山にする」ことから
前述のとおり、片づけでまず手をつけるべきは①「衣類」です。
捨てることの難易度が低い衣類からはじめていきましょう。そうして片づけの行為自体に勢いをつけていく。「捨てる/残す」の判断基準となるあなたの直感、「ときめきセンサー」がどんどん研ぎ澄まされていきます。
それでは取りかかります。ここは一気にやります。
まずは家のなかのあらゆる収納から衣類を取り出しましょう。それこそ持っている衣類すべてです。バッグや靴も衣類として扱います。そしてそれらをベッドか床の1カ所に集めます。すると大きな山ができました。続いてその山を次のカテゴリーに分別していってください。
②ボトムス(ズボン、スカートなど)
③羽織りもの(ジャケット、スーツ、コートなど)
④靴下
⑤下着
⑥バッグ
⑦小物(マフラー、ベルト、帽子など)
⑧浴衣・水着など
⑨靴
9つの小山ができました。この9つの小山を①から順に片づけていくのです。麻理恵さんによれば、その順番で取りかかるのが経験的にもっとも効率的だと言います。
ただし9つの小山に分けたら、そこでいったんひと息入れます。このひと息も大事です。
■衣類は意外といろんな場所に置きっぱなしになっている
麻理恵さんは依頼者の部屋を片づけるとき、小山に分けたタイミングで必ず相手にこう声をかけます。
「もうどこにも衣類はありませんか? 大丈夫ですか? これ以降に出てきた衣類はあきらめてください」
すると多くの方が、はっとしてその場を離れ、あらたな衣類を手に戻ってきます。アメリカで撮影したNetflixの番組でも、同じような場面に何度も出くわしました。世界共通でいろんな場所に服は置きっぱなしになっているようです。
ですから、あなたも落ち着いて頭をめぐらせてください。持っているすべての衣類はここにありますか? クローゼット。ベッド下の収納。寝室のタンス。玄関まわり。車のなか。すべてチェックしましたか? ほかに置いてある場所はありませんか? ほかに衣類は眠っていませんか? もういちど最後に確認してください。
■冬は夏服、夏は冬服から手をつける
最後の確認がすんだらいよいよ判断に入ります。まず①トップスからいきます。
真っ先に手をつけるのはオフシーズンの服です。オンシーズンの服は「近いうちにどこかで着るかも」と迷いが生じがち。ですからオフシーズンの服から手をつけていきます。
1着ずつ手に取り、ときめきセンサーを作動させます。「この服は、ときめくのか」。ときめく服は残し、ときめかない服は感謝して手放す。こうして、ひとつひとつのモノと丁寧に向き合い、心を使って進めていきます。
その際、自分にこう問いかけるのもいいかもしれません。
次のシーズンも“ぜひ”着たい服か?
今日、急に気温が変わったらいますぐ着たい服か?
この質問にもYESであれば、それは堂々と残しておきましょう。しかし、もしそうでないなら「いままでありがとう」と感謝し、お別れましょう。
■「残した服の活躍の機会が増える」と考える
そうやって取捨選択していくと、ゴミ袋はいっぱいになっていきます。「着る服がなくなるんじゃないか……」と不安になるかもしれません。でも心配ご無用です。その調子で片づけを進めてください。
ときめく服、必要な服はちゃんと手元に残ります。むしろ、その残した服たちがよりいっそう活躍する機会が増える。そのように考えることもできます。どんどん膨らむゴミ袋は、片づけが前に進んでいる証拠。言い換えれば、みずからの生き方が磨き上げられている結果だと考えてください。
オフシーズンの服を片づけ終わったころには、あなたのときめきセンサーは一段と洗練されています。そのまま今度はオンシーズンのトップスに取り組みます。
だんだんと片づけそのものが楽しくなってくるはずです。手を止めず、同じ要領で⑨の靴まで一気にやり遂げてください。
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KonMari Media Inc. CEO
1984年広島県生口島生まれ。プロデューサー。大学卒業後、人材系コンサルティング会社に入社し、のべ5000人以上のビジネスパーソンのキャリアコンサルティングや、企業向けのビジネス構築・人材戦略を手がける。2013年に同社を退職し、近藤麻理恵のマネジメントと“こんまりメソッド”の世界展開をプロデュース。近藤の著書『人生がときめく片づけの魔法』シリーズを世界累計1400万部の大ベストセラーに導いた。2016年に活動拠点をアメリカに移し、「KonMari」ブランドの構築をさらに拡大させるとともに、日本発コンテンツの海外展開にも注力。2021年公開のNetflixオリジナルドキュメンタリー「KonMari “もっと”人生がときめく片づけの魔法(Sparking joy with Marie Kondo)」でエグゼクティブプロデューサーを務め、デイタイム・エミー賞を受賞する。2023年、「川原卓巳 プロデュースの学校」を設立し、グローバルに活躍するプロデューサー人材の育成に取り組んでいる。著書に『Be Yourself 自分らしく輝いて人生を変える教科書』(ダイヤモンド社)、『川原卓巳 プロデュースの学校〈上・下〉』(匠書房)。
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(KonMari Media Inc. CEO 川原 卓巳)
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