これを食べると大腸がダメージを受ける…認知症専門医が10年前から絶対に口にしない、みんな大好きな食材
プレジデントオンライン / 2025年1月30日 10時15分
※本稿は、白澤卓二『Dr.白澤の実践メソッド 100寿をめざす認知症最新戦略』(主婦の友社)の一部を再編集したものです。
■毒は気づかないうちにたまっていく
長い間、人体の中枢を担う脳は、異物が入り込むことができないよう、厳重に守られていると考えられてきました。ところが、2019年にアルツハイマー病患者の脳からジンジバリス菌(※1)が発見された、という論文が発表されて医学界に大きなインパクトを与えました。脳の守りは鉄壁ではない、ということが示されたからです。
※1 歯周病の原因菌。認知症、動脈硬化、脳梗塞、心筋梗塞、誤嚥性肺炎などへの関係が指摘されている。動脈硬化・認知症予防には歯と歯ぐきのケアがとても大切。
また、デール・ブレデセン博士(※2)の説では「脳になんらかの異物が入ると、それと戦うためにアミロイドβが発生し、やがて毒性の強いタンパク質へと変質して神経細胞が機能障害を起こす」となっています。
※2 アルツハイマー病など中枢神経変性疾患の世界的権威。カリフォルニア大学サンフランシスコ校で多くの研究を行う。
体内に毒を入れないことが大切ですが、私たちは呼吸や食べ物、皮膚などから外界のものと接触していて、カビ、重金属、内分泌を乱す物質など、さまざまな有害物質にさらされています。有害物質を完全にシャットアウトすることは不可能ですし、それを考えながら生活することは、非常にストレスがたまるでしょう。
できないことに注力するよりも、私たちの体に備わっている、有害物質を排泄するメカニズムを強化するほうが現実的ではないでしょうか。
体内に有害物質が入ったとしても、汗、尿、便などと一緒に体外に排泄されます。運動や入浴で汗をしっかりかき、腸内環境を整えて快便を促すことは何よりのデトックスになります。エアコンの効いた部屋で汗をかかずに過ごし、ストレスで便秘しがちな人は、体内に有害物質がたまっていく一方です。いますぐ生活を見直しましょう。
また、毎日の食事に、有害物質の排泄を促す解毒作用のある食品を取り入れることも解毒に役立ちます。次ページから紹介する、ブレデセン博士がすすめる特に解毒作用が強い食品を、毎日の食事にできるだけたくさん取り入れることも、認知症予防に役立ちます。
■脳の毒を出す食材1 香菜
脳に蓄積した重金属を排出
独特の強い香りがあり、アジアではシャンツァイ、パクチー、コリアンダーなど、さまざまな名前で知られています。クセがあるので好き嫌いが分かれますが、脳を解毒する最強のデトックス野菜です。古くから健康に役立つ野菜として知られ、古代エジプト・ギリシャ・ローマなどでは医療にも利用されていたそうです。
ビタミンやミネラルを豊富に含むうえ、水銀や鉛など、体内の重金属の排泄を促す作用もあります。動物実験では、生殖器や脳に蓄積した重金属(鉛)の排出を促す効果が確認されており、アルツハイマー病予防の強い味方と言えるでしょう。
強力な抗酸化作用、サルモネラ菌やカンジダなど病原菌を殺す抗菌作用もあります。最近は、日本でも栽培されていて、スーパーなどで1年を通じて販売されています。
■脳の毒を出す食材2 ブロッコリー
二重三重のデトックス効果
抗酸化ビタミンと呼ばれるビタミンC、代謝を促すビタミンB1やB6、葉酸が豊富に含まれていて、認知症予防だけでなく健康長寿に役立つ野菜です。
私たちの体内では常に代謝が行われ、エネルギーや細胞をつくっているのですが、その過程でホモシステインという物質が発生します。ホモシステインが体内にたくさん存在すると、神経細胞や血管にダメージを与え、認知症や動脈硬化のリスクが高まります。
ブロッコリーに多く含まれるビタミンB6や葉酸には、ホモシステインを無毒化する作用があります。実際、これらのサプリメントを摂取すると、ホモシステインの数値が下がり、認知症の症状がよくなるそうです。
また、芽の部分に含まれているスルフォラファンは、有毒物質を排泄し、炎症の抑制に役立ちます。効率的にとりたいのであれば、スプラウトを生で食べるのがおすすめです。
■脳の毒を出す食材3 キャベツ
解毒を担う肝臓をサポート
体内の有害物質を解毒する役割を担っているのが肝臓です。肝臓は体外から侵入した有害物質(病原菌)や、体内で代謝の過程で生じた有害物質を、毒性の低い物質に変える役割を担っています。
キャベツに含まれているイソチオシアネートには、肝臓の解毒機能を高める作用があります。また、抗酸化作用も強いので動脈硬化予防にも役立ちます。イソチオシアネートは辛み成分で、キャベツをはじめ、わさびや大根、小松菜、かぶ、ブロッコリー、カリフラワーなどアブラナ科の植物に含まれています。
そのほかにも、抗酸化作用の強いビタミンC、胃の粘膜を修復するメチルメチオニンなども含まれています。
キャベツよりも栄養価が高い芽キャベツ(ビタミンCは約4倍、食物繊維は約3倍)もおすすめです。シチューやポトフに、丸ごと入れて食べましょう。
■脳の毒を出す食材4 ルッコラ
おいしいだけじゃない解毒野菜
ごまのような風味や、食べたときのピリリとした辛さがおいしいと人気のハーブです。日本で食べられるようになったのは最近で、ピザにのせたり、生ハムに合わせたり、サラダにしてそのまま食べたりします。
ルッコラの辛みの元はグルコシノレートという成分で、肝臓の解毒機能を助けます。葉酸も多く含まれているので、認知機能の低下をもたらすホモシステインの無毒化を促してくれます。
また、キャベツと同様、アブラナ科の植物なのでイソチオシアネートも含まれていて、ダブルのデトックス効果があります。
肝臓の働きが活性化すると、体内に有毒な物質がたまりにくくなります。複数の解毒効果のあるルッコラは、アルツハイマー病の予防や改善に役立ちます。スーパーなどでも販売され、手に入れやすくなりました。ぜひ活用しましょう。
■脳の毒を出す食材5 きのこ
排便は最大のデトックス
有毒物質や代謝で発生した老廃物を体外に排泄するシステムのなかで、もっとも大きな役割を担っているのが排便です。便秘がちな人は、体内に有害物質がたまりやすく、アルツハイマー病のリスクが高くなります。
便秘の改善に役立つのが、きのこに多く含まれている食物繊維です。食物繊維をたくさんとると、蠕動(ぜんどう)運動が活発になって便通がよくなりますし、有害物質もより多く排出されます。また、食物繊維を多く含むものは噛みごたえがあります。よく噛んで食べることは認知症予防や動脈硬化予防に役立つので、その意味でもきのこはおすすめです。
もうひとつ、きのこで注目されているのがエルゴチオネインです。記憶力や集中力を高める効果があり、神経細胞を増やすという報告もあります。きのこ全般に含まれていますが、突出して多いのが、鮮やかな黄色いきのこタモギタケです。
■脳の毒を出す食材6 しょうが
血流がよくなれば解毒もアップ
アルツハイマー病の要因のひとつに「脳の血流が悪い」という報告があります。体内の有害物質は、血液とともに肝臓に送られて無害なものに分解され、腎臓や腸に送られて、尿や便として体外に排泄されます。
脳の血流が悪くなると、有害物質の排泄がうまくできなくなり、アルツハイマー病のリスクが高まるのでしょう。
しょうがの血流をよくする働きは、デトックスに一役買っています。また、しょうがに含まれる、ショウガオールやジンゲロールなどの辛み成分には、強い抗炎症作用があり、動脈硬化の予防にも役立ちます。
最近、インドネシア原産のジャワしょうがに含まれるバングレンという成分に、脳の海馬の神経細胞を増やす作用があることがわかり、注目を集めています。徳島文理大学の研究グループは、バングレンの摂取で軽度認知障害の改善が期待できると報告しています。
■脳の毒を出す食材7 にんにく
強いにおいは強力な殺菌成分
にんにくの独特の強いにおいは、アリシンというイオウ化合物によるものです。アリシンには強力な殺菌作用があり、体内のカビや病原菌を殺してくれます。
カビや病原菌が体内にいると、それらが出す毒素や慢性的な炎症で、脳がダメージを受けます。にんにくはそのリスクを下げるのに一役買ってくれます。
また、アリシンには代謝をスムーズにするビタミンB1を助ける働きもあります。糖の代謝に欠かせないビタミンB1は体外に排出されやすいのですが、アリシンとビタミンB1が結びつくと、体内に長くとどまるアリチアミンという物質になって、ビタミンB1の吸収率を高めます。
アルツハイマー病の患者さんは、ビタミンB1が不足しているケースが多く、ビタミンB1を摂取すると症状が改善したという報告もあります。
■脳の毒を出す食材8 緑茶・コーヒー
健康長寿には緑茶とコーヒー
緑茶にはホモシステインを抑制する作用があります。酸化したホモシステインはアミロイドβの毒性を増加するので、緑茶の強力な抗酸化作用は認知症予防に役立ちます。
東北大学医学部の研究では、70歳以上の高齢者約1000人を対象とした研究で、緑茶を1日2杯以上飲んでいるグループは、認知機能の低下が少なかったそうです。
また、緑茶に含まれているカテキンには、細胞のがん化を抑える、動脈硬化を予防するなど、さまざまな効果が確認されています。
コーヒーもまた、細胞のがん化を抑制、血糖値の上昇をゆるやかにする、認知機能の低下を予防するといった報告があります。
欧州で約700人を10年間追跡調査したところ、コーヒーを1日に3杯飲む人は、認知機能の低下がもっとも少なかったそうです。4杯以上では逆効果という報告もあるので、飲み過ぎないようにしましょう。
■毒を入れないためにグルテン&添加物フリー
腸の炎症を招くグルテン
グルテンとは、小麦に含まれるタンパク質です。グルテンは欧米人に多い、セリアック病、グルテン過敏症などを引き起こすため、欧米では「グルテンは有害」という認識が広がりつつあります。アメリカでは人口の約5%がグルテンに敏感という報告がありますが、日本人はもっと少ないとされています。
ただ、私は日本人にも多いだろうと感じています。それは、私のクリニックで抗体検査を受けた患者さんの、約半数がグルテンに対する抗体を持っているからです。
グルテンの抗体を持っていると、体はグルテンを「これは毒だ! 攻撃対象だ!」と認識して攻撃します。グルテンの抗体を持っている人にとって、グルテンを含む食品はすべて毒になります。
グルテンの抗体を持っている人が小麦を食べると、全身で炎症が起きます。特に影響を受けるのが大腸の粘膜です。炎症がひどくなると食べ物の消化・吸収がうまくできなくなって、さまざまな不調におそわれてしまいます。認知機能にも影響を与えるでしょう。
さらに、グルテンが体内で分解されると、麻薬のような働きを持つ物質に変化します。中毒性がありますから、大好きで食べるのをやめられない、という人も少なくないでしょう。これもグルテンの困った点です。
こうしたグルテンの弊害を知った10年以上前から、私はパンを食べていません。食べたいなと思うことはありますが、知識が邪魔をして食べられないのです。
私が代表をつとめる群馬県・館林の介護付き有料老人ホーム「Residence of Hope 館林」でも、グルテンフリーを宣言し、徹底してグルテンを排除しています。
中毒から抜け出すのはつらいかもしれませんが、1〜2週間程度食べるのをやめてみてください。中毒から抜け出せば、以前ほど食べたいという欲求におそわれなくなります。
グルテンを食べ続ける限り、体内の炎症は悪化します。「体に毒だ」ということを肝に銘じて、思い切ってグルテン断ちすることが、認知症予防になります。
■超加工食品はできるだけ避ける
「超加工食品」とは、長期間保存できるよう、複数の食品添加物を加えて高度に加工した食品の総称です。欧米ではこれらが与える健康への悪影響が指摘されていて、2019年の2月にはアメリカの医学雑誌『JAMAInternal Medicine』に、フランスの研究班が4万7000人を対象に17年間かけて調査した、超加工食品の消費と死亡リスクとの関連性を示す論文が発表されました。
私は食品を購入するときには、自分の口に入るものの素性をチェックするため、必ずパッケージの原材料をチェックしています。
すると、コンビニエンスストアで食品を購入することは、ほとんどなくなりました。体への悪影響が疑われる、食品添加物が多数使われていたからです。
認知機能が低下し始める50代以降は、こうした食品添加物はできるだけ避けたほうがいいと私は考えます。
安心で安全な食生活を手に入れたいのであれば、手作りがベストです。
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白澤抗加齢医学研究所所長、お茶の水健康長寿クリニック院長
医学博士。お茶の水健康長寿クリニック院長。白澤抗加齢医学研究所所長。テレビや雑誌、書籍などのわかりやすい健康解説が人気。『Dr.白澤の アルツハイマー革命 ボケた脳がよみがえる』(主婦の友社)、『脳の毒を出す食事』(ダイヤモンド社)、『「いつものパン」があなたを殺す』(訳・三笠書房)、『「お菓子中毒」を抜け出す方法』(祥伝社)など、著書・監修書多数。
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(白澤抗加齢医学研究所所長、お茶の水健康長寿クリニック院長 白澤 卓二)
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