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お米でもパンでもない「朝食のお供」に意外なリスク…医師が警告「血糖値を上げないのに糖尿病を招く」食材の名前

プレジデントオンライン / 2025年2月11日 18時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/GMVozd

健康な体を保つためにはどんな食生活を送ればいいのか。糖尿病専門医の矢野宏行さんは「健康にいいと思われがちだが、とりすぎると糖尿病リスクを高める食材がある」という――。

※本稿は、矢野宏行『薬に頼らない糖尿病の大正解』(ライフサイエンス出版)の一部を再編集したものです。

■「バランスよく」が大前提だが…

Web上や雑誌には、「この食品を食べて糖尿病が良くなった」「この栄養素を摂って血糖値が下がった」などという健康情報がたくさん紹介されています。糖尿病患者さんの中にはこうした健康情報を見てついつい同じ食品ばかりを食べ続けてしまう方がいます。

糖尿病になってもタンパク質、炭水化物、脂質などといった栄養素をバランスよく摂ることは大切です。

そうした前提を踏まえたうえで、血糖値を下げる食べ物(図表1)について見ていきましょう。

【図表1】血糖値を下げる食べ物
水溶性食物繊維を豊富に含んだこんにゃく、しいたけや海藻類、血糖値を下げるスルフォラファ ンを含んだブロッコリーなどがお勧め。[出所=『薬に頼らない糖尿病の大正解』(ライフサイエンス出版)]

まず、糖尿病の方にお勧めしたいのが、食物繊維を豊富に含んだ野菜や海藻類です。

食物繊維の中には水溶性食物繊維、不溶性食物繊維がありますが、とくに水溶性食物繊維は糖質の吸収をゆっくりにして、血糖スパイクを防いでくれます。水溶性食物繊維が豊富な食品としてはこんにゃく、しいたけ、わかめ、昆布などがあります。

筆者註※血糖スパイク=インスリンの働きが弱まり、食後の血糖値の上昇を抑えられないことが原因でインスリンの大量分泌が起こり、血糖値が急降下してしまう現象。血糖スパイクは、健康な人でも起きている。食後に頻繁に眠気に襲われる/夕方になると体がだるくなる/無性に甘い物を食べたくなるなどのサインがあったら要注意。この状態が続くと将来糖尿病になるリスクが高まる。

■毎日食卓に常備したい野菜

また、野菜の中でもとくにお勧めしたいのがブロッコリーです。

ブロッコリーには食物繊維が豊富に含まれるだけでなく、インスリン抵抗性を下げるスルフォラファンという物質が含まれています。研究では「ブロッコリーから抽出されたスルフォラファンを摂取させたところ、肥満および2型糖尿病患者の空腹時血糖を改善した」という報告があります。

※Axelsson AS, et al. Sulforaphane reduces hepatic glucose production and improves glucose control in patientswith type 2 diabetes. Sci Transl Med 2017; 9: eaah4477.

その他にもスルフォラファンには抗酸化作用、がん予防、脂肪燃焼効果などがあり、糖尿病だけでなく、肥満や老化を防ぐ作用もあります。では、1日にどれぐらいブロッコリーを摂ればよいのでしょうか?

これについては諸説あるため、あくまで目安となりますが、毎日の食卓にゆでたブロッコリーを常備するとよいでしょう。私もブロッコリーが苦手で娘にそっとあげていましたが、血糖値を下げる効果を知ってからは、毎日ブロッコリーを食べるようにしています。

■キャベツ、カリフラワーで代用できる

なお、スルフォラファンはキャベツやカリフラワーなどにも豊富に含まれているので、ブロッコリーがない時は代用してみるとよいでしょう。

野菜や海藻類が血糖値を下げることは分かったけれど、これらがどうしても苦手という方がいるかもしれません。その場合は主食となるご飯に粒こんにゃくを混ぜたり、市販のカリフラワーライスを代用してみたりするのもよいでしょう。とくにカリフラワーライスはブロッコリー同様インスリン抵抗性を下げる効果も期待できるのでお勧めです。

ここまで糖尿病に良い食べ物を紹介してきましたが、これとは反対に糖尿病に悪い食べ物についても紹介したいと思います。

■果物に注意が必要なワケ

糖質制限に力を入れて炭水化物を減らしているのに、血糖値が下がらないという患者さんの話を聞いていると、日頃当たり前に食べている意外な食べ物が原因となって血糖値を上げていることがあります。

矢野宏行『薬に頼らない糖尿病の大正解』(ライフサイエンス出版)
矢野宏行『薬に頼らない糖尿病の大正解』(ライフサイエンス出版)

そこで、私がクリニックで患者さんを診てきた中でとくに注意したい食べ物について紹介したいと思います。

まず、糖尿病でとくに注意してほしいのが果物です。

巷では「果物はビタミンやミネラル、食物繊維などが豊富に含まれているので積極的に食べましょう」と言っているのを聞いたことがあるかもしれません。しかし、果物には果糖が含まれています。

果糖は直接血糖値を上げないものの、中性脂肪を増やしたり、脂肪肝の原因になったりするので注意が必要です。

※筆者註:脂肪肝=中性脂肪が肝臓に蓄積した状態。糖尿病のほか、肝硬変や肝臓がんのリスクを高める。

【図表2】糖尿病と脂肪肝
生活習慣などによって中性脂肪が蓄積してしまうと、インスリンを阻害する物質が発生し、糖尿病を発症することがある。[出所=『薬に頼らない糖尿病の大正解』(ライフサイエンス出版)]

■1日80キロカロリーを目安にする

では糖尿病になると果物をまったく食べてはいけないのでしょうか?

果糖と糖尿病の関連性を調べた研究を見ると、果糖の過剰摂取は糖尿病のリスクを高める、適度に摂取するのであれば、糖尿病のリスクを下げるなど見解が分かれています。

したがって、現段階では日本糖尿病学会が推奨する「1日80kcal分の果実摂取」を目安とするとよいでしょう。例えば、リンゴ半分(140g)、もも1玉(200g)、みかん2個(90g)などが目安となります。

※日本糖尿病学会.糖尿病食事療法のための食品交換表第7版.文光堂; 2013.

とはいえ、一口に果物と言っても、含まれている糖質量は異なります

※文部科学省科学技術・学術審議会資源調査分科会報告.日本食品標準成分表(八訂)増補2023年版.

【図表3】果物の100g当たりの糖質
出所=『薬に頼らない糖尿病の大正解』(ライフサイエンス出版)

糖質が豊富に含まれている果物にはバナナ、マンゴー、ブドウなどがあります。

一方、糖質が比較的少ない果物には、いちご、グレープフルーツ、もも、スイカなどがあります。

ただし、ドライフルーツやジャムやシロップ漬けの缶詰、フルーツジュースなどは血糖値を大幅に上げるのでなるべく控えてください。

■■避けた方がよい“朝の定番食”

さらに、朝食として食べることの多い食べ物の中にも血糖値を上げる物がたくさんあります。

例えば、菓子パンやパンケーキといった小麦を使った食べ物にはグルテンが豊富に含まれています。グルテンには「アミロペクチンA」という血糖値を上昇させる成分が含まれており、菓子パンやパンケーキの場合にはさらに甘味料が用いられているので血糖値を大幅に上げてしまいます。

また、コーンフレークやフルーツグラノーラといったシリアル類もお勧めできません。トウモロコシには糖質が豊富に含まれ、脂肪肝のリスクを高めます。フルーツグラノーラにも血糖値を大幅に上げるドライフルーツや小麦などが含まれているので注意してください。

バナナ、ブルーベリー、オートミールなどのボウル
写真=iStock.com/Synergee
※写真はイメージです - 写真=iStock.com/Synergee

■タンパク質と一緒にとる

もし、どうしてもこれらの食べ物が食べたい時は、パンやパンケーキの原料を小麦から全粒粉にしたり、ゆで卵、サラダ、ハム、ソーセージなどと一緒に食べたりするようにすると、血糖値を抑えることができるのでお勧めです。

研究でも「食事の際に糖質(炭水化物)・タンパク質・脂質を組み合わせることによって血糖値が大幅に下がる」ことが分かっています。

※益江毅『やせたい人はカロリー制限をやめなさい』(ダイヤモンド社)

また、サラダを食べるのであれば、食物繊維が豊富に含まれた野菜や海藻を使った物がお勧めです。ただし、ポテトサラダやマカロニサラダは糖質がたくさん含まれているので避けてください。

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矢野 宏行(やの・ひろゆき)
糖尿病専門医
やのメディカルクリニック勝どき院長。医学博士。1981年生まれ。2006年に日本医科大学卒業後、同大学附属病院に勤務。その後、国立国際医療研究センター研究所の糖尿病研究センターで糖尿病について研究をする。2023年、やのメディカルクリニック勝どきを開院。「Dr.ゆきなり」としてYouTubeでも情報発信をしている。著書に『ミスター血糖値が教える 7日間でひとりでに血糖値が下がるすごい方法』(アスコム)、『自分でできる! 薬に頼らない糖尿病の大正解』(ライフサイエンス出版)がある。

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(糖尿病専門医 矢野 宏行)

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