「日本人が歯を失う原因第1位」毎日3回歯を磨いているのに歯周病になる人の意外な共通点【2024下半期BEST5】
プレジデントオンライン / 2025年2月6日 8時15分
2024年下半期(7月~12月)、プレジデントオンラインで反響の大きかった人気記事ベスト5をお届けします。健康・医療部門の第4位は――。
▼第1位 マイナ保険証でがん治療断念する人が出る可能性…廃止される健康保険証に記載された最重要情報とは何か
▼第2位 がんや早死にのリスクを高めるだけ…和田秀樹が「女性は絶対に飲んではいけない」と話す危険な薬の名前
▼第3位 和田秀樹「実は一人暮らしの認知症患者ほど症状が進みにくい」…認知症の人にこれだけは絶対してはダメなこと
▼第4位 「日本人が歯を失う原因第1位」毎日3回歯を磨いているのに歯周病になる人の意外な共通点
▼第5位 「とりあえず薬を」という横柄な医師が"秒"で黙る…医師・和田秀樹が伝授「診察時に出すと効果的なアイテム」
■歯周病の怖さは「歯を失う」だけではない
歯は食事を楽しむことはもちろん、発音や顔の印象にも大きく関わっています。そんな大切な歯を失う原因の第1位の「歯周病」に、日本の成人の約8割がかかっていることはご存じでしょうか?
![](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/4/3/1200wm/img_43983d51ec462507b3a072c1261c75c0199557.jpg)
歯周病とは、歯の周りの骨や組織が細菌によって破壊される病気です。最初は歯茎の炎症から始まり、放置するとやがて歯を支える骨を破壊します。特に働き盛りの世代では、忙しさの中で口腔ケアが不十分になりやすく、気づかないうちに歯周病が進行してしまうことも少なくありません。
しかし、歯周病が恐ろしいのは単に歯を失うリスクだけではありません。実は全身の健康にも深く関係しています。
実際に私が救急医として勤務していた際、糖尿病などの病気と歯周病が同時に発生し、その影響で相互に病状が悪化していた患者を数多く見ました。歯と身体はお互いに影響することで、深刻な状態を引き起こすことがあります。
■妊婦が歯周病になると、出産に影響
では、歯周病と全身の関係には具体的にどのようなものがあるのでしょうか?
重要な血管が傷つく
歯周病菌が歯ぐきの血管を通じて全身に広がることで、血管の炎症を引き起こしたり、心臓の中に菌の塊を作って心臓や脳の血管をふさいでしまうことがあります。
また、糖尿病の患者は免疫力が低下しているため、歯周病が進行しやすくなると同時に、歯周病の慢性的な血管の炎症が血糖値の上下を激しくするという悪循環を引き起こします。
認知症の進行に影響
近年、歯周病と認知症、特にアルツハイマー型認知症の進行を助長する可能性が示されてきています。歯周病による慢性的な炎症や酵素が悪影響を与えるとみられ、関連性が研究されています。
低体重児・早産のリスク
若い女性にとっても歯周病のリスクは無視できません。妊娠中はエストロゲンという女性ホルモンのバランスの変化で歯周病にかかりやすくなると言われてます。
歯周病にかかることによって、低体重児および早産のリスクが7倍ほど高くなることも明らかになっています。これは、タバコやアルコール、高齢出産よりもはるかに高いリスクです。
![](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/9/e/1200wm/img_9eab6c9b8971ca82425047d3d3df8500270363.jpg)
■歯周病菌の「大好物」は炭水化物
歯周病は生活習慣が一番大きく関係します。以下のような生活習慣の方は、特に歯周病になりやすい傾向があります。ご自身の生活習慣を見直すきっかけにしていただければと思います。
①間食の多い人やタバコを吸っている人
間食が好きで、糖分の多い食べ物や飲み物を頻繁に飲んだり食べたりする人は、歯周病のリスクが高まります。
炭水化物は歯周病菌のエサになりやすく、口のなかに食べ物のカスが残る時間が長いと歯周病菌の繁殖を助長します。そのため、間食の回数を減らすか、間食後にすぐ歯磨きを行うなどして口の中を清潔に保つことが重要です。
また、喫煙者も非喫煙者に比べて歯周病のリスクが非常に高いことが知られています。タバコに含まれる有害物質は歯茎の血流を悪化させ、歯周病菌に対する抵抗力を低下させます。また、喫煙による歯茎の色の変化や出血が少なくなるため、症状が進行していても気づきにくい傾向があります。
■歯ブラシをしても40%の汚れが残る
②「歯ブラシのみ」で口腔ケアを済ませている人
口腔ケアとして最も一般的なのは、歯ブラシを使った歯磨きだと思います。しかし、実は、歯ブラシを使った歯磨きだけだと、60%しか歯垢を落としきれないと言われています。1日3回、食後に歯ブラシをしていても落としきれない40%の歯の汚れが積み重なることによって、歯周病に繋がってしまいます。
歯垢をきっちり落とすために、デンタルフロス(歯間ブラシでも可)を使うことが理想的です。1日3回フロスをするのが大変であれば、夜1回だけでも十分効果があります。
![歯磨き粉、歯ブラシ、デンタルフロス](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/e/1/1200wm/img_e1e5aa543cc616f7a7df769e1473b089142004.jpg)
③次の歯医者の受診日が決まっていない人
歯医者の定期健診を受けてない人は歯周病になりやすいです。歯肉に隠れている歯の部分は完璧に磨くことができないので歯垢がたまり、歯石になってしまいます。
そういった歯石を歯磨きで落とすことはできないので、歯科医院の定期健診で掃除をする必要があります。私の経験では、1年以上歯科検診に行っていない方は、ほぼ歯周病だと思ってよいと思います。
■フッ素で「歯の健康」の基礎固めを
色々問題となる生活習慣を挙げてきましたが、実はなんとなく知っていたというものではなかったでしょうか?
一番難しいことは今の生活習慣を変えることですので、ここでは理想的な対策は一旦置いておいて、まずは一歩踏み出すための実践的な改善策に絞ってお伝えしたいと思います。
・歯科医院に行く
まずは1回「歯のメンテナンスをしたくて」などの理由で歯科医院にいってみましょう。そうすればお口の状況に合わせて今後どうすれば良いか教えてくれると思います。
・フッ素入り歯磨き粉で歯周病を予防
歯磨き粉を選ぶ際には、フッ素が含まれているものを選びましょう。フッ素は、歯の表面を酸に溶けにくい状態に修復し、歯周病菌から歯を守ってくれます。歯の表面が酸で溶けると、歯周病菌が侵入しやすくなりますが、フッ素によって強固な歯を作ることで、虫歯や歯周病の予防につながります。
昨今、ホワイトニング歯磨き粉が人気ですが、ホワイトニング効果があまり期待できないものも多いように感じます。気づかずに歯周病になってしまっている状態でホワイトニングをしても本末転倒なので、まずはフッ素入りの歯磨き粉で歯周病予防をし、歯の健康を基礎からしっかり固めるほうが効果的でしょう。
・夜は歯磨きに加えてフロスを活用
自宅では歯磨きの一環としてフロスを活用して、歯と歯の間にたまった汚れを取り除くことが効果的です。ドラッグストアやコンビニでどれでも良いのでまず買ってみましょう。使い方はYouTubeなどで見て真似するのがよいでしょう。
フロスを使用する際は歯磨き前に使うほうが効果的です。フロスで先に汚れを取り除くことで、歯磨き粉の成分が歯に直接届きやすくなるからです。
![歯磨き粉、歯ブラシ、デンタルフロス](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/6/0/1200wm/img_60c1ef835d7f35b48fe09d3a1ebef30a216360.jpg)
■歯と歯茎の境目の汚れは水圧で洗い流す
もし、1日1回のフロスでもめんどくさいという方は、より簡易なジェットウォッシャーを使ってみましょう。
![](https://president.ismcdn.jp/mwimgs/9/a/1200wm/img_9aeb9a53268d265cad8ceae787d02529544683.jpg)
ジェットウォッシャーとは、細い水流を使って歯と歯の間や歯と歯茎の間を洗浄する手のひらサイズのガジェットです。通販サイトで3000円くらいの価格から販売されているので、手頃に始められます。
歯周病の要因となる歯と歯茎の境目の汚れは、歯ブラシやフロスで取り除くことが難しく、ジェットウォッシャーの水圧で洗い流すことで、より効果的に口腔ケアをすることができます。
歯周病は、初期段階では自覚症状がないため、気づかぬうちに進行してしまっているケースも少なくありません。
日本人の8割がかかっているという厚労省の調査からも、「自分は歯周病だ」という前提で治療を進めたほうが良いでしょう。毎日の口腔ケアや定期的な歯科検診、そして適切な生活習慣の見直しによって、予防しましょう。
本記事で紹介した、一歩を踏み出すための実践的な対策から取り入れていただき、日常生活の中で歯周病を防ぎ、全身の健康を保ちましょう。
(初公開日:2024年11月7日)
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医師
大分大学医学部を卒業し、医師として救急医療や在宅医療に携わる。医療現場で予防の重要性や予防に取り組んでもらうことの難しさを痛感し、予防を予防として実践してもらうのではなく、切り口をずらして結果予防につながっているという世界観を目指す。マウスピース歯科矯正hanaravi(ハナラビ)を提供する株式会社DRIPSを創業。歯科と医科を繋げるリリモアクリニック内科歯科の院長を務めながら、新聞やテレビ、WEBメディアなどで予防医療について情報を発信している。
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(医師 各務 康貴)
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