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営業メールを「概要」から書く人は仕事がデキない…小学生でもプレゼン上手になる「ハンバーガー」話法とは

プレジデントオンライン / 2025年2月12日 9時15分

※写真はイメージです - 写真=iStock.com/golubovy

取引先へのメールで営業や提案をするとき、どんなことに気を付けるといいのか。かつて裁判所書記官として、法廷で膨大なメモ取りをしてきた佐野雅代さんは「最初からメールを書くのではなく、メモを下書きにしたほうがいい。小学生でもプレゼン上手になる『ハンバーガー』話法がおススメだ」という――。

※本稿は、佐野雅代『その場で言語化できるメモ』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

■言葉は、「料理」みたいなもの

何かを効果的に伝えようと思うと、つい凝った表現や、自分のオリジナルの言葉を使わなくてはと考えがちになります。

でも、小説家やアーティストのような仕事なら別ですが、多くの仕事においては、むしろシンプルな言葉や表現のほうが好まれるのではないでしょうか。

私は常々、言葉というのは「料理」みたいなものだなと感じます。

たとえば、毎日の食事では、シェフのオリジナル料理のような、もの珍しくて作るのも大変な料理よりも、肉じゃがやカレーなど、手軽でみんなに好まれるおふくろの味のほうがよかったりしますよね。

日々の仕事や生活の中で求められる言葉も、小説のように斬新なセリフやあっと驚く展開よりも、できるだけシンプルな言葉で、お決まりのパターンに沿って表現するほうが伝わりやすいものです。

■企画書やプレゼン資料も“レシピ”を頼ろう

なので、企画書やプレゼン資料など仕事上の文章を書く場合も、まったくのゼロからオリジナルの流れや言葉を生み出す必要はありません。

上司や先輩が過去に作ってきた資料を参考にしたり、書式や事例集などをもとにして、ある程度決まったレシピ通りに作ったほうが、結局は伝わりやすい文章になるものです。

私が勤めていた裁判所というのは特に、広く国民みんなが利用するサービスですし、公平さが求められる仕事なので、書式や事例集通りに文章を書くことが重視されていました。また、ビジネスにおいては、お客様との信頼関係を築くために、人間心理に基づいた決まった流れや型に沿って伝えることが大事だといわれています。自分でゼロから考えるより、そうしたテンプレートを使ったほうが、速くて効果もあることでしょう。

このように、定番レシピのようなものを意識したうえで、そこに自分のアイディアを当てはめていくというのが、伝え方の基本的な考え方になります。

そして、料理を作るときには必ず、食べる相手のことを考えて、相手が食べやすい、好みに合った料理を作ろうと思いますよね。その感覚が、「相手目線」に立って伝えるという感覚に近いのではないかと思います。

■小学生でもできる「ハンバーガー話法」とは?

では、具体的にどのように伝わる言葉にしていくかというと、これまで書いてきたメモを使えば簡単です。

優秀作品や上司・先輩の資料などの構成をもとに、「枠」を作り、あとは枠を埋めるだけです。これだけで、企画書、報告書、プレゼン資料、スピーチ原稿など、基本的な文章のたたき台はすぐにできあがります。

ここではもっと簡単で、幅広く活用できる「伝わる形」の基本形を説明します。

私がよく使う基本形は、

・「ハンバーガーを作る」
・「左右ジグザグに伝える」

の2つです。

1つ目の「ハンバーガーを作る」というのは、いわゆる「PREP(プレップ)法」といわれる伝え方です。「Point(結論)→Reason(理由・根拠)→Example(事例・具体例)→Point(結論)」で構成します。最初と最後に結論を置くことで、相手に伝えたいことを印象づけることができるといわれています。

パンとパンで具材をはさむようなイメージで、「結論」と「結論」の間に「理由」や「事例」をはさみます。「ハンバーガー(またはサンドイッチ)を作るんだよ」と伝えると、小学生の子どもたちでも上手に発表できるようになります。

■「3つの質問」を意識する

この「P(結論)→R(理由・根拠)→E(事例・具体例)→P(結論)」の流れを作るときに、私が意識しているのは次のような点です。

・「一番伝えたいこと」(結論)を書く
・「なるほど!」と思える理由を書く
・「へぇ~!」と思える根拠を書く
・「あるある!」と思える実例を書く
・もう一度「一番伝えたいこと」(結論)を書く

メモに書き出した情報の中から、まずは結論=「自分が一番伝えたいこと」を述べます。これも、①伝える目的は何か? ②伝える相手は誰か? ③相手にどんな反応をしてもらいたい?の「3つの質問」を意識しながら、伝える相手は誰で、どんな反応をしてもらいたいかというゴールのイメージを持ちながら言葉を選びます。

そして、相手が「なるほど!」「へぇ~!」と言ってくれそうな理由や根拠(データや文献など)、「あるある!」と思えるような具体例をピックアップします。最後は、また結論で締めれば完成です。

こんな風に、相手の反応をイメージしながら言葉を選ぶことで、相手目線に立ったより伝わりやすい内容になっていきます。

■「提案メール」もハンバーガーで作れる

さて、それでは実際に「基本形①」の「ハンバーガーを作る」を使った例をご紹介しましょう。

PREP法
出所=『その場で言語化できるメモ』

「基本形①」が適しているのは、何か提案をするためのメールや企画書、報告書、プレゼン資料などです。

ここでは、一度、イベントを開催させてもらった相手に、自社のサービスを導入してもらうためのメモとメールの例を紹介します。

まずメモの左側に、日付とテーマを書きます。その下に伝える相手(この場合はメールの送り先)を書き、後日回答などを書けるようにスペースを空けておきます。右側の一番上には、先ほどの「3つの質問」を意識しながら、目的を書きます。

■メールを書く前に「メモ」で下書きを

・伝える目的は何か?
→イベント協力へのお礼と自社の英語メソッド導入についての提案

・伝える相手は誰か?
→放課後クラブの代表者

・相手にどんな反応をしてもらいたい?
→夏休み教室など、何らかの形でクラブの活動に取り入れていただく

また、その下に「基本形①:ハンバーガーを作る」の流れを意識しながら、伝えたい内容を書き出していきます。

提案メールを作成する
出所=『その場で言語化できるメモ』

■「なるほど!」「へえ~!」「あるある!」を意識して

・「一番伝えたいこと」を書く
→イベントのお礼と夏休み教室の提案

佐野雅代『その場で言語化できるメモ』(サンマーク出版)
佐野雅代『その場で言語化できるメモ』(サンマーク出版)

・「なるほど!」と思える理由を書く
→学校の英語教育の現状と放課後クラブに取り入れる理由

・「へぇ~!」と思える根拠を書く
→実際に学校の先生から聞いた話、別の学童クラブで取り入れた実績

・「あるある!」と思える実例を書く
→実際にイベントやレッスン、小学校での出前授業を行なって効果が上がっている内容

・もう一度「一番伝えたいこと」を書く
→夏休みの短期教室の導入について相談させてほしい

あとは、図表3のように、メモに書いた内容を上から順に文書の形にまとめていくだけです。説明の都合上、実際のメールより少し内容を簡略化していますが、メモから伝わる文章へまとめる流れを参考にしていただければと思います。

メール案
出所=『その場で言語化できるメモ』

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佐野 雅代(さの・まさよ)
元裁判所書記官、英語発音指導士
神奈川県出身。上智大学法学部国際関係法学科卒業。裁判所書記官として、横浜地方裁判所の民事部にて年間約2000件の裁判に立ち会い、法廷内でのできごとを調書にまとめる仕事を行なう。「公証官」とも呼ばれる、いわば「国家が認めたメモのプロ」。 また、最高裁判所の秘書課で海外出張のサポート業務などをする中で、企画書やプレゼン資料、会議の議事録、世界各国の裁判所や大学へ提出する依頼文書や履歴書、司法制度に関する調査報告書、お礼状にいたるまで、書記官としての約12年間を通じて様々な種類の文章を作成する。現在は、「音から言葉の力を伸ばす英語発音指導士」として、歌と絵本で学ぶ発音講座、おうち英語講座、英語の読み書き講座、女性のためのライティング講座などの運営や、講師の育成を行なっている。無料コミュニティ ことばのちから未来ラボ

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(元裁判所書記官、英語発音指導士 佐野 雅代)

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