セミナー『コロナ禍で検診率が低下する女性特有がんの予防』~がん早期発見が遅れる現状の課題と対策・フェムテックの可能性~事後レポート
PR TIMES / 2021年9月24日 17時45分
厚生労働省委託事業である、がん対策推進企業アクション(運営企業:株式会社ウインウイン)は、9月7日(火)にメディア関係者様向けに「『コロナ禍で検診率が低下する女性特有がんの予防』~がん早期発見が遅れる現状の課題と対策・フェムテックの可能性~」についてのセミナーを実施いたしました。
セミナーでは、東京大学大学院医学系研究科 総合放射線腫瘍学講座 特任教授 中川 恵一 (なかがわ けいいち)先生と、一般社団法人シンクパール 難波 美智代(なんば みちよ) 代表理事に登壇いただきお話を伺いました。以下に当日のレポートをご紹介いたします。
■話題提供~アンケート報告
一般社団法人シンクパール 難波 美智代(なんば みちよ) 代表理事
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1:コロナ禍におけるがん検診率の低下の危険性とその対策
2020年に実施した5つのがん検診(胃、肺、大腸、乳、子宮頸)の受診者はのべ約394万人であり、2019年と比較して30.5%減と大幅に受診者が減ったことが分かりました。これは、約2100ものがんが未発見になっている可能性があると言える数字です。
コロナ禍でのがん検診には3つ課題があり、1.「3密」を避ける予約システムの普及、2.効果的な受診勧奨、3.がん検診の優先度を上げるための正しい情報の啓発、です。この3つに課題が解決され、がん検診率の低下に歯止めをかけたいと考えています。
2: フェムテックの現状と可能性
人口減少やSDGsなど社会全体のニーズとトレンドが重なってフェムテック市場が拡大しています。フェムテックとは、「Female(女性)」と「Technology(テクノロジー)」を掛け合わせた造語で、女性特有の健康課題を技術の力で解決することを指しています。日本国内では2020年4月時点では51サービスだったフェムテック関連サービスが2020年12月には97サービスに拡大し、フェムテックへの注目度が高まっているといえるでしょう。
今後は、法律や制度の整備、利用者の視点や利益に基づいた評価ができているかが課題となりますが、今後広がっていく分野のひとつといえます。
3:がん対策推進企業アクション女性会議「Working RIBBON 」の活動報告
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「Working RIBBON」は、 働く世代の女性のがんを女性経営者・経営幹部を中心に啓発していくプロジェクトであり、予防、早期発見と就労の支援の促進に取り組んでいます。
11月は「Working RIBBON」月間に決定し、11月19日(金)第二回公開オフィシャルサポータ―会議の開催が決定しました。(https://www.gankenshin50.mhlw.go.jp/workingribbon/index.html)
■コロナ禍と女性のがん対策
東京大学大学院医学系研究科 総合放射線腫瘍学講座 特任教授 中川 恵一先生
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1:がんの現状「若いからがんにならないは間違い!」
現状がんによる死亡は年間38万人にも上り、これを365日で割ると毎日1040人もの方が亡くなっているということになります。また、30~40代では女性のがん患者数は男性を大きく上回っているということをご存知でしょうか。20歳から39歳のがん患者の約8割が女性であり、特に女性は「若いからがんにならない」という考えは間違っているということが分かります。子宮頸がんについては20~40歳代の若年層で罹患率が増加しており、乳がんについても40歳代後半の罹患率が大きく増加傾向にあります。
2:子宮頸がんは、検診とワクチンで予防できる。
がんによる死亡率は時代と共に減っていくものが多いのですが、子宮頸がんについては減るどころか増えており、今後も日本では子宮頸がんの死亡率の増加が予測されています。子宮頸がんは、制圧可能ながんの代表と言われており、検診受診率とHPVワクチン接種率が高いほど予防できる子宮頸がんの割合が高くなります。例えば検診受診率85%、HPVワクチン接種率85%だと95%に抑えることができると言われています。しかし、日本の現状は乳がん検診も子宮頸がん検診も、受診率はアメリカなどと比較して約半数程度にしか至っていないというデータがあります。
ただでさえ低い検診受診者、それに加えて新型コロナウイルスの蔓延により受診者が約3割も減っているのです。まずは検診を受け、発見することでリスクを下げることができるので子宮頸がん検診は20歳以上の女性、乳がん検診は40歳以上の女性に二年に一度受けていただきたいと思います。
3:子宮頸がんはワクチンにより予防ができる
子宮頸がんの原因は、HPV(ヒトパピローマウイルス)というウイルスです。性行動の多様化により、HPVが原因となるがんが子宮頸がん以外に出てきている現状もあります。また、性交渉の経験がある女性の80%以上が50歳までにHPV感染を経験すると言われており、ほぼすべての女性にリスクのあるがんと言われています。また、多くの場合は男性から感染することが分かっており、その事実はあまり知られていないという現状があります。
子宮頸がんはHPVワクチンにより予防できることが、スウェーデンの研究チームが実証し、17歳未満の接種でリスクを9割も低下できたといいます。日本では2013年6月に厚生労働省が定期接種化しましたが、ワクチンによる副反応とされる症状が原因で2か月後に積極的接種勧奨の中止を自治体に要請するに至りました。しかし、名古屋市で行われた「HPVワクチン接種と多様な症状に関する疫学的調査」によると、HPVワクチン接種と報告されている24症状発生との間に因果関係は示されなかったとされています。ほか、全国疫学調査「子宮頸がんワクチンの有効性と安全性の評価に関する疫学研究」でもHPVワクチン接種歴のない者においてもHPVワクチン接種後に報告され散る症状と同様の「多様な症状」を呈する者が一定数存在した、よってHPVワクチン接種と接種後に生じた症状との因果関係は言及できないと発表しました。
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4:少しずつ進んできたワクチン接種
少しずつHPVワクチン接種が進んできたというデータも出てきました。昨年の10~12月は特に多く「接種率は20%近かった」という報道や、10月に積極勧奨再開の検討を開始するという報道もありました。
最後に、中川氏は「“若いからがんにならない”というのは事実ではないということ、そして検診とワクチンで予防ができるがんがあるということをたくさんの方に知っていただきたいと思います。」と話し、セミナーを締めくくりました。
今後も、がん対策企業推進アクションでは、活動を通して正しい情報発信を行い、国民の皆様のがん対策の意識向上に努めてまいります。
■登壇者のご紹介
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中川恵一氏
東京大学医学部附属病院放射線科 総合放射線腫瘍学講座 特任教授
http://www.u-tokyo-rad.jp/staff/nakagawa.html
厚生労働省 がん検診のあり方に関する検討会構成員、がんの緩和ケアに係る部会座長、文部科学省がん教育のあり方に関する検討委員など。東京大学医学部医学科卒業後、東京大学医学部放射線医学教室専任講師などを経て現職。緩和ケア診療部長、放射線治療部門長などを歴任。著作には『コロナとがん』などがんに関する著書多数。日本経済新聞でコラム「がん社会を診る」を掲載中。
[画像6: https://prtimes.jp/i/86966/1/resize/d86966-1-274b4a0d1c2555b729ce-0.png ]
難波美智代氏
一般社団法人シンクパール 代表理事
https://www.kouenirai.com/profile/5250
金融機関での人事・秘書業務を経て29歳で起業。女性向けPRとイベントキャスティング及びプロデュースを行う。
2009年36歳の時に子宮頸がんを罹患したことをきっかけにシンクパールを設立。女性のがんをはじめとする予防医療の推進や女性の健康教育を行っている。現在、医療の一歩手前をつなぐ「女性からだ会議(R)」ファウンダーとして、学校や医療、政府機関と連携して、健康経営・ダイバーシティ等施策やコンテンツの提案を行う。
■がん対策推進企業アクションとは
厚生労働省がん対策推進企業アクション事業ではがん対策の普及啓発を目指し、企業内における「がん検診受診率向上」「治療と仕事の両立支援」に向けた啓発活動を行っています。
https://www.gankenshin50.mhlw.go.jp/index.html
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