能登半島地震で破損した陶磁器片を新たな造形物へ。金沢21世紀美術館「すべてのものと ダンスを踊って ―共感のエコロジー」にRediscover projectが出展
PR TIMES / 2024年11月2日 9時15分
令和6年能登半島地震で破損した九谷焼と珠洲焼の陶磁器片をベースに、輪島塗の技法で新たな造形物へと融合させた作品たちを展示。これまでにない表現を追求し、真の多様性を再発見する
石川県の伝統工芸に携わる職人や窯元、製造元等が集い、真の多様性を再発見することを目的に結成されたRediscover project(実行委員長:奥山 純一)は、2024年11月2日(土)から2025年3月16日(日)にかけて金沢21世紀美術館で開かれる「開館20周年記念 すべてのものと ダンスを踊って ―共感のエコロジー」に出展します。会場には、令和6年能登半島地震で破損した九谷焼と珠洲焼の陶磁器片をベースに、輪島塗の技法で新たな造形物に変えた作品が展示されます。
展覧会名:開館20周年記念 すべてのものとダンスを踊って―共感のエコロジー
会場:金沢21世紀美術館 展示室5~14、交流ゾーン
会期:2024年11月2日(土)~2025年3月16日(日)
ウェブサイト:https://www.kanazawa21.jp/
料金、休場日等は、HPにてご確認ください
金沢21世紀美術館 公式HP
2024年元日に発生した能登半島地震により、石川県各地で大量の陶磁器が破損しました。Rediscover projectの作品は、震災で破損した陶磁器片や、生産の過程で規格外となった九谷焼や珠洲焼といった石川県の工芸品がベースになっています。本来は廃棄される運命にあったこれらの素材たち、同じ石川県の工芸品でありながら交わることのなかった素材たちは、金沢に避難している輪島塗の職人が漆と金を用いた「金継ぎ」によって融合され、一つの生命体のように命を宿し、新たな表情を見せてくれます。
「Rediscover(リディスカバー)」とは「再発見」という意味があります。本来は、どんなものにでも、どんな人にでも、存在していること自体が尊く計り知れない価値がある。しかし私たちは、日々の慌ただしさや不寛容で分断が絶えない社会の中で本質的な価値を見失うことがあります。そんなとき、視点をわずかに変えるだけで、もともとそこにあるものの美しさに気づく瞬間が訪れるのです。私たちの作品を通して、来館者の皆様が自身の思い出や感情を「再発見」する機会となれば幸いです。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/138619/1/138619-1-9f7109a82800e095e2a71869d5163d7c-1477x868.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
展示イメージ。3列×8列、合計24のマスに理路整然と並ぶ陶磁器片のインスタレーション。プロジェクトはまだ発展途上で、今まさに実験中。そのプロセスが垣間見れる展示になっている
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/138619/1/138619-1-ef878c87cede66bc95d4dedfd9ed5298-1566x881.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
メインビジュアルの作品は、九谷焼の白磁に輪島塗の技法で金継ぎされた壺。その素材が持つ美しさや面白さを最大限に生かし、唯一無二の味わいを追求している
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/138619/1/138619-1-aaa998d751020e12fbd77a12823552a8-1706x960.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
もとは異なる九谷焼の壺だったもの。破損しなければ生まれなかった再現不可能な造形物だ。そして、これらを繋ぐのは輪島塗の漆である
[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/138619/1/138619-1-171c8f83922b6451cd7efe43b8b68d2e-1285x723.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
割れた珠洲焼の断面の凹凸を生かしながら、漆錆、研ぎ、黒漆を塗っては乾かしてを繰り返している。断面には金箔があしらわれ、見る角度により様々な表情を見せてくれる
[画像5: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/138619/1/138619-1-4083cb74bf3fdf8db9ef6e59e65b2403-1706x960.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
あらゆる九谷焼の陶磁器片が融合された造形物。どの破片も必要な存在で、支え合いながら絶妙なバランスを保っている
用語説明
(1)輪島塗:石川県輪島市の伝統産業で、何工程にも及ぶ堅牢な塗りと蒔絵や沈金、加飾の優美さが特徴の漆器
(2)珠洲焼:石川県珠洲市の鉄分豊富な土を高温焼成し、溶けた灰が自然釉薬となり、味わい深い灰黒色の美しさを生み出すのが特徴の陶器
(3)九谷焼:主に石川県南部で生産され、「九谷五彩」と呼ばれる赤・青・黄・紫・紺青を基調とした上絵付けで知られる色鮮やかな磁器
「開館20周年記念 すべてのものとダンスを踊って―共感のエコロジー」について
動物や植物、それに身近に転がる様々なモノたち。人間を取り巻く、ある限り全ての存在と共にダンスするように、この地球の抱える諸処の問題を乗り越えたい。金沢21世紀美術館は、開館20周年を迎える今年、「新しいエコロジー」という年間テーマに呼応して、本展を開催します。社会や精神までを含みうる、総合的なエコロジー理論の行く末を、アーティストの鋭敏な感性と観察を通じて作品として展示します。また本展では、同じヴィジョンを共有する科学者や哲学者などの研究者たちと協働し、専門的な内容を視覚化、可感化することで、感覚を通した学び(Sensory Learning)として見るものに伝えます。辺境を含めたアフリカ、南アメリカ、アジア、欧米の芸術家、クリエイターが集い、美術館の空間の中でお互いにダンスを踊るように生命と共に生き延びるための知恵を分かち合います。鈴木大拙、西田幾多郎を生んだこの金沢の地で、全てのものを包摂するヴィジョンが共生のプラットフォームとなります。
(金沢21世紀美術館 公式HPより引用)
主催:金沢21世紀美術館[公益財団法人金沢芸術創造財団]
助成:令和6年度 文化庁 我が国アートのグローバル展開推進事業、日本万国博覧会記念基金、在日フランス大使館/アンスティチュ・フランセ
協賛:エルメスジャポン株式会社、株式会社メルコグループ、アルスコンサルタンツ株式会社、株式会社テクニカルアイ、株式会社エイ・エム、ワイドクラフト株式会社、エステックホールディングス株式会社、株式会社Tocasi、株式会社LINNAS Design、OMO5金沢片町 by 星野リゾート、デロイトトーマツグループ、株式会社太陽テント北陸、株式会社中川ケミカル、Veuve Clicquot
協力:総合地球環境学研究所(上廣環境日本学センター)、国立民族学博物館、在日オーストラリア大使館、株式会社資生堂、三菱ケミカルグループ株式会社
後援:駐日ブラジル大使館、在日イタリア大使館、趣都金澤、北國新聞社
企画:金沢21世紀美術館 長谷川祐子、池田あゆみ、本橋仁
コ・キュレーター エマヌエーレ・コッチャ
Rediscover project ステートメント
人は時折、誰かが決めた画一的で完成されたものを美しいと思い込む。
規格外だといって価値あるものを弾き出す。
あの日、能登は分断された。電気や交通のインフラ障害だけではない。
「不要不急」、「ボランティア自粛」。
右向け右の秩序ある社会が、さらに分断を深めていったのだ。
Rediscover projectは、能登半島地震で破損した九谷焼や輪島塗、珠洲焼といった同じ石川県でありながら別々の工芸として成立していたもの、本来なら廃棄となる規格外や不完全とされるもの…あらゆるものを融合させ、新しい表現を追求している。
無数のかけらが、変幻自在に表現をなす。
一つとして同じものはない。一人として同じ人はいない。
その存在自体を尊重し、価値を見出そう。全ての職人にリスペクトを込めて。
目の前を覆うアンコンシャスバイアス(無意識の偏見)に気づくこと。
Rediscover projectは、真の多様性を再発見する。
完璧でないと弾かれる社会の縮図に、問いをかける。
「Stand with NOTO」から「Rediscover project」へ
2024年3月、能登半島地震がきっかけで立ち上がったプロジェクト「Stand with NOTO(Hope with NOTO)」。復興支援の一環として、まずは輪島塗の職人の仮設工房の設置と仕事創出に取り組んできました。クラウドファンディングによって資金を調達し、能美市に仮説工房を設置。また、九谷焼の陶磁器片をつなぐことで輪島塗の職人の仕事を創出。国内外で展示・販売も行ってきました。
活動開始から半年。震災復興のフェーズを経て、リフレーミングの機会を提供することを目的とした「Rediscover Project」へと変容し、次のステージへと進みます。廃棄される可能性のある伝統工芸品や異なる文化を持つもの、規格外のものを融合し、新しい表現を追求することで、新たな価値の再発見を提供します。
プロジェクト HPへ
Rediscover project メンバー構成
実行委員長
奥山 純一
江端 博行(輪島塗 蒔絵師)
江端 俊雄(輪島塗 蒔絵師)
慶塚 英信(輪島塗 作家)
大向 正浩(輪島塗 高州堂)
北野 広記(九谷焼 北野陶寿堂)
藤田 努 (九谷焼 藤田美山)
嶋田 守克(九谷焼 嶋田陶器)
伊野 功一(九谷焼 伊野正峰)
山前 敬洋(九谷焼 山前製陶所)
宮吉 勝茂(九谷焼 宮吉製陶所)
清水 武徳(珠洲焼 作家)
鍛治 ちえみ(珠洲焼 作家)
宮脇 まゆみ(珠洲焼 作家)
実行委員長プロフィール
[画像6: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/138619/1/138619-1-0e77ca1ee1b66a4596e59bd8dcf318fe-1108x1477.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
奥山 純一(Okuyama Junichi)
1984年生まれ、岐阜県出身。2012年、社会とのつながりに障がいを感じる人を対象にした福祉事業会社ヴィスト(株)を設立。2022年9月、創業から10年の節目で株式譲渡。
2023年(株)CACLを創設。九谷焼がさかんな石川県能美市に拠点を置き、誰もが自分の命を燃やせる社会を目指して活動している。2024年1月1日能登半島震災を受け、輪島塗の職人の仕事創出と工房再建に向け、プロジェクト「Stand with NOTO」を立ち上げる。
2024年8月、プロジェクト「Stand with NOTO」を変容させた「Rediscover project」を結成し、実行委員長を務める。
Rediscover project 活動歴
2024.03:東京開催「TCS24(TOKYO CREATIVE SALON 2024)」に作品を展示
2024.04:イタリア開催の「ミラノサローネ国際家具見本市」に作品を展示
2024.05:Redsicover projectの前身「Stand with NOTO」のクラウドファンディングにて、1,073人の支援により22,152,000円の支援金を達成
2024.9:九谷焼巨匠 武腰敏昭氏の壁画【望郷】、救出プロジェクト開始
2024.10:東京開催「Mikke Gallery」の「迷宮への介入展」に作品を展示
2024.10:石川・那谷寺をアートで彩る秋のナイトウォークイベント『NAKED夜さんぽ(TM) 石川・那谷寺』に作品を展示
お問い合わせ
Rediscover projectに関するお問い合わせは、下記までご連絡ください。
株式会社CACL
住所:石川県能美市辰口町リ56番地
TEL/FAX:TEL 0761-48-8004(担当:新谷) / FAX 0761-48-8005
設立:2023年6月
Eメール:contact@cacl.jp
URL:https://www.cacl.jp
Rediscover project 特設サイトはこちら
https://rediscoverproject.jp
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