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Access Partnership と国際大学グローバル・コミュニケーション・センター、日本における旅客輸送サービスの現状を調査

PR TIMES / 2024年9月4日 11時15分

移動需要を満たしているとは言えない現状で、特に公共交通機関の運賃に高い不満



政策コンサルティング会社のAccess Partnership (アクセス・パートナーシップ)と国際大学グローバル・コミュニケーション・センター(GLOCOM)は、日本の輸送サービスにかかる検証の第一弾として、既存の調査では例の少ない大都市圏以外の住民の移動実態について、全国的な利用者調査を実施しました。調査結果からは、日本の旅客輸送は、質の高さや安全性が評価される一方で、高齢化や人口減少といった社会の変化の中で、新たな課題に直面していることが明らかになりました。実に半数の人が、過去6ヶ月で「移動に苦労したことがある」と回答するなどアクセスの問題がすでに顕在化しつつあり、43%の回答者が将来の交通機関の維持に不安を抱えています。今後、全国民に十分な輸送サービスを提供し続けるためには輸送機関の現状と交通戦略の再検証が不可欠です。

本調査は2024年8月、日本に住む2,350名を対象に、独立系調査会社Tolunaを通じて
オンラインにて実施されました。地域ごとの特徴を理解するため、(1)人口5万人以下の市町村、(2)中都市(青森市、水戸市、静岡市、富山市、金沢市、岐阜市)、(3)人口の多い都道府県(東京都、愛知県、神奈川県、大阪府)の郊外地域の3つの地域に分け、バスや鉄道などの大量輸送機関、タクシー、そしてその他の個人輸送が、住民のニーズを満たしているかを調べたものです。

全地域で自家用車移動が中心だが、輸送サービスへの信頼も根強い
通勤・通学を含む週あたりの移動回数は平均4.9回で、22%の人が一日あたり1時間以上を移動に費やすことが分かりました。移動手段では、大都市の郊外では電車も3位に入ったが、いずれの地域でも自家用車が1位で、車依存が目立っています(表1)。一方、約半数(49%)の回答者が「日本の輸送サービスは諸外国と比べて優れている」と回答し、輸送機関への根強い信頼が表れています。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/148682/1/148682-1-14b0776c52a3c40d2108b319bd7aa4fa-562x493.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
表1:都市規模別に毎週利用する人が多い移動手段(回答者の割合)





移動需要を満たしているとは言えない現状:過去6ヶ月間に移動に苦労した人は半数に
「日本の輸送サービスは適切に移動ニーズを満たしていると思うか」という質問に対しては、「そう思う」と答えた人は40%、「そう思わない」が18%となりました。「自分の地域の輸送サービスが適切か」については、「そう思う」が31%、「そう思わない」が30%と拮抗しています。また、過去6カ月間に、通勤・通学・通院などを「問題なくできた」は34%に対し、「できなかった」は17%。現在の輸送サービスは、移動ニーズを十分に満たしているとは言えないことが明らかになっています。

「過去6カ月間に、移動に苦労したことがあるか?」という質問に対しては、「よくある(週1回以上)」が7%、「時々ある(月に1回以上)」が16%、「たまにある(半年に5回未満)」が27%で、合わせて半数の人が移動に苦労しています。さらに将来に渡っては、実に43%の人が、「高齢化や人口減少によって、将来の輸送機関の維持に不安を感じる」と回答しました。

次項以下で説明する通り、移動困難や不安の原因は、公共交通機関へのアクセス(利用しやすさ)、特に運賃が最大の課題となっています。

バスやタクシーでは利用しやすさに「不満」が「満足」を上回る
各輸送機関の利用しやすさ・アクセスに関する満足度を見ると、バス、タクシーは「不満」が「満足」を上回っています(表2)[1]。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/148682/1/148682-1-635332ec7362e2bf9ca05a25a82b5ae6-609x393.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
表2:輸送サービスの利用しやすさに関する満足する人の割合




[1] 各設問には「該当なし」「どちらでもない」の選択肢が含まれているが、表中には表記していない。

利用しやすさ・アクセスについては、大量輸送機関の課題としても上位に挙げられており(表3)、「行き先によっては接続が悪い」がどの地域でも上位3位にランクインしています。
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/148682/1/148682-1-2e6e9facd1e3a92f8d285514c4e21ed0-897x300.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
表3:都市規模別に利用者が感じる大量輸送機関の課題(回答者の割合)


大量輸送機関では33%、タクシーでは44%が運賃に不満
輸送サービスの項目別の満足度を見ると、運賃に関する強い不満も浮かび上がりました。大量輸送機関については、運転手の質、安全性については「満足」が「不満」を上回る一方で、運賃に関しては不満(33%)が満足(17%)のほぼ2倍となりました(表4-a)。タクシーでは、運賃に「非常に不満」が20%、「不満」が24%で、「非常に満足」「満足」を合わせた10%を大きく上回っており、運転手の質、待ち時間についても、不満が満足を上回る結果となりました(表4-b)。
[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/148682/1/148682-1-6e846aef1510bfbdb79761a4cbf11b42-902x273.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
表4-a: 大量輸送機関の項目別満足度

[画像5: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/148682/1/148682-1-4f5cad2979b415c2caf8bedfe302e8a3-899x298.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
表4-bタクシーの項目別満足度

[画像6: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/148682/1/148682-1-8cf0d4229fb8a1ec957a365d28ad2a99-899x361.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
表5:都市規模別に、利用者が感じる個別輸送手段の課題(回答者の割合)


この結果を見ると、タクシー運転手不足対策として言及されることの多い「タクシー運賃の値上げ」は、利用者の視点からすると厳しいものと言えます。今よりもさらにタクシーの需要が減ったり、地域の交通アクセスが悪化したりする懸念も残ります。

過疎地や高齢者の課題はより深刻
特に人口5万人以下の地方住民や、高齢者の問題は深刻です。今回の調査結果では、人口5万人以下の市町村に住む回答者ほど、通勤・通学に苦労している割合が高くなっており、「自分の地域の輸送サービスが適切だ」と答えた人の割合は、全国平均の31%に対し、人口5万人以下では17%となっています。地方住民は、輸送手段の選択肢が少ない傾向にあり、大量輸送機関へのアクセスが悪い上に、タクシーは運賃が高すぎると言う声が多く聞かれました。

また65歳から79歳の回答者では、「自分の地域の輸送機関は適切だ」と回答する人の割合が全国平均よりも低く、特に、仕事、旅行、通院の際に移動に苦労する人が多いことが明らかになっています。この要因としては、免許返納等により、輸送サービスへの依存が高いことが一因と考えられます。「地域のタクシーを増やしてほしい」と回答した80歳以上の高齢者は32%で、全国平均の20%よりも大幅に高くなっています。[2]

[2] 「地域のタクシーを増やしてほしい」という項目にどの程度同意するかという設問で、「強く同意する」「同意する」を選んだ人の割合。

交通アクセスの改善は、経済・社会的意義も大きい
交通アクセスの改善は、それそのものに価値があるだけでなく、経済成長の促進効果や社会的意義も大きく、特に地方や過疎地域における移動手段の改善は、子供の通学や高齢者の通院を支え、外食や外出の増加による地域産業の維持も期待されます。また地方と都市部とのアクセスが改善すれば、地方住民の就業機会が増え、また現在は大都市圏に集中する外国人観光客が地域に足を運ぶようになる可能性も考えられます。

今回の調査では、利用者のニーズと満足度に焦点を当てています。今年11月に発表予定のレポートでは、地域産業や観光客への調査を加え、交通問題の解決とその経済・社会的意義について、包括的な分析を行っています。

今後への期待は、大量輸送機関の維持・改善とオンデマンドサービスの拡大
最後に、急激に変化する社会情勢の中で、将来の移動手段への期待に関する項目については、下記の3つが上位となっています。

- 大量輸送機関の運賃を下げる(62%)
- 大量輸送機関の運行本数や運行地域を増やす(57%)
- 自転車や歩行者のためのインフラを改善する(51%)[3]

[3] 本設問は、「あなたの地域で輸送機関を強化するには、何が最も重要だと思いますか? 次の中から最も重要なものを3つだけお選びください。 」と尋ねた。

こうした既存の輸送システムの維持・改善に加え、より柔軟な新たなサービスの導入も求められています。回答者の30%が、「ライドシェアやオンデマンドバスなどの新たな選択肢を増やして欲しい」と回答。人口5万人以下の市町村では、その割合はさらに高く、35%となっています。

社会が高齢化、過疎化、労働人口減少という深刻な課題に直面する中、全ての人がいつでも便利に移動できる輸送サービスを維持・構築するためには、現状把握に基づく交通政策の再検証と強いリーダーシップが求められています。

本調査については以下のサイトでもご覧いただけます。
Access Partnershipウェブサイト:https://accesspartnership.com/insights/opinions/
GLOCOMウェブサイト:https://www.glocom.ac.jp/news/news/9819


Access Partnershipについて
Access Partnershipは、イノベーションを駆使して世界を支えます。複雑な規制上の課題を乗り越えられるよう企業や政府機関を導き、その展開を最適化し、成長を促進し、投資を呼び込むためのフレームワークを設計します。
Access Partnershipは、デジタル経済のあらゆる分野における専門知識を活かし、世界中の200以上の市場でサービスを提供しています。戦略の策定や政策の設計から、コンプライアンスの確保、成功の測定に至るまで、規制のあらゆる段階において専門的なアドバイスを行います。
変革的なテクノロジーには目的意識を持った政策が求められます。Access Partnershipは、この2つを組み合わせることで、あらゆる人々が公平にイノベーションの恩恵を受けられる世界を創造します。詳細については、https://accesspartnership.com/ をご覧ください。

国際大学グローバル・コミュニケーション・センターについて
1991年に設立された国際大学付属の研究所。設立以来、学際的日本研究や、情報通信技術の発展と普及に根ざした情報社会の研究と実践を活動の中心におき、産官学民の結節の場として、常に新しい社会動向に関する先端研究所であることを目指している。




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