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スマートフォンで簡単かつ高精度にジャンプ力を計測できる『修正滞空時間法』をApple OSのアプリ「JumpEye」に実装

PR TIMES / 2024年11月8日 1時15分

-スポーツのパフォーマンス・コンディショニングの正確な評価を実現-



[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/148883/1/148883-1-abf582f05d3ce4cedd3d42db8c2078c3-986x542.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]


この度、株式会社S-CADE.(弊社)は、慶應義塾大学体育研究所(大学院健康マネジメント研究科委員)の稲見崇孝准教授らの研究チームと共同して、ジャンプ高に影響を与えないセグメントの変位を基にスマートフォンを用いてジャンプ高を算出出来るアプリを開発しました。
ジャンプ高を正確に算出するには地面反力計という特別な機器を用いる「力積法」という信頼性の高い手法があります。この力積法は非常に精度が高い反面、機器が大きくて持ち運びが難しいこと(基本的に実験室にて測定)、さらに取り扱いに専門的な知識を要するため使用者が限定されるというデメリットがあります。
一方で、ジャンプ中の滞空時間を基に高さを逆算する「滞空時間法」は、軽量なマットなど簡易なデバイスを用いることで誰でも手軽に測定できるメリットがありますが、力積法と比較して最大10cmもジャンプ高を過大評価する可能性が先行研究で指摘されていました。
今回、研究チームらは滞空時間法の問題点を解消し、力積法とほぼ同等の精度でジャンプ高を測定することに成功しました。これらの技術は、弊社が開発した「JumpEye」アプリに実装され、スマートフォンのカメラを使用してジャンプの離地時の大転子の高さを画像上で水平線として記録し、ジャンプ後、再びその水平線を大転子が通過するまでの時間(修正滞空時間法)からジャンプ高を算出することが可能になりました。
スポーツのパフォーマンスやコンディションを鋭敏に捉える評価法にジャンプ高が推奨されはじめています。本研究により、競技スポーツの現場においても高精度な測定が可能となり、アスリートのパフォーマンスやコンディションがより正確に見える化されることが期待されます。
本研究成果は、2024年11月5日にInternational Journal of Sports Physiology and Performanceに掲載されました。


1.本研究のポイント
- ジャンプ高測定の精度向上:
従来の滞空時間法が持つ過大評価の問題を解消し、地面反力計を用いる力積法とほぼ同等の精度でジャンプ高を測定することに成功しました。
- 簡便な測定の実現:
スマートフォンのカメラを使用して、特別な機器を必要とせずに、誰でも簡単にジャンプ高を高精度に測定できるアプリ「JumpEye」を開発。スポーツ関連分野における産学連携による研究成果が社会実装されました。
- スポーツ現場での実用性向上:
新技術を導入することで、競技スポーツにおけるアスリートのコンディショニングをより正確に見える化し、現場での応用が期待されます。


2.研究背景
 多くのスポーツ競技で“速く走る”ことは高いパフォーマンスであり、良いコンディションであったことを示します。近年、“脚が速い人ほど、より高くジャンプできる”、という研究結果が明らかになり、様々なスポーツ競技の現場でジャンプ高が計測されています。
ジャンプ高は、様々なスポーツパフォーマンスと関連する重要な指標であり、ジャンプ動作中の力積から算出されるのがゴールドスタンダードとされています(力積法)。一方で、近年では軽量なマットなど様々な簡易デバイスを用いて、ジャンプ動作時の滞空時間からジャンプ高を算出することが可能となりました(滞空時間法)。しかし、従来の滞空時間法では、離地時と異なる姿勢で着地するとジャンプ高が最大10cmも過大評価されてしまうことが先行研究で指摘されていました(Yamashita et al., 2020)。そこで本研究では、スマートフォンアプリを用いたジャンプ高測定における従来の課題を克服するため、ジャンプ高に影響を与えないセグメントの変位を基にスマートフォンを用いてジャンプ高を算出する修正滞空時間法を提案し、その妥当性を検証しました。

3.研究内容・成果
 24名の男性の大転子(股関節の外側にある大腿骨の上外方にある突起)へ、事前にマーカーを貼付します。その後、地面反力計の上で全力の垂直跳びを実施し、その動作をスマートフォン(iPhone)のハイスピードカメラ(240 fps)で撮影しました。撮影した動画はS-CADE.社製のスマートフォンアプリ「JumpEye」にインポートされ、以下図1の手順にて解析しました。
(1) 対象者の足先が地面から離れる直前の大転子位置に水平線を挿入する(赤色水平線)図1−1.
(2) 落下してくるコマまで動画を進める図1−2.
(3) (1)で挿入した水平線へ大転子が落下した時点の鉛直変位に基づいて滞空時間とジャンプ高を算出する図1−3.
修正滞空時間法によって算出したジャンプ高はゴールドスタンダードである力積法によって算出したジャンプ高とほぼ同等の値(誤差:0.2 cm)かつ非常に強い正の相関関係(ρ = 0.987)を示しました(図2)。一方、従来の滞空時間法はジャンプ高を約3 cmほど有意に過大評価する結果となり、力積法との相関も修正滞空時間法ほど強くはありませんでした。これらの結果から、修正滞空時間法は従来の滞空時間法を上回る測定精度を有することが明らかとなりました。本研究の成果は、スポーツ現場における簡便かつより高精度なジャンプ高測定の実践に寄与するものであると考えられます。

[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/148883/1/148883-1-4536fe0b87e9d5d9d3fd3c2f73497b2c-1320x2062.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
【図1】スマートフォンアプリ「JumpEye」を用いた修正滞空時間法の手順

[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/148883/1/148883-1-8b50681fa2e8a2252676e82c2a6b88c4-480x490.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
【図2】力積法、従来の滞空時間法、修正滞空時間法で算出したジャンプ高の相関関係


4.今後の展開
 本研究では、最も一般的な自体重での垂直跳び動作(カウンタームーブメントジャンプ:CMJ)を用いて、修正滞空時間法の妥当性を検証しました。今後は、CMJ以外の様々な垂直跳び動作のジャンプ高測定においても、修正滞空時間法が本研究と同等の妥当性を有するかどうか、検証を進めています。


<参考文献>
Yamashita D, Murata M, Inaba Y. Effect of Landing Posture on Jump Height Calculated from
Flight Time. Applied Sciences. 2020; 10(3):776. https://doi.org/10.3390/app10030776


<原論文情報>
英文タイトル:Flight Time Method Modified: Development of a Novel and More Accurate Method for Measuring Vertical Jump Height Using a Smartphone Application
和文タイトル:修正滞空時間法:スマートフォンアプリを用いた新規かつより高精度な垂直ジャンプ高測定法の開発
著者名:西岡卓哉、山口翔大、稲見崇孝
掲載誌:International Journal of Sports Physiology and Performance


・「JumpEye」アプリについてのお問い合わせ先
株式会社S-CADE.
TEL:03-5942-7515 E-mail:information@s-cade.com

・研究内容についてのお問い合わせ先
慶應義塾大学体育研究所(大学院健康マネジメント研究科委員) 准教授 稲見崇孝(いなみたかゆき)
TEL:045-566-1068  FAX:045-566-1075 E-mail:inamit@keio.jp


・本リリースの配信元
株式会社S-CADE.広報担当
https://www.top.s-cade.com/

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