株式会社Kyuluxと日本曹達株式会社、有機EL発光材料の量産体制構築に向け資本業務提携契約を締結
PR TIMES / 2024年11月20日 12時45分
株式会社Kyulux(本社:福岡県福岡市、代表取締役社長:中野 伸之、以下「Kyulux」)と、日本曹達株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:阿賀 英司、以下「日本曹達」)は、次世代有機EL発光材料である熱活性化遅延蛍光材料(以下「TADF」)に関する量産体制構築に向け資本業務提携契約を締結しました。
今後、日本曹達はKyuluxに資本参加するとともに、量産体制確立に向けたプロセス開発ならびに設備投資を行い、Kyuluxは日本曹達の量産体制構築を技術面から支援することで、世界初となるTADFの量産と安定した供給体制を実現してまいります。
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20リットル反応装置を使用した量産用サンプル製造
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量産用サンプル材料の取り出し
【提携の背景】
Kyuluxは、有機ELディスプレイなどに用いる次世代有機EL発光材料の開発を行う九州大学発のスタートアップです。有機ELディスプレイは液晶に代わるディスプレイとして急成長が続く市場であり、今後より一層の高性能化・低消費電力化が求められています。Kyuluxが開発するTADF※¹は、レアメタルを一切使用しない環境負荷低減型の新規材料であり、このTADFをアシストドーパント※² として活用した有機EL発光技術Hyperfluorescence(TM)※³ は、高効率・高色純度・長寿命および低コストを同時に実現する究極の発光技術として今後さらなる事業拡大が期待されます。
Kyuluxおよび日本曹達の両社は2020年1月に共同開発契約を締結し、TADFの生産ノウハウの確立を目標に中間体に関する研究開発に取り組んでまいりましたが、今後の量産開始を見据え、さらなる連携が必要となったことから2024年10月に資本業務提携契約の締結に至りました。本提携により、高品質で安定したTADFのサプライチェーンを構築し、より一層の性能向上と販売強化を目指します。
日本曹達は、長期ビジョン「かがくで、かがやく。2030」、ならびに中期経営計画「かがくで、かがやく。StageII」において、独自技術の深化・融合と外部技術導入のシナジーにより、中核技術の高度化を図り、新製品の開発と新規事業への進出を目指すこととしております。本提携は、新規事業分野である有機ELディスプレイ事業への参入の足掛かりとなり、日本曹達が進めてきたオープンイノベーションの取り組みの成果として、日本曹達グループのさらなる企業価値の向上に貢献するものです。
【Kyulux 代表取締役社長 中野 伸之のコメント】
Kyuluxは2015年の設立以来、次世代有機EL材料開発スタートアップとして製品開発を続けて参りました。差し迫った事業化に当たり高品質かつ低コストの当該有機EL材料の量産・品質保証体制の確立が強く求められています。その要求を共に叶えて頂ける日本曹達という最高の事業パートナーと出会えたことに心より感謝しております。本提携が当社の有機EL業界への本格参入の大きな一歩になると確信しております。
【日本曹達 代表取締役社長 阿賀 英司のコメント】
日本曹達グループ長期ビジョン「かがくで、かがやく。2030」では、持続可能な社会の発展に貢献し、企業価値を向上させるためのマテリアリティ(重要課題)のひとつとして「ICT」分野を特定しています。高効率で高い色純度を低コストで実現できるKyuluxの有機EL発光技術は革新的であり、当社は 長年培った合成ノウハウを活用し、KyuluxとともにTADFの量産体制構築に取り組んでまいります。
【九州大学総長 石橋 達朗のコメント】
九州大学はVISION2030の柱の一つに社会共創を掲げ、イノベーション創出につながる独創的な研究成果をいち早く発掘し、社会との協働、知的財産やスタートアップの創出拡大などを通して、福岡・九州からアジアそして世界へと社会変革に向けた様々な取組を展開しています。
Kyuluxは本学研究成果の社会実装を担うフロントランナーであり、本学は株主として創業以来、TADF/Hyperfluorescence(TM)の基本特許をはじめ主要な知的財産の譲渡、共同研究を通じた研究成果の移転等で継続的にサポートしてきました。
今回のKyuluxと日本曹達との提携は、社会実装の最終段階に当たる量産体制構築に向けたもので、ビジョンの象徴的な実現例となることを大変喜ばしく思っています。
【九州大学 工学研究院応用化学部門 主幹教授/最先端有機光エレクトロニクス研究センター(OPERA)センター長/株式会社Kyulux サイエンティフィック・アドバイザー安達 千波矢のコメント】
私たちの大学ではゼロをイチにする独創的で画期的な研究成果を生み出すことを目指しており、TADF/Hyperfluorescence(TM)はまさにゼロをイチにした画期的な研究成果です。
2009年にTADFを発明し、2013年にHyperfluorescence(TM)を開発してから、両者は次世代の究極の有機EL(OLED)発光技術と位置づけられ、今後さらに大きな発展が期待されています。
今回の日本曹達との提携は“TADF/Hyperfluorescence-OLED”の量産につながるものであり、Kyuluxの共同創業者として長年の夢が叶うものであると心より嬉しく思います。
(補足情報)
※¹ TADF: Thermally Activated Delayed Fluorescenceの略。
TADFは、有機EL分子が熱エネルギーの助けを受けて放出する、熱活性化遅延蛍光と呼ばれる第3世代有機EL発光材料。TADFは内部量子効率が極めて高く、現在有機EL材料技術に不可欠なレアメタルが不要なことから低コスト化、高効率化の切り札とされている。TADFは2012年に九州大学の安達教授とその研究所である最先端有機光エレクトロニクス研究センター(OPERA)で開発され、近年、世界中の学者や企業による広範囲な研究活動が行われている。
※² アシストドーパント:有機EL材料を発光させるために加える材料。ここではHyperfluorescence(TM)
技術発光の際に蛍光分子とともに使用するTADFをアシストドーパントと呼ぶ。
※³ Hyperfluorescence(TM):TADFを蛍光発光材料と組み合わせることで、TADFから蛍光分子にエネルギーを移動させて発光させる第4世代有機EL発光技術。高効率、長寿命およびレアメタルフリーで高色純度の発光を実現できる究極の発光メカニズム。
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既存の有機EL材料とHyperfluorescence(TM)の性能比較
[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/150638/1/150638-1-8b9bd6669a485804679f6b1296a25241-2261x1927.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
Hyperfluorescence(TM)発光技術の特長
【Kyuluxについて】
2015年に設立されたKyuluxは、有機ELディスプレイや照明に用いる次世代材料の開発に取り組んでいます。九州大学およびハーバード大学からライセンスを得た技術を基に、レアメタルに頼ることなく、コストパフォーマンスに優れた長寿命かつ高純度の発色、さらには高効率な発光全てを実現するTADF/Hyperfluorescence(TM)発光技術を開発しています。
詳細はhttps://www.kyulux.com/?lang=ja をご参照ください。
【日本曹達について】
日本曹達は1920年の創立以来、独自の技術とノウハウを蓄積し、農薬、医薬品、特殊化学品など高機能・高付加価値の化学製品を提供してまいりました。また、化学物質を取り扱う企業として、レスポンシブル・ケアの考え方を常に意識し、環境、安全、品質、健康に配慮した事業活動を行ってまいりました。これからも独創的な技術や製品を通じて、新たな価値を創造し、豊かな社会づくりに貢献します。
詳細はhttps://www.nippon-soda.co.jp/ をご参照ください。
[画像5: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/150638/1/150638-1-21047c5404174db11bdb42d511bd746b-3900x1496.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]株式会社Kyulux
福岡本社 〒819-0388 福岡市西区九大新町4-1 福岡市産学連携交流センター 2号棟227号室
生産管理棟 〒819-0388 福岡市西区九大新町5番5 いとLab+ 研究開発棟212
ボストン子会社 Kyulux North America, Inc.
50 Milk Street, 16th Floor, Boston MA 02109, USA
事業概要 次世代有機EL材料の開発、製造、販売
代表取締役社長 中野 伸之
設立 2015年3月9日
従業員数 93(連結 2024年10月末時点)
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