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能登半島地震から1年 大地震予報の結末と教訓

PR TIMES / 2024年12月25日 11時45分



 ブレイン(静岡市、代表:内山義英)は、地磁気・地電流異常、低周波音、前震活動の3種の前兆を分析する「3種前兆地震予知法」により、2024年1月1日16時10分頃に発生した能登半島地震Mw7.5(最大震度7)を、地震発生の8時間前に予報成功しました。震災発生から1年が経過し、能登半島地域での結末と教訓を活かすべく、震災による被害、特に人的被害低減に注力しています。
【地震予知・予報の意義】
 地震の短期・直前予報は、人的被害のみならず社会的損害を軽減する上で極めて重要な技術です。
 2024年1月1日、石川県能登地方を襲った最大震度7の大地震。500人以上の尊い命が失われたこの災害に対し、民間の地震研究機関ブレインは、最大震度7クラスの地震を約8時間前に予報することに成功しました。この地震予知技術は、人的被害と社会的損害の軽減に向けた新たな一歩となります。
【地震予知・予報の方法、経緯】
 当社は、地震学に加え電磁気学、音響学、振動工学、破壊力学などを複合し、地磁気・地電流異常、低周波音及び前震活動からなる3種類の地震前兆を総合的に分析・判定する高精度な地震予知法「3種前兆地震予知法」を開発し、2016年より予知結果を全国のエンドユーザーに向けて、メールやアプリにより配信する地震予報ネットワークを実用化しました。
 3種類の前兆現象のうち、低周波音は地震発生の1ヶ月~2ヶ月程度前に発生するため、中長期地震予知に適用し、地磁気・地電流異常(図1)は1週間~2週間程度前に発生するため、短期地震予知に適用します。前震活動は地震発生の数時間~数日程度前に発生するため、直前地震予知ならびに発生した地震がその後収束するか、あるいは更に規模が大きい本震につながるかの判定に用います。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/154247/1/154247-1-e98dbf0a40224defab3e90603cef02ff-450x301.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図1 地磁気・地電流異常の原理

【地震予報の実績、精度】
 3種前兆地震予知法の採用により地震予知・予報の精度が大幅に向上し、2016年熊本地震以降に国内で発生したM5.0以上又は最大震度5弱以上の地震に対する予報成功率は、2024年6月30日現在で94.4%でした。最大震度7又はM7級大地震の予報成功事例は、以下となります。
・2016年 熊本地震(Mj7.3、最大震度7・試行段階)
・2018年 北海道胆振東部地震(Mj6.7、最大震度7)(*1)
・2021年 宮城県沖地震(Mw7.0、最大震度5強)
・2022年 台湾島東部地震(Mj7.3、最大震度6強)
・2024年 能登半島地震(Mw7.5、最大震度7)
 北海道胆振東部地震において、最大震度7(改正メルカリ震度階級X以上)の大地震が短期予知・予報されたのは、世界的に前例がなく初の事例です(*1)。
(*1)1975年に中国・遼寧省で発生した海城地震Mw7.0は、発生当日に直前予知・予報されましたが、最大震度は改正メルカリ震度階級IX(気象庁震度階級6強相当)でした。能登半島地震は最大震度7の予知・予報事例として2例目となります(静岡地震防災研究会調べ)。
 本地震予知法の特徴は従来の「VAN法」などとは基本的に異なり、地震前兆波形の周期特性及び振幅量を中心パラメータとした、比較的簡明な原理及び予知ロジックに基づく独自手法です(*2)。
 ギリシャでは「VAN法」による地震情報が公的機関より公表されていますが、概ねM5.5以上の地震が予測された際に1年に1回程度公表される不定期予報であり、予報成功率は60%~70%と報告されています。予報成功率が90%を超える高精度な定期地震予報の実用化は、世界的に前例がなく初の事例です((*2)、静岡地震防災研究会調べ)。
(*2)本リリースは、2023年度日本地震予知学会で発表済みの下記論文より抜粋加筆したものです。
「地中電磁波による高精度地震予知法の開発と適用:その1全体概要」,内山義英,日本地震予知学会2023年度学術講演会予稿集pp23-17
【能登半島地震の直前予報と結末、教訓】
 本地震予報ネットワークのアプリ「ゆれズバ」では、能登半島地震の発生を約8時間前にM7クラスの大地震警報として直前予報しました(図2)。
 この際、通常のメール配信や企業サイトへの予報掲載などの媒体手段では、年末年始休暇中のため臨時予報の配信が不可能でしたが、随時に遠隔配信が可能な専用アプリにより臨時予報配信を行ったことで、緊急時において高い予報確度と機動力を発揮しました。
 しかしながら能登半島地震発生から約1年が経過した現在、震災関連死を含む犠牲者が500人余りに達しており、直前予報は果たされたものの多くの尊い命が失われる結末となってしまいました。
 これは現状では予報配信数が絶対的に不足しており、予知情報が被災地域へ十分に行き渡っていなかったことが大きな要因であり、慙愧の思いであり自責の念に堪えません。したがって、地震予報を全国各地域へより広く十分に拡散し、避難や備蓄などの的確な地震防災行動へ結び付けてゆくことが、今後へ向けての教訓であり重大かつ火急の課題です。

[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/154247/1/154247-1-939d40582cd0b2328b921af627b60bf8-1342x1133.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図2 能登半島地震の「ゆれズバ」臨時予報画面(2024年1月1日7時45分配信)

https://play.google.com/store/apps/details?id=com.brain_s.yurezuba&hl=ja
https://apps.apple.com/jp/app/ゆれズバ/id1252852671
【今後の課題、展開】
 特に能登半島地震のような直下型地震では、大きな揺れが発生する震源域の周辺では緊急地震速報が間に合いません。地震への備えは常に必要であり、速報ではなく予報により地震の到来を前もって知ることは、より効果的で重要な備えとなります。
 今後は、地震予知の更なる精度向上と予報実績の蓄積を図るとともに、能登半島地震の教訓を踏まえ、地震予報の社会的認知向上による配信規模の拡大ならびに地震防災活動への有効な反映を目指してまいります。これにより、震災による被害、特に人的被害をドラスティックに減らし、犠牲者ゼロを目標としてこれをやり遂げてまいる所存です。
                                    (以下ご参考・追加ご説明資料)
【地震前兆現象の原理(地磁気・地電流異常)】
 地磁気・地電流の異常(図1)は、トラフや断層を構成する岩石が破壊する直前に「圧電効果」と呼ばれる原理により発生することが、岩石破壊実験や各種地震観測などにより確認・検証されています。
 この現象は、岩石破壊現象の前駆過程(破壊過程そのもの)であるため、地震発生とほぼ100%の相関性があり、前兆現象として必要十分条件と言えます。これを前兆現象として採用することで地震の1週間から2週間前までの短期予知精度が大幅に向上しました。
【地磁気・地電流の観測方法、短期地震予知方法】
 地磁気・地電流の観測は、地中電磁波計(写真1・3軸地磁気地電流計)を使用し、全国18ヶ所に観測点網(図3)を構築し、観測データを一元的に集約して地震予知を行っています。ただし観測結果の生データのままでは地震の前兆現象とともに不要なノイズを含んでいます。
 ノイズの原因となる事象としては、落雷、電車・自動車・機械などの人的なもの、太陽の磁気嵐、火山活動、地球の自転運動などがあります。ノイズ波形はその種類ごとに特定の振幅や周期帯を持っているため、独自の波形解析技術を用いてノイズをキャンセル・除去し、正味の観測点波形を抽出します。
 ノイズを除去した各観測点波形の方向性、振幅量及び周期特性などから、予測される地震の発生地域、規模M、発生時期の3要素を、独自の波形解析技術及び判定基準によって分析・決定します。

[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/154247/1/154247-1-9fd340def20022d8c78649e5a0b0792e-612x366.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
写真1 観測装置:地中電磁波計(3軸地磁気地電流計)

[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/154247/1/154247-1-eeb30e0230d31bc01b4a8a568e96ed8d-1200x900.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
          図3 地震予報地域区分、観測点配置

                                    【大地震の予知・予報事例(2018年北海道胆振東部地震)】
 北海道胆振東部地震の前兆現象として、8月26日16時頃から北海道で地磁気・地電流の大きな異常が観測されました(図4)。この地磁気・地電流異常の偏差量及び方向性により、北海道南部又は南東部(又はそれらの沖合い)においてM7.0±0.5の大地震発生の可能性が高いとして、8月27日17時02分に臨時地震予報を発表しました(図5)。発生時期は異常の観測から1週間から2週間以内であり、大気圧などの外部環境条件が平常状態であったため、予報期間を10日間としました。
 臨時地震予報から10日目の9月6日に北海道胆振東部地震Mj6.7(Mw6.6・最大震度7)が発生しました。震源域が陸域であったため津波は発生しませんでしたが、地震予知の3要素である地震規模、発生地域及び発生時期は予知・予報の範囲内でした。
[画像5: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/154247/1/154247-1-70b1467aef59d0286d328f0676912791-1200x900.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
     図4 北海道胆振東部地震発生前の地電流異常

[画像6: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/154247/1/154247-1-664f5e90cf4e17940a4f8123ce18f319-1093x922.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図5 北海道胆振東部地震の「ゆれズバ」臨時予報画面(2018年8月27日17時02分配信)

                                    【今後の展望、まとめ】
 地震は目に見えない地下で突然発生するため、事前情報がないまま不意打ちを受けると被害が甚大となり犠牲者も多く出ます。このため高精度な地震予知によって事前に的確な地震情報を把握することが、地震の被害、特に人的被害を劇的に減らす上での決め手となります。
 日本は地震大国であり、これまで何千年、何万年前から震災で数え切れないほどの人が亡くなっています。北海道地震、能登半島地震を最後として、震災の犠牲者をゼロに近付けゼロにする。そのような近未来を目指してまいる所存です。

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