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「新型コロナウイルスによって変化した子どもの生活実態」に関する調査

PR TIMES / 2020年7月29日 16時40分

新しい生活様式で行動変化があった小中学生のうち6割以上が「スケジュール過密化」傾向に 「外遊び時間」は1年前と比べて4割以上短縮し、1日平均35.4分 子どもの新生活様式と視力低下には関係性あり

新しい生活様式で行動変化があった小中学生のうち6割以上が「スケジュール過密化」傾向に
「外遊び時間」は1年前(61.1分)と比べて4割以上短縮し、1日平均35.4分
新しい生活様式で子どもの視力低下を心配する親が70.6%
専門家が警鐘、子どもの新しい生活様式と視力低下には関係性あり




 広く社会に向けた近視の正しい理解と、進行予防に関する知識の普及、啓発を行う「近視予防フォーラム」(発起人代表:坪田一男)は、小中学生の子どもを持つ20代~50代の保護者1,000人(父親・母親各500人ずつ)を対象に、「新型コロナウイルスによって変化した子どもの生活実態」に関する調査を行いました。調査結果について、発起人代表で慶應義塾大学医学部眼科学教室 教授の坪田一男と、同じく発起人で公益社団法人こども環境学会 代表理事の仙田満が解説します。
[画像1: https://prtimes.jp/i/60256/2/resize/d60256-2-857015-14.jpg ]

太陽光と小中学生の近視の関係
慶應義塾大学医学部眼科学教室 教授・坪田一男

[画像2: https://prtimes.jp/i/60256/2/resize/d60256-2-428998-11.jpg ]

新しい生活様式での小中学生の外遊び
こども環境学会 代表理事・仙田満

<調査結果概要>

子どもの新しい生活様式 「外遊び」時間が減少し、スケジュールが「過密化」する傾向に
●1年前と比べ、小中学生の86.3%が「自宅で過ごす時間」が増加し、67.1%が「屋外で遊ぶ時間」が減少。
●外遊び時間は1日平均35.4分と、1年前(61.1分)と比べ4割以上短くなっている。理由は「新型コロナで外出しない」。
●新しい生活様式で行動変化があった小中学生の保護者のうち、60.7%が小中学生の生活スケジュールは例年と比べ「過密化している」と実感。
●小中学生のPCやスマートフォンなどの視聴時間は1日平均約80分、1年前より20分も長くなっている。
●外遊び時間が減る小中学生の新しい生活様式で保護者が心配するのは、小中学生の「運動不足」(79.6%)、「体力の低下」(76.4%)と並んで、「視力低下」(70.6%)や「太陽に当たる時間が短くなる」(61.9%)こと。

1日1回、外で太陽光を浴びている小中学生は半数しかいない
●外遊び時間が短くなってはいるが、保護者の85.7%は小中学生が太陽光を浴びることは「重要だ」と考えている。
●しかし、「1日1回は外に出て太陽光を浴びるようにしている」小中学生は51.5%。中学生・女子では39.6%しかいない。
●新しい生活様式で小中学生が太陽光を浴びる時間、42.6%は「変わらない」、40.3%は「減る」と回答。
●新しい生活様式を取り入れることで、保護者が屋外で過ごす時間も「減った」が過半数(51.6%)。

<調査概要>
■実施時期:2020年6月25日(木)~6月28日(日)
■調査手法:インターネット調査
■調査対象:夏休み短縮、土曜日授業、オンラインでの授業、オンラインでの塾・習いごとを実施もしくは予定している小中学生の子どもを持つ全国の20代~50代の保護者1,000人(父親・母親 各500人ずつ)
※本調査では、小数点第2位を四捨五入しています。そのため、数字の合計が100%とならない場合があります。


小中学生たちの新しい生活様式「外遊び」時間が4割以上も短縮

■1年前と比べ小中学生の約9割が「自宅時間」増加、約7割が「外遊び時間」減少
小中学生の子どもを持つ全国の20代~50代の男女1,000人(父親・母親各500人ずつ)を対象に、コロナ禍による子どもの新しい生活様式に関する調査を行いました。今回の調査では、夏休み短縮やオンライン授業など、例年と比べて何らかの変化があった小中学生の保護者を対象としています。
まず、1年前と比べた現在の過ごし方の変化を聞くと、時間が「増えた」のは「自宅で過ごす時間」(86.3%)が最も高く、次いで「パソコンやスマートフォンを見る時間」(72.9%)、YouTubeなどの「動画を見る時間」(67.2%)、スマホゲームも含む「ゲームをする時間」(61.2%)などでした。
逆に過ごす時間が「減った」のが「屋外で遊ぶ時間」で、67.1%と7割近くの小中学生の外遊びの時間が減少していることがわかりました[図1]。
[画像3: https://prtimes.jp/i/60256/2/resize/d60256-2-141920-6.png ]

■外遊び時間は1日平均35.4分と1年前(61.1分)より25分以上短縮、4割も短くなっている
■外遊び時間が短くなった理由は「新型コロナウイルスで外に出ていないため」

では、外で遊ぶ時間がどの程度短くなったのか調べてみました。まず昨年の今ごろ、小中学生が外で遊んでいた時間は1日平均61.1分でした。緊急事態宣言に伴う外出自粛中の外遊びの時間はぐっと短くなり、1日平均24.2分でした。そして現在の外遊びの時間は、1日平均35.4分となりました[図2]。
新しい生活様式の今、小中学生の外遊び時間は外出自粛中よりも10分程度長くはなっていますが、1年前と比べると25分以上、4割も短くなったままです。小学生では66.2分が42.4分(23.8分短縮)、中学生は56.0分が28.5分(27.5分短縮)と、それぞれ短くなっています。
[画像4: https://prtimes.jp/i/60256/2/resize/d60256-2-452222-2.png ]

小中学生の外遊び時間が短くなったと答えた671人の保護者に短くなった理由を聞くと、「新型コロナウイルス感染防止で外に出ていないため」(70.5%)が最も多く、次いで「新型コロナウイルスの影響で普段遊んでいた友人に声をかけにくくなっているため」(44.4%)、「新型コロナウイルスの影響で閉館していたり休業してしまっている施設が多いため」「ゲームなど、屋内での遊びが増えたため」(同率35.0%)などが挙げられました[図3]。新型コロナウイルスの影響で、小中学生の外遊び時間が短くなったといえそうです。

[画像5: https://prtimes.jp/i/60256/2/resize/d60256-2-837626-5.png ]

スケジュールが「過密化」し、PC・スマホなど情報機器の視聴時間が20分以上も増加

■新しい生活様式で行動変化があった小中学生の保護者のうち、60.7%が小中学生の生活スケジュールは例年と比べ「過密化している」と実感

次に、小中学生の日々の生活スケジュールが例年と比べ過密化していると思うかを聞くと、18.3%が「過密化している」、42.4%が「やや過密化している」と答え、全体の60.7%の保護者が小中学生のスケジュールが「過密化している」と感じています[図4]。
[画像6: https://prtimes.jp/i/60256/2/resize/d60256-2-165840-3.png ]

新型コロナウイルスの影響で生じた変化別にみると、「土曜日の授業」(71.2%)や「オンラインでの塾・習い事」(66.2%)が始まった小中学生では、スケジュールの過密化の度合いがより高くなっているようです。

■小中学生のPCやスマホなどの視聴時間は1日平均約80分、1年前より20分も長くなっている

オンラインでの学習や塾などが一般化し、小中学生の日常でもパソコン、タブレット、スマートフォンなどの情報機器を見る時間が長くなっています。これら情報機器の視聴時間を聞くと、1年前は1日平均で58.5分でしたが、外出自粛中は129.7分(71.2分増加)と倍増しました。現在の視聴時間は1日平均79.2分となり、外出自粛中よりも50分短くはなっていますが、1年前と比べると20分も長くなったままです[図5]。
[画像7: https://prtimes.jp/i/60256/2/resize/d60256-2-283546-0.png ]

小学生はもともとの視聴時間が短めで、昨年より14分の増加ですが、視聴が長い中学生では1日平均102.4分と、昨年より27分も長くなっています。

■外遊び時間が減る子どもの新しい生活様式で保護者が心配すること 「運動不足」「体力低下」と並んで「視力低下」が上位に

これから新しい生活様式を取り入れていくことで、小中学生の健康・生活に対して心配なことを聞くと、心配な声が多かったのが「運動不足」(79.6%)、「体力の低下」(76.4%)、「視力低下」「学力の低下」(同率70.6%)でした。7割の保護者が小中学生の「視力の低下」を心配しており、また6割の保護者は「太陽に当たる時間が短くなる」(61.9%)ことを心配しています[図6]。
[画像8: https://prtimes.jp/i/60256/2/resize/d60256-2-795100-4.png ]

小中学生が太陽光を浴びることは「重要」とわかっているものの…

■保護者の85.7%は、小中学生が太陽光を浴びることは「重要だ」と考えている

外遊び時間が短くなり、生活スケジュールは過密化する小中学生。子どもが太陽光を浴びることについて保護者はどう思っているのか聞いてみると、51.7%が「重要だと思う」、34.0%が「やや重要だと思う」と答え、保護者の85.7%は小中学生が太陽光を浴びるべきだと考えています[図7-1]。
[画像9: https://prtimes.jp/i/60256/2/resize/d60256-2-490624-1.png ]

重要だと思う理由を聞くと[図7-2]の通り、生活リズムや健康のために必要という意見が多く寄せられました。

[画像10: https://prtimes.jp/i/60256/2/resize/d60256-2-720448-13.png ]

■一方で、1日1回、外に出て太陽光を浴びているのは約半数、中学生・女子では4割以下

健康のために必要と考えられている小中学生の日光浴ですが、小中学生が1日1回は外に出て太陽光を浴びるようにしているかと聞くと、実践しているのは51.5%と半数にとどまります[図8]。小学生では60.2%が1日1回外に出て太陽光を浴びていますが、中学生では42.8%と少なくなり、中学生・女子では39.6%しかいません。
[画像11: https://prtimes.jp/i/60256/2/resize/d60256-2-567705-8.png ]

新しい生活様式では、太陽光を浴びたり屋外で過ごす時間は「減る」

■保護者の4割が予想、新しい生活様式で小中学生たちが太陽光を浴びる時間は「減る」

太陽光を浴びることは重要だと思いつつも、実践できていない家庭が多いのが現状です。
これからの新しい生活様式において、小中学生が太陽光を浴びる時間がどう変化すると思うかを聞くと、42.6%は「変わらない」と答えましたが、ほぼ同数の40.3%が「減る」と答えました[図9]。
前述[図8]で太陽光を浴びる割合が最も低かった中学生・女子では、保護者の44.8%と半数近くが「太陽光を浴びる時間が減る」と予想しています。
[画像12: https://prtimes.jp/i/60256/2/resize/d60256-2-304245-9.png ]

■新しい生活様式を取り入れることで親子が接する時間は「増えた」が、屋外で過ごす時間が「減った」保護者は51.6%

新しい生活様式を取り入れていくことで、例年と比べて小中学生の子どもとの接し方や屋外時間が変化するか聞きました。
小中学生の子どもと接する時間は、保護者の64.8%が「増えた」と答えていますが[図10-1]、自身が屋外で過ごす時間は51.6%が「減った」と答えました[図10-2]。
新しい生活様式により、親子で過ごす時間は増えそうですが、小中学生の子ども同様、保護者も太陽光を浴びたり屋外で過ごす時間は減ることになりそうです。
[画像13: https://prtimes.jp/i/60256/2/resize/d60256-2-231306-7.png ]

[画像14: https://prtimes.jp/i/60256/2/resize/d60256-2-430722-10.png ]

<近視予防フォーラム発起人の解説とコメント>

新しい生活様式で、太陽光を浴びたり屋外で過ごす時間が短くなると、小中学生にどんな影響が考えられるのか。近視予防フォーラムの発起人代表で慶應義塾大学医学部眼科学教室 教授の坪田一男と、同じく発起人で公益社団法人こども環境学会 代表理事の仙田満が解説します。

[画像15: https://prtimes.jp/i/60256/2/resize/d60256-2-428998-11.jpg ]


仙田満(せんだ・みつる)
近視予防フォーラム発起人
株式会社環境デザイン研究所 会長、東京工業大学名誉教授
公益社団法人こども環境学会 代表理事

子どもの外遊び時間の減少と過密化の影響

●外遊び時間の減少と生活の過密化は、子どもの心身に大きな影響をもたらします
外遊びができている時間は、1年前と比べて4割以上減り35分程度という事実が今回の調査で明らかになりました。これが長期化すると、運動不足による体力低下や肥満の問題に加え、自由に遊べないことによる精神的なストレスなど、子どもの心身ともにさまざまな影響を与えることが懸念されます。
外出自粛は解除されましたが、今度は自粛中の遅れを取り戻すために授業や塾などのやるべきことが増え「子ども時間の過密化」も進んでいます。あれもこれもと、やらなければいけないことが増え、子どもの時間が分断されると、好きなことに集中することができなくなります。
子どものころに我を忘れて物事に取り組む経験がないと、大人になっても集中できないという傾向もあります。また、熱中して遊ぶことで、がまんして物事を成し遂げたり、みんなで協力してやり遂げる力などが育まれます。このような力は非認知能力といって、子どもが前向きに生きる力となるものです。スケジュールが過密化することで、子どもの外遊び時間は簡単には元の水準には戻らないことが予想されますが、子どもの心と身体、生きる力への影響が非常に心配されます。子どもにはなるべく制約をかけず、自由に遊んでもらうことが中枢神経の開発であったり、コミュニティ形成や友情を育む力を伸ばす非常に大切なことになります。

●テレワークで生まれたおうち時間を子どもの心を育む親子時間に
そんな中、親御さんのテレワークという働き方は、子どもにとっていい影響をもたらします。仕事をする親の姿を目にすることで、子どもは働くことを知り、自立する気持ちが育まれ、人としての成長が促されます。また、親御さんにとっても通勤がない分、子どもと過ごす時間がとれるようになったはずです。お子さんと会話をしたり、一緒に家庭菜園をしたり、地域活動に参加するなど、これまでできなかったいろいろなことを一緒に体験してほしいですね。
日本は、親子で過ごす時間が短いことが指摘されています。コロナ禍を機に親子で過ごす時間を見直し、子どもにとっても、家族にとってもよい環境となるよう、活用していただきたいと思います。


[画像16: https://prtimes.jp/i/60256/2/resize/d60256-2-857015-14.jpg ]


坪田一男(つぼた・かずお)
近視予防フォーラム代表
慶應義塾大学医学部眼科学 教室 教授
株式会社坪田ラボ 代表取締役社長

太陽光と小中学生の近視の関係

●外に出て太陽の下で過ごす時間をつくりましょう
現代の子どもたちの生活は50年前と比べて顕著に外遊びの時間が減少していましたが、今回の調査で、屋外で過ごす時間がさらに減ってしまったことが明らかになりました。そしてつい先ごろ、眼科の国際ジャーナルにも、COVID-19で世界的に近視の増加に拍車がかかる可能性があるという警鐘が掲載されました(*1)。緊急事態宣言が解除されても感染予防対策が続き、これは子どもの近視予防においても、全身の健康においても、非常に由々しき問題です。
お子さんの視力を心配されている親御さんは、おそらくタブレットの使用や、ゲームの時間などが増えていることで心配されていると思います。しかし、世界の近視研究においては、外で過ごす時間が減ったことが、近視急増の最大の原因だという研究があります。さらに、我々の研究では、太陽光に含まれるバイオレットライトが近視の予防、進行抑制に働くことが解明されつつあります。
では、どうすればいいのか。家で過ごすときは、窓ガラスはバイオレットライトを遮断してしまいます。外光の入る明るい室内でも、実はバイオレットライトを浴びることができませんので、窓を開けたり、ベランダに出ることは重要です。感染を恐れて、外出を避ける傾向にありますが、子どもの近視予防、健康を考えると、散歩をしたり、公園で遊んだりする時間は、非常に大切です。
*1 Marco Pellegrini, et al. May home confinement during the COVID-19 outbreak worsen the global burden of myopia?. Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol. 2020 May 4;1-2

近視予防フォーラム ウェブサイト
https://myopia-prevention.jp

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