フィリピン大学と連携し、水稲栽培で発生するメタンガス削減PJの実証を推進 ボランタリークレジット取得に向け、フィリピン大学の圃場にてメタンガスの計測を実施
PR TIMES / 2023年3月27日 12時45分
稲作由来のメタンガス排出量削減により240億円の市場価値を創出するフィリピン拡大戦略を推進
Green Carbon株式会社(代表取締役:大北潤、以下Green Carbon)は、この度、一般社団法人Natural Capitalが設立した「ナチュラルキャピタルクレジット・コンソーシアム(NCCC)」、フィリピン大学と連携し、水稲栽培で発生するメタンガス削減プロジェクトの実証を推進しており、フィリピン大学の圃場にてメタンガスの計測を実施したことをお知らせします。本プロジェクトは、フィリピン大学が保有する水田0.5haで、*1間断灌水(AWD)を導入し、メタンガス発生量を削減、その削減量(差分)からカーボンクレジットを創出します。創出したカーボンクレジットを、VCS、GS、NCCCなどの認証機関に登録し、ボランタリークレジットとして販売します。フィリピン全土の水田にて、メタンガス排出量を削減した場合、約240億円の市場価値を創出します。
[画像1: https://prtimes.jp/i/117956/2/resize/d117956-2-69a731ee557cdf953f0b-0.png ]
◆フィリピン拡大戦略の背景
フィリピンは農業由来で年6,000万tのGHGを排出しており、2030年までに75%削減を目標に掲げています。(農業由来のGHG排出量4,500万t削減が必要)。Green Carbonは、4,500万t削減に向けた計画の1歩として、フィリピン大学とフィリピン大学助教授Patrick Rocamora 氏と連携し、水稲栽培で発生するメタンガス削減プロジェクトの実証を開始しました。まずは、ベースライン(基準値)測定に向け、チャンバー方式を用いメタンガスを採取、計測を実施しました。その後、間断灌水(AWD)を導入、メタンガス発生量を計測し、その削減量(差分)をカーボンクレジットとして創出します。この計測方法は、*³CDMの方法論AMS-III.AU.に準拠して測定しています。今後はフィリピン国内で実証エリアを拡大し、創出するカーボンクレジットの量を拡大してまいります。
○フィリピン大学実証地(水田内)でのメタンガス発生量計測写真
[画像2: https://prtimes.jp/i/117956/2/resize/d117956-2-557ce0c2fac2673a8dd4-1.png ]
◆フィリピン全土の水田を活用した場合の経済価値と削減量のポテンシャル
フィリピンの水田面積は約481万haにのぼります。また、フィリピン全土の水田で間断灌水を導入した場合のCO2削減量は、約2,405万t(5t-CO2/haで計算)にのぼり、カーボンクレジット創出量に換算すると、約240億円の経済価値を創出します。(1,000円/tで計算)
◆今後のフィリピン拡大戦略
農林水産省の統計を参照すると、フィリピンの主要作物2位に稲作が入っており、元々フィリピンで稲作が盛んなことが分かります。しかし、主要作物ではあるものの、稲作の収益だけでは生活がままならない農家も多い現状がございます。そこで、Green Carbonは、水田のメタンガス削減によるカーボンクレジット創出に目を付け、稲作による収益だけでなく、農家のカーボンクレジット創出、販売を支援し、新たな収益源を創出します。メタンガス削減と農家の新たな収益源創出を掲げ、フィリピンでの拡大戦略を推進してまいります。まずは、フィリピン大学との実証実験の結果を経てブラカン州と連携し、1,000ha実施。その後他の州とも連携し10,000haを目指します。目標として2030年度までに稲作のメタンガス削減プロジェクトで2,000万t-CO2削減を目指します。メタンガス削減プロジェクト以外にも、同時並行で植林やマングローブの植林、カーボンファーミング、肥料削減、バイオ炭プロジェクトを進めていきます。また、創出したカーボンクレジットを、VCS、GS、NCCCなどの認証機関に登録し、ボランタリークレジットとして販売します。
○フィリピンの稲作栽培におけるhaあたりの収穫量の変遷
2019年から2021年にかけて、稲作におけるhaあたりの収穫量は増加傾向にあり、収穫量4~5t/haの水田が13%増加しています。しかし、4t以下の農家はまだまだ生計が立てられていない状況です。そこで上述した通り、Green Carbonは、稲作の収益だけでは生活がままならない農家に対し、水田のメタンガス削減によるカーボンクレジット創出、販売を支援し、稲作による収益だけでなく、新たな収益源を創出します。
[画像3: https://prtimes.jp/i/117956/2/resize/d117956-2-8eb41c9c5316f47c0991-2.png ]
*¹間断灌水(AWD):水を満たした状態と、干した状態とを数日おきにくり返す水管理方法。3~4 日間隔で入水と自然落水を繰り返し、水を管理することで、メタンガス発生量を抑制できる。
*²ODA・DENR:ODA(Official Development Assistance(政府開発援助))は、開発途上地域の開発を、主たる目的とする政府及び政府関係機関による国際協力活動を指します。DENR(Department of Environment and Natural Resources(環境天然資源省))は、国の天然資源の調査、開発、利用及び保護を管理・監督することを所管するフィリピンの中央省庁を指します。
*³CDMはクリーン開発メカニズムと呼ばれ、発展途上国が実施する二酸化炭素排出量削減への取組を、先進国が資金や技術で支援し、達成した排出量削減分を両国で分配ことができる制度です。気候変動枠組条約京都議定書に盛り込まれた「京都メカニズム」と呼ばれる制度の一つで、京都議定書第12条に規定されています。今回用いた方法論AMS-III.AU.は、稲作における水管理の調整によるメタン排出削減 Version 4.0です。
参考URL:https://cdm.unfccc.int/methodologies/DB/D14KAKRJEW4OTHEA4YJICOHM26M6BM
農林水産省出典:フィリピンの農林水産業概況
●Green Carbon 株式会社
商号 :グリーンカーボン
代表者 :代表取締役 大北 潤
所在地 :東京都港区赤坂4-15-1赤坂ガーデンシティ13階
設立 : 2019年12月
事業内容:主に炭素固定種苗販売事業
CO2削減事業、CO2削減植物研究開発事業、カーボンクレジット取引及び取引所事業、
農業関連事業、環境関連事業、その他、関連する事業、及び、コンサルティング
URL :http://green-carbon.co.jp/
●一般社団法人Natural Capital
ナチュラルキャピタルクレジット・コンソーシアム(NCCC)
代表理事:馬奈木俊介
所在地 :福岡県福岡市
設立 :2022年12月15日
事業目的:「持続可能な開発目標」を原動力とした地域創生事業の創出を目的とし、その目的に資するため事業を行います。NCCCは、産業界と連携して、日本の森林、農地など自然資本を活用したボランタリーのカーボンクレジットの創出を実現し、更にはアジア太平洋版カーボンクレジット市場の構築を通じて、経済の持続的な成長と社会的豊かさの両立を支援していくことを目的としている団体です。
URL:https://www.natural-capital.jp/
●フィリピン大学
フィリピン大学英語名:The University of the Philippinesは、1908年に設立されたフィリピンの国立大学です。学生数約57,000名を有するフィリピンにおける最高ランクの大学であり、法学、医学、政治学、社会科学、公衆衛生、自然科学、農学、人文科学などの高等教育を提供しています。
URL:https://up.edu.ph/
【フィリピン大学教授 Patrick Rocamora 氏プロフィール】
[画像4: https://prtimes.jp/i/117956/2/resize/d117956-2-ec2993336eb99a63f312-3.png ]
フィリピン大学ロスバニョス校助教授 農学修士(Assistant Professor at University of the Philippines Los Baños Master of Agriculture)
1986年からフィリピン大学に就任し、1991年に助教授に昇進。専門は、肥料、土壌保全と管理、環境科学、植物学、植物生態学。
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