廃棄寸前の九谷焼陶磁器片をアップサイクル。永山祐子建築設計等とコラボーレーションしたテラゾーベンチが玉川高島屋S・Cにて公開
PR TIMES / 2024年12月20日 9時0分
製造の過程で規格外となった石川県の伝統工芸・九谷焼を骨材として使用したテラゾーベンチが完成!玉川高島屋S・C本館2Fのシーティングスペースにて公開されました
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株式会社CACL(石川県能美市、代表:奥山純一、以下CACL)は、製造の過程で規格外となった九谷焼を、テラゾーの骨材としてアップサイクルし、有限会社永山祐子建築設計(東京都新宿区、代表:永山祐子、以下 永山祐子建築設計)および関ヶ原石材株式会社(岐阜県不破郡、代表取締役社長:小林亮太)とコラボレーションしたテラゾーベンチが、玉川高島屋ショッピングセンター(所在地:東京都世田谷区、以下玉川高島屋S・C)本館2Fのシーティングスペースにて公開されました。
名称:テラゾーベンチ
場所:玉川高島屋S・C 本館2F
住所:〒158-8701 東京都世田谷区玉川3丁目17−1
リリース日:2024年11月20日
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玉川高島屋S・C 本館2F
コラボレーションの背景に、約1割が廃棄されていた九谷焼
今回、テラゾーベンチの骨材として使用した九谷焼は、絵付け前の白素地に釉薬を施した「白磁」と呼ばれる陶磁器です。実は、九谷焼の製造過程では、小さな黒い斑点やわずかな傷があるだけで規格外とされ、約1割が廃棄されるという状況がありました。廃棄を容易にするため、これらの陶磁器は細かく砕かれ、コンテナに積み込まれていきます。
九谷焼のお膝元・石川県能美市に本社を置くCACLでは、従来は廃材とされてきた九谷焼を別の形で活用できないかと考え、陶磁器片の回収(買い取り)を開始しました。その少し後、令和6年能登半島地震が発生し、さらに多くの破損した陶磁器を回収することになりました。
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「震災」を軸にした陶磁器片の表現活動から、より現実的な循環のしくみまで
CACLでは、震災直後から現在に至るまで、震災で破損した九谷焼をはじめとする陶磁器片を金継ぎや輪島塗技法を活用し、本来は交わることのなかった工芸品同士を融合させ、新たな造形物として再生させる表現活動を展開してきました。その独自性は国内外でも注目を集め始め、金沢21世紀美術館への出展も実現しました。
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金沢21世紀美術館にて展示中(2024年11月2日~2025年3月16日)
そして震災から1年が経過しようとする今もなお、回収された大量の陶磁器片が手元に残り、さらに規格外製品が今後も発生することが予想されます。これらの素材を無駄にすることなく持続的に活用するためには、陶磁器片を一過性のものとして捉えるのではなく、震災やアートの文脈を超えて、普遍的に市場に流通するしくみも見出す必要があると考えました。
そうした模索の中で、建築家・永山祐子氏との出会いがあり、陶磁器片をテラゾーの骨材として活用する試みがスタートしました。当初は大理石の端材を主に使用する予定だったとのことでしたが、陶磁器片を混ぜ込むことで、異質ながらも独特の味わいが生み出されました。
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使用用途のない大理石や陶磁器片が練り込まれ、アップサイクルが全面に出たテラゾーベンチ。中央には九谷焼の皿の底が出現している
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テラゾーベンチの製作にあたって
永山祐子建築設計の製作担当者に、今回の製作におけるポイントを伺いました。
「製作のポイントは、テラゾーの骨材としてできるだけ大きな骨材を使用することでした。そのため、イメージ作成の段階から現場での骨材貼り付けまで立ち会い、細かな見え方を想像しながら作業を進めました。テラゾーベンチの製作にあたり、サステナブルな素材を意識した骨材をいろいろと探していたところ、永山が奥山さんから九谷焼の陶磁器片についてお話を伺い、活用を決定しました。なお、九谷焼の陶磁器片以外にも、使用用途のない大理石の端材を併せて骨材として使用しています」
また、来場者に向けてメッセージもいただきました。
「今回施工した空間は、休憩スペースや外部空間を意識した植栽があり、開放的で心地よい空間となっています。街を歩く中でふらっと立ち寄り、ゆったりとした時間を過ごしていただければと思います。テラゾーベンチには、さまざまな色の大理石端材と、さまざまな形状の九谷焼陶磁器片が使用されています。特に、九谷焼の陶磁器片には、元の陶器の形がわずかに残っているものもありますので、ぜひ探してみてください」
玉川高島屋S・C本館2F共用部リニューアルコンセプト
(永山祐子建築設計 資料より引用)
玉川高島屋S・C開業55周年に合わせた本館2階エリアのリニューアルプロジェクトである。今回の改修エリアは開業50周年に改修した本館1階グランパティオに隣接するエリアであるため、グランパティオの雰囲気を2階まで拡張することで1階と連続性のある開放的な空間を目指した。
多摩川や等々力渓谷といった二子玉川周辺の自然から着想し、元々は柱グリッドの強いソリッドな空間であったのに対し、全体的に有機的なラインで空間をまとめることでテナントの境界があいまいな開放的な構成と求心性を持たせている。
外光を取り入れた居心地の良いリビングのような空間を目指すために、テナント間仕切り壁を無くした区画形成を行い、シーティングスペースを点在させた。
シーティングスペースに置かれるテラゾーベンチは、川原の小石をイメージした形状とし、骨材には製造過程で余ってしまった大理石の端材や、能登半島地震で割れてしまい商品にならなかった九谷焼の陶片を入れることでアップサイクルを試みている。
シーティングスペースには二子玉川周辺の緑葉をイメージした、まちとの繋がりを感じさせる植栽を取り入れている。
Client 東神開発株式会社
Design 永山祐子、横田英雄、山岸大助/office XAD
Build 株式会社ラックランド、有限会社原田左官工業所
Lighting 大光電機株式会社(設計協力)
Planting 株式会社DAISHIZEN/SOLSO
九谷焼陶磁器片の新たな可能性
今回のテラゾーベンチを通して、陶磁器片がデザイン性や機能性を兼ね備えた骨材として活用できることが分かりました。今後は、左官をはじめとする「建材」としての活用もさらに追求していけたらと考えています。
また、CACLでは障害福祉事業も展開しており、今回提供した陶磁器片の研磨作業は、障害のある方々の仕事となっています。体調に波があり短時間しか働けない方や、特性がありこれまで就労機会がもてなかった方々も、ちょっとしたサポートがあれば大いに働くことができます。CACLでは、この九谷焼の産地・能美市で、多様な人たちが活躍できる土台をつくり、地域の担い手不足という課題を解消しつつ、資源の再利用も促進していきます。
こうした活動を通じて、陶磁器片が単なる廃材から価値ある素材へと生まれ変わり、アップサイクルを軸とした「良い循環」が今広がり始めています。
株式会社CACL
CACLは、石川県能美市を拠点に、本来なら規格外や廃棄物となっていく工芸品や陶磁器片を収集し、アート作品やマテリアルとして再活用し命を吹き込み、新たな価値を追求する表現活動を行っています。
所在地:〒923-1245 石川県能美市辰口町リ56番地
代表者:奥山 純一
事業内容:Redsicover project、陶磁器片マテリアル事業、障害福祉事業
HP: https://cacl.jp/
Tel:0761-48-8004
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