OIST発スタートアップ「Kwahuu Ocean」、イカ陸上養殖の商業化を目指しプレシード資金調達を完了
PR TIMES / 2024年11月25日 13時15分
~「持続可能なイカ養殖システムの実現」に向けて生産体制やR&Dを強化し、事業成長を加速させる~
持続可能なイカ養殖システムの開発を手がけるKwahuu Ocean株式会社(カフーオーシャン、本社:沖縄県恩納村 / 創業者兼CEO:中島 隆太、共同創業者:高宮城大樹、以下「Kwahuu Ocean」)はこの度、ライフタイムベンチャーズ(本社:神奈川県横浜市、沖縄オフィス:沖縄県恩納村、代表パートナー:木村 亮介、國井 紅秋)からの資金調達を完了しました。Kwahuu Oceanは今後、事業の成長を加速させ、沖縄県の立地および海洋環境条件を最大限に活かし、イカ類を重要海洋水産資源と位置づけ、生物ならびにその生息環境の保全を念頭に入れた持続的養殖システムを構築します。そして、イカの安定供給を実現し沖縄、ならびに日本の食文化の安定と活性化を目指します。
Kwahuu Oceanとは
頭足類の養殖は特有の生態や複雑な成長過程、環境条件への高い感受性、そして特定の餌管理の難しさなど、多くの課題があるため、困難とされてきましたが、現在ではマダコ、コウイカ、ダンゴイカ等30種以上の頭足類で、卵から孵化し、成長し、繁殖に至るまでの育成サイクルが達成されており、養殖の可能性に期待がもたれています。また、1980年代頃から良質なタンパク質を短期間で生産する頭足類が海産資源として注目されてきましたが、頭足類の商業利用を目的とした水産養殖にはいまだにどの種も至っていないのが現状です。特に、頭足類の中で一番漁獲高が高く商業的需要が高いツツイカ目の養殖技術の開発は難航してきました。これには、孵化サイズの小ささ、初期飼料の同定の難しさ、共食い、壁面に対する認知不足など様々な問題を克服することが難しかったからです。
沖縄科学技術大学院大学(以下OIST)ジョナサン・ミラー教授が率いる物理生物学ユニットでは、2016年から現在までシロイカ型アオリイカを含む10種類以上の頭足類(ワモンダコ、アオリイカ3種、ヒメイカ2種、ヒメダンゴイカ、コブシメ、トラフコウイカ等)の飼育実験を行ってきました。同ユニットは、動物行動の数理モデルを作成研究することを目標としており、その研究対象として、行動、特にカモフラージュ等の体色変化が豊富かつ複雑である頭足類をモデル動物として設定し、その行動、神経生理、遺伝子を中心に研究を続けています。研究開始にともない、各種の飼育技術開発に着手しました。現在ではシロイカ型アオリイカ、クワイカ型アオリイカに特化し飼育を続けています。
2017年8月に同ユニットで開始したツツイカの一種であるアオリイカの飼育は、2022年8月で累代飼育10世代を達成し終了しました。これにより、それまでの日本記録の3世代(Ikeda et al. 2008)と世界記録7世代(Lee et al. 1994)を大幅に更新することに成功しました。この成功により、これまで困難とされてきたツツイカの商業的養殖に可能性が見えてきました。
Kwahuu Oceanは、OISTの物理生物学ユニットにおけるこれまで10年以上にわたる飼育経験に基づく技術のライセンスアウトを受け、前述の課題を克服しながらイカ類3種の養殖システムの開発と安定供給を目指します。Kwahuu Oceanのシステムは、季節に伴った小型養殖システムのネットワークによって構築されており、環境へのインパクトを軽減するとともに、飼育の精度を上げ、各地域での必要最低限の生産数を目標にすることで、無駄を極限まで省くと同時に、きめ細かい食品を生産することに努めます。また、ARやIoTといった技術を導入し、各地に分散した小型施設をつなぐことで、養殖でのノウハウ共有により精度の向上を促します。
資金調達の概要と目的
今回の資金調達は、Kwahuu Oceanの生産能力の拡大と研究開発の強化を目的としています。具体的には、初期飼料の開発、飼育下でのイカ生存率向上、分散型プラントユニットの初期デザインを目指します。現在これらを実現するためのパートナーR&D企業との折衝を進めています。これにより、環境負荷の少ない養殖技術を通じて、持続可能な水産業の未来を様々な企業と推進して切り拓いていきます。
Kwahuu Oceanの創業者兼CEOの中島隆太氏は以下のように述べています。
「この度は、OIST Innovation、Lifetime Ventures、そしてOISTの物理生物学ユニットからの多大なるサポートを受けKwahuu Oceanをスタートできたことを嬉しく思っています。イカは非常に繊細な生き物で飼育が難しく、養殖については長年不可能と言われてきました。2022年にジョナサン・ミラー教授率いる物理生物学ユニットの研究チームとの共同研究を行う中で、アオリイカの累代飼育10世代を世界で初めて実現しました。この技術をもとに「イカを越えるイカをつくる」ことを目指して設立したのが、Kwahuu Oceanです。商業的な養殖を実現するためのR&Dに取り組み、小型分散型養殖モジュールを開発し、地産地消型の社会モデルを実現させることで、沖縄の自然環境を守りながら、そこに暮らす人々の生活を豊かにしていくことが当社のミッションです。」
ライフタイムベンチャーズからのコメント
ライフタイムベンチャーズ代表パートナーの木村亮介は以下のように述べています。
「アオリイカを始めとするイカ食は日本の伝統的な食文化の一つですが、日本近海のイカ漁獲は昨今では全盛期の1割まで落ち込み、世界有数の消費需要は南米産の輸入品に頼っている現状です。国内外の先行研究を経た上で生まれたOISTの研究成果を基にして、真に持続可能な水産養殖と資源管理モデルの確立を目指すKwahuu Oceanの共同創業者兼リード投資家として、沖縄から世界へ、2050年の未来に届く壮大な挑戦にご一緒できることを心より嬉しく思います。」
Kwahuu Oceanについて
Kwahuu Ocean株式会社(カフーオーシャン)は、OIST発の技術を活用し、持続可能な海洋資源の確保を目指しています。「Kwahuu(カフー)」は、沖縄で「幸せ」や「幸運」を意味し、持続的なイカ養殖システムの実現を通じて、沖縄から世界へ人々に幸せを届けるという想いを込めています。OISTのジョナサン・ミラー教授率いる物理生物学ユニットの研究チームは、世界で初めてアオリイカの累代飼育10世代を達成しました。また、この技術は特に産卵と孵化に適した条件を整えることで、効率的かつ安価にイカを生産する商業目的の養殖システムの開発に成功しました。当該研究プロジェクトに客員研究員として関与していた現ミネソタ大学教授の中島 隆太氏を創業CEO、OIST 海洋生態進化発生生物学ユニット(ヴィンセント・ラウデット教授)の高宮城大樹氏を共同創業者とし、ライフタイムベンチャーズ主導のVenture Creation スキームにより2024年6月に会社が設立されました。
会社HP
https://www.kwahuu.com/
お問い合わせフォームはこちら
https://www.kwahuu.com/blank-2
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