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2013年度「ロレアルーユネスコ女性科学賞」受賞者5名発表 ― 日本人化学者 黒田 玲子氏が受賞! ―

PR TIMES / 2012年10月22日 13時57分

ロレアルグループ(本社:フランス・パリ)は、2012年10月19日(パリ現地時間)、2013年度「ロレアル-ユネスコ 女性科学賞」の受賞者として、今年度は「物理科学」の分野で目覚しい業績を挙げた世界の優れた女性科学者5名を発表しました。
1999年度ノーベル化学賞受賞者 アハメッド・ズウェイル教授などの有識者で構成される 国際審査委員会により選考されました。

アジア・パシフィックからは、日本を代表する化学者黒田 玲子氏(クロダ・レイコ、東京理科大学総合研究機構 教授、東京大学名誉教授)が受賞しました。
黒田氏は、分子構造の左右性の違いが自然界に広く現れる左右性(キラリティー)現象に重要であることを明らかにし、アルツハイマーなどの神経変性疾患研究など 
幅広い応用研究にもつなげる多大な貢献を成し遂げました。2013年3月28日にパリのユネスコ本部にて開催される授賞式において、
各受賞者に賞金100,000USドル(約800万円)が授与されます。

日本快挙: 4人目の受賞者
2000年度に日本の分子生物学の草分け的存在でDNAの不連続複製「岡崎フラグメント」で知られる岡崎恒子氏(名古屋大学名誉教授)、2005年度にアモルファス半導体および液体金属の先駆的理論とコンピューター・シミュレーションによる解明で米沢富美子氏(慶応大学名誉教授)、2009年度には世界で初めて、単一分子性 金属の設計と合成に成功し、分子性伝導体の開発研究への貢献により小林昭子氏(日本大学文理学部化学科教授、東京大学名誉教授)が受賞しており、今回で、4人目の日本人女性科学者の受賞となります。

2013年度の受賞者は次のとおりです。
・ 日本: 黒田 玲子 東京理科大学総合研究機構教授、東京大学名誉教授
受賞理由: 自然界に広く現れる左右性現象への分子構造の左右性の関与を解明、神経変性疾患を含む幅広い応用研究に貢献

・ ナイジェリア: フランシスカ・ンネカ・オケーケ (Francisca Nneka OKEKE) ナイジェリア大学ンスカ校教授
受賞理由:気候変動の解明につながる、高層大気中におけるイオン電流の日周変動の理解に貢献

・ 英国: パラティバ・ガイ(Pratibha GAI) ヨーク大学教授
受賞理由:新薬や新エネルギー源の開発につながる、細胞表面の触媒における化学反応の改良型電子顕微鏡による観察の成功

・ ブラジル: マルシア・バルボサ (Marcia BARBOSA) リオ グランデ ド スール連邦大学ポルトアレグレ校教授
受賞理由:地震発生の仕組みや疾患の治療に重要なタンパク質の形成の理解につながる、水の特性の一つを発見

・ 米国: デボラ・ジン(Deborah JIN) 国立標準技術研究所、コロラド大学ボルダー校教授
受賞理由:医薬や新エネルギー源に重要な分子レベルの理解につながる、分子の冷却による化学反応のスローモーション観察に初めて成功

世界規模で1,300名以上の女性科学者を支援: ノーベル賞受賞者も輩出
2013年で15周年を迎える同賞は、1998年にロレアルとユネスコが世界規模で女性科学者の地位向上を目指すべく創設されて以来、科学分野の発展に貢献した女性科学者72名が受賞しています。また、2008年の米国受賞者エリザベス・ブラックバーンと、欧州受賞者アダ・ヨナットが、それぞれ2009年ノーベル医学・生理学賞およびノーベル化学賞を受賞するという快挙を遂げています。
同賞とは別に、将来が期待される博士課程や博士研究員レベルの若手女性科学者を支援する「ロレアル-ユネスコ奨学金」を設けています。
これまでに1,300名以上の女性科学者(奨学生を含む)を表彰しており、当グループ最大の社会貢献活動と位置づけ、世界規模で女性科学者のコミュニティーを構築しながら積極的に推進しています。


略 歴
2013年度「ロレアル-ユネスコ女性科学賞」受賞者 (アジア・パシフィック代表)
黒田(くろだ) 玲子(れいこ) 東京理科大学総合研究機構教授、東京大学名誉教授
1947年10月7日(65歳)  宮城県仙台市出身
1970年 お茶の水女子大学理学部化学科 卒業
1975年 東京大学大学院理学系研究科化学専門課程博士課程修了(理学博士)

1975年、英国のロンドン大学キングスカレッジ化学科研究員、1981年同大学の生物物理学科客員助教授などを経て、1985年、英国王立がん研究所研究員に就任。ロンドン大学併任。11年間の英国滞在後、1986年に帰国し、東京大学教養学部化学教室 助教授・大学院理学系研究科生物化学専攻 助教授に就任。
1992年に東京大学教養学部化学教室 教授・大学院理学系研究科生物化学専攻 教授、
1996年に東京大学大学院総合文化研究科 教授。2007年、東京大学大学院副専攻科学技術インタープリター養成プログラムを新設、代表を務める。
2012年4月から東京理科大学総合研究機構教授に就任し、現在に至る。


【研究内容】
ヒトも含む地球上の全生物をつくっている遺伝子や蛋白質は左右の一方の分子のみから成り(ホモキラルな生命世界)、なぜ、分子が左右の一方に、現在の方に、偏ったのかは自然界の一大謎である。また、ホモキラルであるため、右足に左の靴と右の靴を履くのとでは勝手が違うように、右と左の分子では生物に与える作用が 異なることがある。
サリドマイドの左型によって生じた胎児への影響のように、製薬、農薬、食品など産業・社会に与える影響は大きい。
パスツールの歴史的研究の分子レベルでの理解からはじめ、左右の識別が強く現れる固体化学に挑戦。
分子のキラリティー(左右性)情報が、多数の分子のマクロな集合体(たとえば結晶)に伝わり増幅、転写、創製されることを解明し、混合物から左右を簡単に分ける、一方だけを作るなどに成功。さらに、固体状態でのキラリティー測定のための新装置をユニークなアイデアで開発し、有機、無機化合物ばかりではなく、アルツハイマー病の原因たんぱく質など生体物質にも展開した。

JST(科学技術振興機構)ERATOプロジェクトの研究総括に女性で初めて採用され、カイロモルフォロジー研究で化学と生物の両分野で大きな研究成果を挙げた。

【主な受賞歴】
1993年第13回猿橋賞、1994年第1回日産科学賞、2009年文部科学大臣表彰(研究部門)

【その他の活動】
ICSU(国際科学会議)副会長(2008年~2011年)、内閣府 総合科学技術会議議員(非常勤、2001年~2007年)、経済産業省参与(2002年~2010年)、文部科学省中央教育審議会委員(2003年~2010年)などの要職を歴任。

現在、日本学術会議会員、日本ユネスコ国内委員会委員、内閣府 男女共同参画連携会議議員、ケンブリッジ結晶学データセンター理事をはじめ、スェーデン王立科学アカデミー会員などを務める。
2006年中国四川大学名誉教授、2009年スエーデンチャルマーズ工科大学名誉博士号
一般向け著書;中公新書『生命世界の非対称性』、『科学を育む』など

【所属学会】
日本化学会、生物物理学会、日本結晶学会、錯体化学会、発生生物学会、分子生物学会、アメリカ化学会など




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