ブロッコリースプラウトに含まれる「スルフォラファン」に 自閉症スペクトラム障害の改善効果を確認
PR TIMES / 2014年10月15日 11時35分
ブロッコリースプラウトに多く含まれる「スルフォラファン」に、自閉症スペクトラム障害(以下、ASD)の症状を改善する効果があることが、ASD患者を対象とした臨床試験で確認されました。本研究は、ジョンズ・ホプキンス大学とマサチューセッツ総合病院の研究チームらによるもので、10月13日に米国科学アカデミーの機関誌PNASに発表されました。以下、発表された研究論文の概要をお知らせいたします。なお、原文はPNASのウェブサイトhttp://www.pnas.org/content/early/2014/10/08/1416940111.full.pdf+html からご確認いただけますのでご参照ください。
【研究の背景と目的】
ASDは、対人関係やコミュニケーションにおける障害と、同じことを繰り返し行う常同行動が特徴の発達障害です。米国ではおおよそ68人に1人にみられ、医療・経済における社会的負担は莫大です。しかしながら、根本的な治療方法は確立されていません。
これまでの研究で、ASD患者には、体内の活性酸素を除去する「抗酸化作用」の低下や神経炎症などの異常が認められることが報告されています。
一方、ブロッコリースプラウトに含まれるスルフォラファンには、体内の抗酸化作用の向上や炎症抑制などの効果が知られています。
本研究では、ASD患者に、スルフォラファンを毎日摂取してもらい、その効果を検証しました。
【方法と結果】
ASD患者44人のうち、29人にブロッコリースプラウト由来のスルフォラファンを18週間毎日摂取してもらい、3種類の行動測定法を用いて、変化を定量的に評価しました。その結果、スルフォラファン摂取グループでは、数値に大幅な改善が認められた一方、スルフォラファンを摂取しなかったグループでは、有意な変化は確認されませんでした。これらの結果により、スルフォラファンの摂取によるADSの症状改善効果の可能性が示唆されました。
図: ASDにおけるスルフォラファン摂取の効果
18週間毎日スルフォラファンを摂取したグループ(スルフォラファン)では、2種類の行動測定法・異常行動チェックリスト(ABC)(左)と対人応答性尺度(SRS)(右)の平均スコアが大幅に低下し、行動の改善が確認された。一方、スルフォラファンの代わりにプラセボを摂取していたグループ(プラセボ)では、有意な変化は認められなかった。18週間の検証後、スルフォラファンの摂取を止めると、スコアが上昇。ASDの行動改善にスルフォラファンの摂取が効果をもたらしていることが確認された。
■本研究論文
Sulforaphane treatment of autism spectrum disorder (ASD)
Kanwaljit Singh, Susan L. Connors, Eric A. Macklin, Kirby D. Smith, Jed W. Fahey, Paul Talalay, and Andrew W. Zimmerman
PNAS 2014 ; published ahead of print October 13, 2014, doi:10.1073/pnas.1416940111
■用語解説
ブロッコリースプラウト
がん予防研究に従事していたジョンズ・ホプキンス大学教授のポール・タラレー博士が、品種の選抜と育成方法の確立によって、有用成分スルフォラファンを高濃度に含有させることに成功した野菜。ジョンズ・ホプキンス大学が開発したスルフォラファンを高濃度に含有する機能性野菜としてのブロッコリースプラウトは、日本では同大学と独占ライセンス契約を結んだ村上農園が、1999年から生産・販売を行っている。
スルフォラファン
ブロッコリースプラウトに含まれる有用成分。体の解毒酵素や抗酸化酵素の活性を高め、がんやさまざまな疾患の予防効果が期待され、広範な臨床評価の対象になりつつある。
プラセボ
薬などの効果を検証する治験(臨床試験)において、対照試験に使われる有用成分を含まず治療効果のない薬のことをプラセボまたは偽薬と言う。
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