全盲ろうにして初の東大教授となった福島智のエッセイ集、ついに電子化!
PR TIMES / 2025年1月7日 14時45分
健常児→全盲児→盲ろう者という三つの世界を体験してきた著者が一人の「宇宙人」として、現実社会という「地球」で体験してきたことを軽妙な筆致で綴るエッセイ。
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渡辺荘の宇宙人 -指点字で交信する日々-
「本当に献身するものを宇宙は助ける」
この言葉は福島さんにピッタリ。福島さんは溢れるユーモアと途切れることのない好奇心で、いまは東大の先生に!あとから続く人達に勇気と喜びと、生きることの大切さを教えるために。私は福島さんを心から尊敬している。
福島智のエッセー集を読んだ黒柳徹子さんから素朴社編集部に届いた感想である。
1962年、兵庫県神戸市生まれ。3歳で右目、9歳で左目が見えなくなり全盲に。盲学校に通っていた14歳の時に右耳が聞こえなくなり、18歳の時に左耳の聴覚も失い全盲ろうという試練に立たされる。
その頃の心境を友人宛の手紙に次のように綴っている。
「俺にもし使命というものが、生きるうえでの使命というものがあるとすれば、それは果たさねばならない。そして、それをなすことが必要ならば、この苦しみのときをくぐらねばならぬだろう」
コミュニケーション手段を失われたと思っていた著者に、一筋の光明をともしたのは、母親が点字タイプライターのキーに見立てて手の指にタッチする方法「指点字」だった。
母親が考案したこの指点字によって、休学していた高校に戻り、教員や学友たちの協力を得ながら学業を復活し、友人たちとの会話や遊びも可能に。やがて恩師の助言もあり、大学教員になるという夢に向かって進むことになる。
1983年、東京都立大学人文学部に合格、盲ろう者として日本で初めて大学進学を果たしたということで、多くのメディアに取り上げられた。著者の驚くべきパーソナリティは、学ぶことへの集中力もさることながら、さまざまな分野への知的好奇心とそれを裏付けるような読書量、友人との議論や遊び、飲んだり食べたりすることへの飽くなき情熱、そして多彩な人たちとの交流におけるウィットやユーモアである。
著者のエッセーを読んだ国立民族学博物館(大阪府吹田市)の教授から講演依頼があり受諾。「指点字における“自然発生的出会い頭(がしら)コミュニケーション”について」というテーマで行った講演の後、数人で会食。そのとき、著者がSF小説を愛読しており、最も好きな作家が当時「日本沈没」や「復活の日」などで人気を博していた小松左京であることを語ると、会食をしていたメンバーの中に小松左京と親しい人がおり、小松左京に著者のことを電話で伝える。すると自宅へ招いてくれて、好きな作家との交流が始まり、小松左京は本書に下記のような推薦文を寄せてくれた。
「彼とはじめて“指点字”という方法で、ものの三十分も話をした時、私は脳天からつきぬけるような衝撃をうけた。彼は私の『日本沈没」も『復活の日』」も『果しなき流れの果に』も全部点字訳でよんでおり、そこから“魂に対するはげまし”を感じたというのだ。正直言って、今まで私の作品にこんな感想をきいたのははじめてだった。たった一人でも、こんなメッセージをうけとってくれる読者がいるという事は、作家冥利につきる。
彼との会合を通じて、私は逆境にも負けない、“人間の魂”のすばらしさ、美しさ、力強さ、想像力というもののすてきな力をあらためて感じさせられ、年甲斐もなく泣いてしまった。」
本書は、東京都立大学を卒業し、日本学術振興会の特別研究員や大学の非常勤講師だった頃までのエッセーを集めて編集されている。
その後著者は、都立大学人文学部助手、金沢大学教育学部助教授を経て、2001年4月東京大学先端科学技術研究センター助教授に招かれ、08年には教授になっている。
独特の感性とユーモアで盲ろうの世界を「住めば都(みやこ)」などと軽妙に語る著者と指点字の通訳などで支えてくれた多くの友人たち。まさに運命を使命に変えようとする青春群像が凝縮した一冊である。
今回電子書籍化にあたり、新たに著者による「まえがき」と本編にも加筆を加え発刊いたしました。
また、盲ろう者の方へも本書を読んでいただきたいという著者・福島氏の強い思いから、
書籍本編を点字に翻訳して読むために必要なテキストデータを電子書籍版購入者へ無償配布しております。
【著者プロフィール】
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福島 智(ふくしま さとし)
東京大学教授
1962年神戸市生まれ。博士(学術)。専攻は障害学。9歳で失明、18歳で聴力も失い、全盲ろう者となる。
1983年、東京都立大学人文学部教育学専攻に入学。盲ろう者としては、日本初の大学進学者となる。同大大学院博士課程、日本学術振興会特別研究員などを経て、1996年7月に同大人文学部助手、同年12月金沢大学教育学部助教授に就任。
2001年に東京大学先端科学技術研究センターバリアフリー分野主任教員(助教授)に就任。2008年に同センター教授に就任。
2023年度から同センター特任教授。
盲ろう者で大学の正規教員に就任した(1996年)のは、世界初とされる。
(著書)
・『渡辺荘の宇宙人』(素朴社、1995年、2024年に電子版発刊)
・『盲ろう者とノーマライゼーション-癒しと共生の社会をもとめて』(明石書店、1997年)
・『生きるって人とつながることだ!』(素朴社、2010年)
・『盲ろう者として生きて-指点字によるコミュニケーションの復活と再生』(明石書店、2011年。英訳版『Living Deafblind』、東京大学出版会、近刊)
・『ぼくの命は言葉とともにある』(致知出版社、2015年)
・『ことばは光』(天理教道友社、2016年)
・『盲ろう者と障害学』(生活書院、近刊の予定)など。
タイトル:『渡辺荘の宇宙人』
出版社:素朴社(株式会社ヴィアックス)
〒164-8677 東京都中野区弥生町2-8-15
電話:03-6276-8301
発売日:2024年12月17日(1995年10月1日初版)
定価:1,100円(税込)
書誌ページ:
https://store.sobokusha.jp/products/978-4-915513-3-98
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