人工呼吸器に関する独自の技術
PR TIMES / 2020年10月2日 12時15分
~早産児から成人まで、集中治療に有効な換気モード~
予定より12週も早く産まれた早産児で、助かる見込みは半々といわれたSabina Checketts。成長した今では自ら新生児科医として活躍し、新しい治療法や高度な技術を腕に、早産児の転帰改善に取り組んでいます。ゲティンゲが独自開発した人工呼吸器の換気モード「NAVA」は、人工呼吸器につながれた赤ちゃんの負担を軽減し、よりやさしく、より自然な呼吸ができるようセンサーを使って呼吸を補助するもので、成人への適用も注目されてきています。最近のランダム化比較試験では、NAVAを使うと人工呼吸器装着時間を大幅に短縮できることを示しています。今回、新たにインタビュー動画を作成して公開しました。
早産児として生まれてから33年経った現在、Sabina Checketts はロンドンで新生児科医として働いています。当時 Checketts 医師の命を救った人工呼吸器は、現在早産児の治療に使われているものとはかけ離れたものでした。「人工呼吸器の換気モードが、赤ちゃんのために呼吸するものから、赤ちゃんとともに呼吸できるものへと進化したのです」(Checketts医師)
Sabina Checketts医師や有識者へのインタビュー動画
[動画: https://www.youtube.com/watch?v=38MRba6NeVg ]
か弱い早産児が生き延びようと闘うその時、最も重要なのは大抵の人が見過ごしてしまうようなことー「呼吸」です。そして新生児学における極めて重要な進歩、また成人の救命救急に大きな影響を与えた進歩が、より高度な人工呼吸器の開発でした。
患者とともに呼吸する、という換気モードが「NAVA(Neurally Adjusted Ventilatory Assist:神経調節補助換気)」、ゲティンゲが独自に開発した技術です。ゲティンゲは乳幼児から大人までに対応する集中治療ソリューションを世界各国で提供しています。
多くのICUでは、人工呼吸器を装着した患者の約2割において、合併症や望ましくない転帰につながる可能性があり、医療従事者を含む人工呼吸器関連リソースの約8割を割かねばならない状況にあるといいます。※1 NAVA は成人に対しても使用されており、新生児で有効だった特長は成人患者にも十分適用可能です。
新生児学分野の臨床研究部長で、1980年代から早産児の研究に取り組むSherry Courtney博士は次のように述べています。「NAVAは医療の質を向上するための選択です。横隔膜は筋肉で、横隔膜が収縮すると息を吸い、弛緩すると息を吐きます。NAVAでは、カテーテルを胃の奥深くまで挿入して横隔膜付近に留置し、それを用いて呼吸を信号として感知しています」
カテーテルに搭載された小さな電極が横隔膜の収縮を感知すると、患者が息を吸いたがっているという信号がほぼ瞬時に送られます。人工呼吸器は、それに同調してガスを供給します。電極が横隔膜の収縮終了を感知すると、息を吐き出せるよう呼気に転じます。
「NAVAは呼吸に合わせた補助を少し行うだけですが、患者は望みどおりに呼吸することができます」とCourtney博士は語ります。
一般的に、人工呼吸器を使っている成人患者の横隔膜は、使用開始時には機能していても、人工呼吸器を長く使っているとすぐに活動が低下してしまいます。ゲティンゲのメディカルディレクター Miray Kärnekullは、「欧州では通常、NAVAのような高度な換気モードは、横隔膜筋の活動を保つために成人患者に使用されます」と言います。
つい最近複数の施設で実施したランダム化比較試験では、NAVA を用いた急性呼吸不全の患者は、従来の肺保護的機械換気と比較して、人工呼吸器の使用時間が有意に少なく、抜管の失敗も少ないことが示されました」
「NAVA人工呼吸器の同調性は、横隔膜の正常な状態を維持するのに役立つだけでなく、患者と人工呼吸器のファイティングを回避します。大抵の場合、成人患者は強い薬による鎮静を必要としますが、NAVAを使用すれば、医師は鎮静薬を減らして早期にウィーニングし(人工呼吸器を外して自発呼吸に戻すこと)、合併症を抑えることができるのです」とゲティンゲの Miray Kärnekullは話します。
「実に画期的なテクノロジーだと思います。NAVAは、成人患者の人工呼吸はもちろん、そのウィーニング過程においても医師が個々の容態に合わせて処置できます」
このような進歩は、Checketts医師のような若手医師の活躍を支えています。Checketts医師が医師になろうと決めたのはまだ幼いころ。それは母親が、病院へ向かう男性を指差して「あの人があなたの命を救ってくれたお医者さんよ」と教えてくれたときでした。その記憶は、自身が担当する乳児の家族に対して常に前向きに接するための原動力となっています。
「私自身も早産児だったことをご両親に伝えると、いつも驚かれます。ショックを受けられるくらいです。そして、あぁ、だからお医者さんになられたのですね、と。早産児だからといって限界があるわけではないことを伝えるには、良い例ですね」とChecketts医師は語ります。
「このわずか10年、15年、20年の間にも、医療は各段に進歩しています。それより前に生まれた私でさえも、このように成長し医師になっていますから。これからの希望や可能性を信じてもらえると嬉しいです」
1. Icuregswe.org. (2016). Start - SIR-Svenska Intensivvardsregistret. Available at: http://www.icuregswe.org/en/ [Accessed Dec 2. 2015].
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