石原都政から小池都政までの20年を辛口コラムで振り返る『都知事、不思議の国のあるじ』刊行!
PR TIMES / 2020年6月18日 14時40分
株式会社公職研(本社:東京都千代田区、代表取締役:大田昭一)は、6月23日に『都知事、不思議の国のあるじ-20年間の都政から読みとく地方自治』を刊行いたします。石原都政から小池都政まで、葉上太郎氏(地方自治ジャーナリスト)が2001年から雑誌連載したコラムより47本を厳選し、これに書き下ろしを加えた、都政の20年を振り返る一冊です。
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■本書の特徴
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(本書より)
1.石原、猪瀬、舛添、小池――。個性豊かな知事の下、繰り広げられた東京都の政治・政策から、自治体の長、議会、職員の何たるかが見えてくる。
2.地方自治ジャーナリストである葉上太郎氏による“辛口”都政解説。
3.2001年連載開始のコラムから47本を厳選。「忘れてしまった」「知らない」この20年間の都政がよく分かる。
自治体職員向けの月刊誌『地方自治職員研修』(公職研刊、2020年3月号をもって休刊)で人気を博した「葉上太郎の都政ウオッチング」。約20年間、226回にわたった連載から、コラムを厳選、書き下ろしを加えて書籍化しました。
<厳選コラムと書き下ろしで振り返る都政の20年>
・石原都政が生まれた必然性(石原1期)
・次第に混迷の様相を深める(石原2-4期)
・2代続けて短命に終わる(猪瀬・舛添)
・メディアに作られ、メディアで失速する(小池)
・東京一極を人のせいにするな(地方・都区関係)
・とさかは鶏がなければ生きられない(都庁の組織・人)
およそ20年間の雑誌連載では、単なる「批判記事」としてではなく、東京都の政治・政策、人の動きから、自治体の首長・議会・職員の有り様を問うべく、厳しい視線を向けてきました。今回、書籍化にあたってはこのコラムを厳選し、歴代の知事のなしてきた政治・政策決定はどうだったのか、その何が問題だったのかをより鮮明に浮かび上がらせました。
都知事選を前に、「都知事とは何か、都政とは何か」ということに、関心が高まっています。東京都に住む人はもちろん、全国的にも、切っても切れない「地方―都関係」(人口集中、水源・電源依存、税・財源制度…。)の上に立つ「都政」だからこその問い。
その問いに答える、いまこそ読みたい一冊です。
■刊行概要
『都知事、不思議の国のあるじ-20年間の都政から読みとく地方自治』
◎著者:葉上太郎(地方自治ジャーナリスト)
◎定価:本体1,750円+税
◎体裁:A5判・並製・148頁
◎発行:公職研
ISBN978-4-87526-402-6
■「まがえき」より
「いきなり目がキラキラし始めたね」
何人もにそう言われた。小池百合子・東京都知事のことだ。くすんでいたのに、急に生き生きし始めたというのである。
小池知事は2016年の当選直後こそ華々しい勢いがあったが、1年ほどで求心力を失った。政治と政策の両面で人々の不信を招いたからだ。
まず、政治欲が災いした。就任から1年とまだ都政の足元も定まっていなかった時に新党を結成し、知事にとどまったまま衆院選に臨んだ。結党時に旧民進党から合流しようとした人の一部を「排除」して有権者の反感も買った。さらに、自ら問題があると公表して仕掛けた豊洲新市場の移転問題では主張を変節させ、期待した人々を裏切った。
そうした結果、任期の折り返しを待たずして評判は地に落ちた。
「テレビに出たら、顔を見るだけで気分が悪くなるので、チャンネルを変える」と話す人までいた。
小池知事は逆風の中で、身を硬くして息をひそめ、しかし一方では小さなイベントに細かく足を運んだ。まるで小選挙区の衆院議員のような行動だった。
「ということは、再選出馬への意欲は満々だ。直接会った人の数が得票数とばかりに“地道な運動”で機会をうかがっている」と、都政界では噂されていた。
その都知事選がいよいよ3カ月後に迫った2020年3月――。
前年に中国で発生した新型コロナウイルスの感染拡大が東京に迫った。都内の感染者数は日々うなぎのぼりに増え、感染爆発とでも言える状況が目前に迫った。
こうした機会を逃さないのが小池知事である。
いち早く「都市封鎖」に言及し、首相官邸をさっそうと訪れて要望書を提出し、注意を呼び掛ける都提供のテレビCMには自ら登場した。小さなイベントに顔を出していた時と同じ人格とは思えないほど意欲的だった。
「危機を語り、対策を呼び掛ける時の小池知事は目が輝いている」。そう話す人が私の周囲ですら多かったのだから、かなりの人がそう感じたのではあるまいか。
「危機を奇貨として、求心力を得ようとする。小池さんらしいやり方だ」と話す人もいた。
ただ、このような政治展開が行えるのは、東京だからだろう。
メディアの集積地なので、ちょっとした発言が取り上げられて、全国に広まる。風向きも変わりやすい。
しかも約1400万人の都民の代表としての存在感は格別だ。
だが、こうした行動がどう都知事選に結びつくか、そして新型コロナウイルス対策に結びつくかは、まだ誰にも分からない。
(中略)
次の任期の都知事は極めて難しい舵取りを迫られるのではないか。東京五輪・パラリンピックは2021年7月に延期されたが、その時に都に巨大なイベントを行うだけの体力があるかどうか。暮らしに困窮する人が増え、財政への不安が顕著になっても、五輪を行うことへの理解は得られるのか。そもそもコロナ禍は終息しているだろうか――。
このような問題を、毎月コラムの形で書いてきた。
月刊『地方自治職員研修』(公職研刊)で「葉上太郎の都政ウオッチング」という連載を受け持ってきたのである。都政の動きをストレートに報じるというより、様々な角度から政治や政策、人の動きなどを解説してきた。
スタートは2001年6月の石原慎太郎知事の時代だ。それから226回目となる2020年3月号で同誌が休刊となり、20年近くにわたる連載は幕を閉じた。
これだけ長い連載だったのだから、都政を振り返るための一つのツールになるのではないかと言われれば、確かにそのような気もする。そこで編集部最後の仕事として47本を厳選してもらい、本にまとめ直していただいた。
少し辛口なのは、愛あればこそである。
■目次
まえがき
第1部 都政―この20年の変転
第1章 石原慎太郎〈第1期〉
視察? 遊び?/姉妹都市の危機――テロと都政/都民の懐が痛まない都税――新たな東京VS地方/閉じた知事査定/不安なオーソライズ
〈書き下ろし〉石原都政が生まれた必然性
第2章 石原慎太郎〈第2期〉
「青」の時代の終わり/後悔先に立つ/舵切り、せず/「課題」の認識/「見込み違い」と都知事選
第3章 石原慎太郎〈第3期〉
再起動のある種不可解な「空気」/五輪の景気変動リスク/また、他人のせい?/都議選の「新3K」/「負け都市」の幕の引き方/減収1兆円
第4章 石原慎太郎〈第4期〉
震災が決めた知事/今度は「復興」名目/二度目の放り投げ
〈書き下ろし〉次第に混迷の様相を深める
第5章 猪瀬直樹
2、3年で替えない知事/東京五輪、浮かれる前に/ご都合素人
第6章 舛添要一
なぜ来てほしいのか/幕引きは忘れた頃に/外野知事/舛添流と石原流/「せこい劇場」の根っこ
〈書き下ろし〉2代続けて短命に終わる
第7章 小池百合子
「政治家」の仮想敵/世相の宝庫/記者も議員も知らないなんて…/新「都議会のドン」になれるかどうか/「税収奪」の二律背反/都民の声、恣意の声
〈書き下ろし〉メディアに作られ、メディアで失速する
第2部 自治体としての東京都
第1章 都と地方、都区関係
区より市か、市より区か/ダムは国の事業なのか/哀れみではなく、お詫びと感謝を/大阪都の衆愚、東京都の衆愚/1350万人の理由/東京の税は頑張った泉佐野市に移せ
〈書き下ろし〉東京一極集中を人のせいにするな
第2章 都庁マンと政策
室閥/三位一体の“割引率”/コピー刷りのベストセラー/若者ほど住みたくない街になる?/名前を持て、そして気概を持て/涙鍋/第五福竜丸の存在感/「都立」の使命と雑な議論
〈書き下ろし〉とさかは鶏がなければ生きられない
あとがき
《資料》月刊『地方自治職員研修』掲載記事・一覧
■著者紹介
葉上太郎(はがみ たろう)
地方自治ジャーナリスト。全国紙記者を経て、2000年にフリージャーナリストとして独立。2001年6月号から2020年3月号まで、月刊『地方自治職員研修』(公職研)に「葉上太郎の都政ウオッチング」を毎月連載。著書に、『日本最初の盲導犬』(文藝春秋 、2009)、『瓦礫にあらず――石巻「津波拾得物」の物語』(岩波書店、2013)など。
■本件に関するお問い合わせ先
株式会社公職研 編集部
〒101-0051 東京都千代田区神田神保町2-20
tel.03-3230-3701 fax.03-3230-1170
http://www.koshokuken.co.jp/
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