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私が見たカンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル2024を通して日本の企業と共有したいこと

PR TIMES / 2024年7月12日 13時40分

キーワードは「ユーモア」と「インクルージョン」



2024年6月17日から21日までの5日間、南フランスのカンヌで開催された世界最大の広告祭「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル2024」(以下、カンヌライオンズ2024)に参加してきました。
東京とロサンゼルスを拠点に広告やコンテンツ制作、戦略を手掛けるMt.MELVILでビジネスデベロッパーとして働く私が、「カンヌライオンズ2024」をレポートします。

[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/144143/4/144143-4-4f6590c27e373d1f689d26dc925f517d-3213x1807.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
雨天の日もありましたが大変気持ちの良い気候の中、行われた「カンヌライオンズ2024」


昨年から今年にかけて、広告祭で最も多く語られているのはAIでしょう。
今でも多くのクリエイターが「AIは私たちの仕事を奪うのか」という点を議論しています。しかし、私は「カンヌライオンズ2024」で「AIは既にクリエイティブと共存するもの」として当たり前に受け入れられているのを感じました。確かに、AIは生産性を助ける可能性があるものの、AIが難しいのは共感です。共感は人間だけができるものであり、その部分はAIがとって代わることはありません。

世界を舞台にした広告において、この共感を考えていくには「ダイバーシティ&インクルージョン」の理解や取り入れが欠かせません。今年の「カンヌライオンズ2024」でも、様々な背景、状況、個性を持つ人を理解し、インクルージョンしていくことが注目の議論となりました。多くのスピーカーが人間の根本にある「共感」について語り、特にインクルージョンの重要性を強調していました。

特に今年のシークレットスピーカーの多くが、パラリンピック選手のDylan Alcott氏やTilting the Lens代表のSinead Burke氏のように、身体的にハンディのある方々でした。
彼らが語る「インクルージョン」は、障がいを持つ方々の存在を当たり前とし、彼らを社会の一部としてノーマライズすることを強調していました。彼らの存在を当然のものとして受け入れ、日常生活や職場、広告においても彼らが自然に含まれるようにすることが大切だと述べていました。
例えば2021年のアメリカ合衆国国勢調査局のデータによれば、アメリカには約4,200万人の障がいを持つ方がいます。これはアメリカの総人口の約13%であり、その家族も含むとかなりの数であることがわかります。世界保健機関によると、世界中で10億人以上が障がい*を経験し、ほぼ全ての人が一生に一度は障がいを経験するとされています。
それにもかかわらず、多くの広告やサービスには彼らのような姿の方々が当たり前のように描かれていないのです。
その違和感を理解すること、そして障がいを持つ方々が世界にいるのは当たり前であること。このようなインクルージョンの考え方は、広告においても非常に重要です。多様な背景や状況を持つ人々を理解し、共感をもって彼らを受け入れることが、より深いレベルでのクリエイティブな表現に繋がりつつ、更に多くの消費者層にビジネスを広げられる機会でもあります。これが今年の「カンヌライオンズ2024」での大きなテーマであり、私たちがこれから取り組むべき課題でもあると感じました。

本来であれば、考えずともわかるべきことなのに、日本人として日本に住む私は、彼らの登壇内容に世界と日本とのギャップを見せつけられました。
特に日本では「ダイバーシティ」に力を入れていますが、人種構成比が単一的、日本人構成比約98%というこの島国で「ダイバーシティ」といえば、男女の枠を増やすことに精を尽くしているように思います。日本政府は企業の女性管理職の比率を2030年までに30%以上にすることを目標として掲げており、少しずつ改善している状況ではありますが、まだまだ低い水準で右肩上がりの状況です。しかし、世界は枠を作る「ダイバーシティ」の次の段階に進んでおり、ジャンルを問わず「インクルード」、全ての人を受け入れることに精を尽くそうとしていることが感じられました。この大きなギャップを改めて突きつけられる経験となりました。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/144143/4/144143-4-aa6aeb24f6dc4eba64c2de7f6835346f-1920x1080.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
(左)Dylan Alcott氏 (右)Sinead Burke氏


次に今年のキーワードと感じたものは「ユーモア」です。
ユニリーバのブランド「ヘルマン」のマーケティングトップであるChris Symmes氏がゲストスピーカーにアメリカの人気コメディアンKenan Thompson氏を呼んで行われたディスカッションでは、コロナ禍以降、ユーモアが不謹慎なものとなっていたが、そろそろ改めてユーモアについて考えてもいいのではないか、という内容でした。
実際、今年の2月にアメリカ最大のスポーツの祭典「スーパーボウル」で放送された「ヘルマン」のマヨネーズのTVCMは、コメディアンのKate McKinnon氏と「ミャオ(マヨ)」と話す猫が共演し、大変な話題をさらいました。
「勇気を持ってユーモアを取り入れる」ということを課題とするワークショップでも、「真面目」なイメージのブランドだからこそ、「ユーモア」をツールとすることによって共感や身近さを感じ、人の心をより掴めるという話もありました。
コロナから進みつつある世界では「ユーモア」が必要であることと、そしてそれが先ゆく企業やブランドのトレンドとなっていることを確実に肌で感じました。

[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/144143/4/144143-4-ce60b67227d725f949ddcd24185a390e-2194x2925.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
会場で居眠りしている観客に声をかけるKenan Thompson氏


また、全体を通してユニリーバ、P&G、マースペットケアのような企業のマーケティングトップのスピーカーの回は、会場が満席になるほど多くの方が訪れていました。「カンヌライオンズ」はクリエイターが集まるものという先入観がありましたが、世界中からマーケターたちが最新情報や考え方を得るためにカンヌまで来ているのが印象的でした。元企業のマーケターである私も、もっと日本の企業も積極的に自社のマーケターをカンヌに送れば良いのにと思いました。世界基準でマーケティングのトップを走る企業からインプットを受け、それを日本に持ち帰ることは、必ず企業にとってもプラスになるし、世界のトレンドをしっかり掴む機会にするべきだと思いました。これは日本の企業が持つ可能性を引き出すための絶好の機会とも言えます。
今回アワードを受賞した作品を見ていると、日本は際立つことより万人受けを優先しているように感じ、なかなか世界基準に並べていないのでは、と感じました。日米の為替レートが1986年以来の最低水準に達し、日本国内だけではビジネスが成り立たないと感じ、世界に挑戦したいと考える企業も多いでしょう。日本で限界を感じるからこそ、積極的に世界のダイナミックさを知るために海外へ出向き、人と交流して需要を感じ取り、情報を得て世界の土俵に立てるクリエイティブに挑戦する勇気が必要だと感じました。

今回の「カンヌライオンズ2024」を通して、素晴らしい作品を世に残したクリエイターの皆さま、新しい道を切り開こうと戦い続けるために起業した皆さまから沢山のインスピレーションをいただきました。しかし、何よりも失敗を恐れず伝えたいメッセージのために挑戦し続ける世界中の企業の担当者の皆さまの勇気は賞賛に値するものだと思いました。

改めて日本が世界の二歩も三歩も後ろを歩いているということを痛感させられた5日間。今後も自分自身の視点を磨き続け、バイカルチャープロデューサー集団のMt.MELVILだからこそ持つグローバルな視点で、世界で勝つクリエイティブを日本の企業の皆さまと作っていきたいと思います。「カンヌライオンズ2024」で得た学びと刺激を胸に、次回のカンヌでまた新たなインスピレーションを得ることを楽しみにしています。

障がい*:広範囲の身体的、精神的、感覚的、知的な機能の制限や困難を指す。一時的なものから永久的なものまで様々であり、個人の生活や仕事における機能や参加に影響を及ぼすもの



Profile:
グスタヴィッチ むつみ/ Mt.MELVIL Business developer
マーケターとして、大中小企業で製品開発やコミュニケーション戦略に携わり、数々の企画を成功に導いてきた。台湾発スタートアップ企業の日本支社立ち上げやAmazon.JPにおける新規カテゴリー創設など、幅広い実績を持つ。外資系代理店で大型PR企画を手がけ、Twitter(現X)の日本最速RTを獲得するなど、バズを生み出す企画を得意とする。撮影や制作現場でのプロデューサー経験も豊富で、特にネスレ日本在籍時は「キットカット」のマーケティングスペシャリストとしてグローバルボーイズグループとの年間施策やサステナブル施策を企画・リードし既存の枠を超えた挑戦を続けてきた。そのため、多くの企業が直面する課題を担当者と共に解決し、日本企業が世界で活躍する手助けをしたいと強く願っている。2024年、Mt.Melvilに参画し、企業の戦略部分に関わり、Mt.Melvilのクリエイティブ展開に貢献する。

[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/144143/4/144143-4-e156e8eece28435dac581e00eaaeb62d-1080x1080.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]マウントメルビル株式会社
マウントメルビル株式会社は東京(本社:東京都渋谷区、エクゼクティブプロデューサー:山脇 愛理)とロサンゼルス(Mt.MELVIL,Inc:Los Angeles, CA、エクゼクティブプロデューサー:村田未来子)を拠点に、広告やオリジナルコンテンツの制作、戦略まで手がけるクリエイティブプロダクションです。プロジェクトを日本から世界へ、また世界から日本へ広げていくための良きパートナーとして、経験豊かなプロデューサーチームがあらゆる局面でサポートしています。

https://www.mtmelvil.com/

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