ICTを活用している児童養護施設は7割に及ぶ中で「学習意欲不足」や「勉強嫌い」に対する教育環境整備が基礎学力向上のカギ
PR TIMES / 2024年11月25日 16時15分
スプリックス教育財団:児童養護施設における学力・進学の実態調査
2024年11月25日
公益財団法人 スプリックス教育財団(本部:東京都渋谷区/代表理事:常石 博之)は、 今回、児童養護施設を対象に、学力、特に基礎学力に焦点を当て、学力における基礎学力の重要性認識、および、基礎学力の定着状況の把握を主目的に、学力・進学実態調査を行いました。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/152428/4/152428-4-b4f4b78415403c1e4eaa13c4ea881f86-1016x438.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
【調査概要】
調査対象: 33の児童養護施設より回答を得ました。
調査手法:オンライン調査(Google Formを使用)
調査内容:児童養護施設を対象とした、主に学習・進学に関する実態調査
調査期間:2024年7月~8月
回答者:各児童養護施設職員 (施設長、児童指導員、自立支援担当職員、保育士 等)
※本リリースに関する内容をご掲載の際は、必ず「スプリックス教育財団調べ」と明記してください。
【実施背景】
社会的養護を必要とする児童・生徒は、十分な学習の機会を得られずに、進学や就職などにも影響を及ぼしていることが報告されています。スプリックス教育財団においては、児童養護施設等出身の大学生を対象として奨学金支給事業を行っていますが、児童養護施設においては、入所前、家庭状況など様々な理由を背景に学業が遅れていた子どもが、学力を取り戻せていないケースも少なくないことが報告されています。つまり、学力において、まずは基礎的な学力を固めることが重要となるものの、その状況にまで至っていない現状があり、それが将来の選択肢を狭める一因となっていることが想定されます。
そこで今回、児童養護施設を対象に、学力、特に基礎学力に焦点を当て、学力における基礎学力の重要性認識、および、基礎学力の定着状況の把握を主目的に、学力・進学実態調査を行いました。
1. 9割以上の施設において、基礎学力が学習の土台として重要視されているものの、5割以上の施設において、基礎学力の定着していない在籍者の方が多い。
「1. 読み書き・計算・英単語といった基礎学力が定着しているか」「2. 定期テストで平均点より上の点数をとれているか」「3. 学校の授業についていけているか」という観点から、在籍者の学力実態を各施設に尋ねたところ、以下の通りとなり、学力の実態 について 多くの施設において、基礎学力をはじめとする学力が十分定着していない子どもが多いという結果になりました。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/152428/4/152428-4-59cb70441769283251eda13c4dbf0097-997x457.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
2. 学力不足の原因としては、「学習意欲不足」や「勉強嫌い」が特に多い。また、在籍者の学力に関する課題としては、「学力の遅れ」「学習意欲の欠如」「学習支援の困難さ」「教育環境整備の必要性」等があげられている。
児童養護施設に在籍する子どもの学力実態において、基礎学力が特に重要視されているものの、十分定着していない実態が確認されました。学力不足として考えられる原因としては、以下のようなものがあげられており、基礎学力の低い子どもが多い原因に学習意欲不足や勉強嫌いの子どもが多いことが原因と考えられます。
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/152428/4/152428-4-3e9c35b255c76881363385fc27d401c8-801x489.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
3. 在籍者が、高校卒業後に高等教育機関へ進学する割合は低く進学に関する課題としては、「経済的な困難」「進学する意欲」「自立」「地理的・環境的問題」 等があげられており、ICT活用が進むも、ICT活用による学習充実感については、十分得られているとは言えない現状となっている。
33施設における、2024年度の高校進学率は、98.2%となっており、一方、2024年度の高等教育への進学率(大学、短大、専門学校)は、31.7%、就職率が59.8%となっていました。一般的な高等教育機関への進学率は80%を超え、就職率が20%未満である状況と比較すると、児童養護施設の在籍者が高校卒業後に就職する割合は、大変高いことが分かります。 また、学力向上のための対策としてICTの活用 は7割と進んでいるものの、実際は「宿題を一緒にする」ことが学力向上の対策として9割とあがっており、ICT活用による学習充実感については、十分得られているとは言えない状況となっております。
[画像4: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/152428/4/152428-4-656a3e80dca6a63293252b09328a6d33-976x384.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
【調査結果のポイント】
調査結果より基礎学力が定着していない原因として、学用品や教材の不足といったハード面の問題は少なく、在籍者の「勉強嫌い」や「学習意欲の低い状況」へ取り組める環境整備が課題
調査の結果から、多くの施設において、基礎学力をはじめとする学力が十分定着していない子どもが多く、施設でのICT導入が7割と進んでいるにもかかわらず、中でも「勉強嫌い」や「学習意欲の低い状況」が原因でそのあることがわかりました。
そのため、ICT活用による学習の充実実感は高くない結果となっており、在籍者の「勉強嫌い」や「学習意欲の低い状況」へ取り組める環境整備が必要であると考えられます。
また、ICT機器による学習の充実実感を得ている施設もあり、そのような施設ではどのような活用がされているかなど、「現状の中でICTをいかに有効に活用していけるか」というソフト面の検討が必要であると考えられるとともに、職員の負担軽減につなげていく視点も重要となってまいります。
▼調査の詳細は下記よりご確認ください。
スプリックス教育財団 公式サイト:https://sprix-foundation.org/
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