未利用熱による発電を目指す東工大発ベンチャーelleThermo（エレサーモ）、プレシリーズAのクローズで総額3.6億円の資金調達を実施

～ 熱エネルギーを直接電気に変える半導体増感型熱利用発電の社会実装を通じ、エネルギー問題の解決を目指す ～



東京工業大学発のコア技術「半導体増感型熱利用発電（Semiconductor-Sensitized Thermal Cell, 以下STC）」を活用し、未利用熱のエネルギー変換を目指す株式会社elleThermo（エレサーモ）（本社所在地：東京都港区、代表取締役：生方 祥子、以下elleThermo）は、この度、株式会社慶應イノベーション・イニシアティブ（KII）をリード投資家とした第三者割当増資により、2024年8月、プレシリーズAクローズにて総額3.6億円の資金調達を実施しました。
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１．資金調達の目的
株式会社elleThermoは東京工業大学発の発明であるSTCの社会実装、延いては世界のエネルギー問題解決を目的に設立されました。今般、株式会社慶應イノベーション・イニシアティブをリード投資家とし、既存投資家である株式会社みらい創造機構に加え、新たに株式会社環境エネルギー投資、三菱UFJキャピタル株式会社、みずほキャピタル株式会社、ヒューリックスタートアップ株式会社、KDDI Green Partners Fundを引受先とした第三者割当増資により、2024年8月、プレシリーズAをクローズして総額3.6億円の資金調達を実施しました。本調達により、製造等設備への投資およびビジネス人材・エンジニア人材の採用を通じて、電池の出力向上に取り組んで参ります。また併せて、エンドユーザと共同での製品開発、及び実証試験に引き続き取り組みます。
２．半導体増感型熱利用電池STCとは
STCは、化学系太陽電池である色素増感型太陽電池において、「色素の光励起」を「半導体の熱励起」に変えて発電する熱エネルギー変換技術です。室温程度の低温度帯に存在する熱により発電ができることが特徴です。一定温度下の場合、化学平衡状態（平衡A）に到達すると発電が終了しますが、スイッチを切って電力を取り出さない状態での平衡系（平衡B）に移行させることで、再度放電することが可能となります。これまでに恒温槽の熱を使ったBluetooth通信や、鉱山の熱によるリチウムイオン電池の充電など、幅広いユースケースが報告されています。
本技術の原理については公開総説や弊社YouTubeチャンネルをご参照ください。
STC公開総説
３．事業展開
現在マイクロワットレベルの発電を達成しており、今回の資金調達を活用して、大面積化・積層化・薄層化などの要素技術を確立し、ミリワットレベルの発電を達成します。その後、電解質開発・耐久性向上・長期放電特性確立などにより、ワットレベルの発電を達成する予定です。弊社の直近でのメインターゲット温度は、人間がメンテナンスのために耐えられる温度である40℃付近であり、データセンター、鉱山地熱、家電、放射性廃棄物貯蔵施設など、幅広い熱源が設置環境となりえます。最終的には60 cm × 60 cm × 3 cm×４枚で200 W出力のサーモパネルを利用した地産地消の分散型電源事業を展開し、世界のエネルギー問題の解決へと結びつけます。
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４．投資家からのコメント
株式会社慶應イノベーション・イニシアティブ（KII）　プリンシパル　野村 直児 様
「今回、リード投資家としてelleThermoに参画できることを大変嬉しく思っています。これまで私たちの身近に無かった未利用熱の発電が、日常の一部として当たり前の存在となれば、世界は大きく変わります。今後、elleThermoがSTC技術を商用化し、社会に実装していくことで、新たな再生可能エネルギーとして確立され、私たちの生活に大きなインパクトをもたらすことを楽しみにしています。」
株式会社みらい創造機構　執行役員パートナー　高橋 遼平 様（elleThermo取締役）
「この度は、多くのプロフェッショナルな投資家の皆様に参画頂いた資金調達ラウンドとなり、大変心強く感じております。株式会社elleThermoとは、創業前のGTIE GAP ファンドへの申請時からのご縁であり、創業来、急成長をしていく姿にいつも驚かされております。
私自身も、elleThermoの成長に負けないよう、微力ながらエネルギー問題に向き合っていきたいと思います。」
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株式会社環境エネルギー投資　パートナー　中村 謙吾 様・キャピタリスト　尾崎 千紘 様
「一次エネルギーの大半を占めるにもかかわらず、有効に活用されきれていない熱を直接電力に転換できる画期的なプロダクトがelleThermo社の開発するSTCです。
今後加速度的に増えていくだろうデータセンターのサーバー排熱や、鉱山地熱、プラント排熱などを活用した発電が可能になり、脱炭素が叫ばれる昨今大きな社会的インパクトを生み出せると考え出資させていただきました。

重要な技術開発フェーズを支援できることを光栄に思います。社会実装は平たんな道のりではありませんが、再エネの世界で世界と伍するスタートアップとなることを期待しています。」
三菱UFJキャピタル株式会社　上席次長　竹原 弥 様
「elleThermo社が社会実装を目指すSTCは、室温程度の熱そのもので発電できる点に大きな特徴があります。
この特徴から、例えばこれまで有効な活用用途のなかったデータセンターでのサーバー排熱や鉱山地熱を活用した発電が可能となり、脱炭素社会に向けた有力なゲームチャンジャ―になり得るポテンシャルを秘めていると考え投資させて頂きました。
今回の資金調達を機に、MUFG一体でelleThermo社の更なる成長のご支援をして参りたいと考えております。」
みずほキャピタル株式会社　投資第一部　インベストメントマネージャー　高尾 亮 様
「elleThermo社の開発するSTC(半導体増感型熱利用発電)は未利用熱活用のブレイクスルーとなりうる、ひいてはエネルギー問題解決にインパクトを与えうる技術と考えております。当該技術の社会実装への生方代表の高い熱量にも共鳴して、株主として今回参画させていただきました。みずほグループとも連携し、elleThermo社の成長を多面的かつ全力で支援してまいります。」
ヒューリックスタートアップ株式会社　キャピタリスト　関根 悠平 様
「エネルギーの最終アウトプットである排熱を電気に変える、elleThermo社様の大きなポテンシャルに期待し、出資をさせて頂きました。「STC」には莫大な社会実装の可能性があり、日本のエネルギー問題の解決に貢献する社会的意義の高い技術です。今回の出資を経て、ヒューリックは、データセンターや不動産関連での「STC」の社会実装を支援して参ります。」
KDDI Green Partners Fund / KDDI株式会社　コーポレート統括本部　サステナビリティ経営推進本部長　矢野 絹子 様
「増大し続ける通信機器や電子機器の省エネルギー化と排熱の利活用は、脱炭素社会の実現に向けて重要な課題であると認識しています。elleThermo社の画期的な技術は、これらの課題解決に大きく貢献すると期待し、今回の出資に至りました。今後、自社の通信機器や電子機器から出る排熱を活用した発電実証実験を通じて、STCのユースケースを拡大し、早期の社会実装に向けて支援してまいります。」
５．株式会社elleThermo　代表取締役　生方 祥子　コメント
「今回、弊社を創業前から支えてくださった株式会社みらい創造機構様に加え、ディープテック領域におけるインパクト投資の日本の先駆けである株式会社慶應イノベーション・イニシアティブ様、環境問題への深いご理解のもとご出資いただく株式会社環境エネルギー投資様、KDDI Green Partners Fund様、社会実装へのご助言をいただけるヒューリックスタートアップ株式会社様、そして高い社会的信用と広範なネットワークで弊社をご支援下さる三菱UFJキャピタル様、みずほキャピタル様にご出資いただけたこと、大変心強く感じております。

創業からここまで、ずっと調達活動をしていたような感覚がございますが、やっと後ろを気にせず開発に打ち込める思いです。皆様のお力添えを受けながら、エネルギー問題の解決にまっすぐに取り組んでまいりますので、どうぞ引き続き何卒よろしくお願い申し上げます」
・株式会社elleThermo（エレサーモ）について
株式会社elleThermoは安全・安心で、資源に頼らないエネルギー問題・資源問題の解決を目指しています。
そのために東京工業大学発のコア技術であるSTCを活用することで、室温以上の未利用排熱で電力を生み出し、限られたスペースを有効に活用できる安定した発電システムを世界に届けてまいります。

本件お問合せ先：
株式会社elleThermo
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