花粉症改善への新たなアプローチ。乳酸菌株KB1とシソ由来ポリフェノールの併用投与の効果についてLABバイオテックが報告。
PR TIMES / 2024年11月19日 10時30分
LABバイオテックと北海道大学の共同研究により明らかとなった、KB1とロスマリン酸の相加的な働き。花粉症患者への新たなアプローチを示唆する成果を報告した。
株式会社LABバイオテック(本社:札幌市北区北29条西4丁目2番1-203号、代表取締役:盛 孝男、以下 当社)は、第97回日本生化学会大会(2024年11月6日 - 8日、横浜開催)において「スギ花粉症モデルマウスにおけるPediococcus sp. KB1とロスマリン酸の症状改善効果」の演題で北海道大学(遺伝子病制御研究所シンバイオティクス部門 宮崎忠昭特任教授)との共同研究成果を発表しました。KB1とシソポリフェノールの一種であるロスマリン酸は、それぞれ単独での花粉症の症状の改善効果は報告が有りますが、併用投与時の効果に関する研究は殆ど有りません。
当社と北海道大学の共同研究グループは、当社が保有する乳酸菌株KB1とロスマリン酸を花粉症モデルマウスに併用投与することで、炎症応答やアレルギー症状を単独投与よりも強力に抑制することを明らかにしました。
■ 本研究の背景
日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会有病率調査委員会が、全国の耳鼻咽喉科医及びその家族を対象に実施した2019年の調査によると、花粉症の有病率は42.5%、とりわけスギ花粉症の有病率は38.8%であり、花粉症は日本人の3人に1人以上が罹患する国民病とも云える状況となっています。
乳酸菌Pediococcus sp. KB1株は北海道の白カブから単離された植物性乳酸菌で、細胞試験で強力な免疫賦活作用が示唆されていましたが、アレルギーに関する効果は確認出来ていませんでした。なお、ウイルスに対する免疫はヘルパーT1細胞(Th1)が担当する一方で、ダニや花粉などのアレルゲンに対する免疫はヘルパーT2細胞(Th2)と呼ばれる別の機構により働くことが知られています。
ロスマリン酸はシソ科植物に豊富に含まれるポリフェノールの一種で、アレルギーの抑制作用が知られています。そこで本研究では、KB1単体投与時及びロスマリン酸との併用時の効果をスギ花粉症モデルマウスに対し実施しました。
■ 研究方法
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/150149/6/150149-6-3dade8edb8346363ec26c72435a0fa7f-1372x356.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
実験スケジュール(発表内容より抜粋)
本研究では、5週齢のBALB/cマウス(日本クレア)にスギ花粉の主要なアレルゲンであるCry j1を感作したスギ花粉症モデルマウスを作製しました。モデルマウスにKB1及びロスマリン酸を投与し、マウスの行動や脾臓における免疫調節に関わる遺伝子の発現量に対する効果を解析しました。
■ 研究結果
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/150149/6/150149-6-338cf7f118652c89d1aafae0b0d43d33-1426x527.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図1 乳酸菌KB1株、ロスマリン酸(RA)、KB1+RA併用による花粉症モデルマウス行動の変化(発表内容より一部抜粋)
Cry j1感作群(Control群)は非感作群(Sham群)と比較してくしゃみや鼻掻き行動が増加し、花粉症モデルマウスが作製出来ていることが確認されました。KB1投与群、ロスマリン酸(RA)投与群はくしゃみ・鼻掻き行動共に減少しました。KB1+RA併用投与群はくしゃみ・鼻掻き行動が更に減少しました(図1)。
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/150149/6/150149-6-983dcb18dbb51409a049c9d3d260a1f3-1418x424.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図2 KB1株、RA、KB1+RA併用によるIL-10、IFN-γ、Foxp3 mRNA転写発現量の変化(発表内容より一部抜粋)
IFN-γはナイーブT細胞のTh2細胞への分化を抑制し免疫をTh1優位とする機能が知られています。また、IL-10は免疫の抑制に関与するタンパク質で過剰な炎症を抑制する効果が有り、Foxp3は免疫抑制に中心的な働きをする制御性T細胞の指標となる遺伝子マーカーです。これらの遺伝子発現はKB1投与群、RA投与群で増加し、併用投与によって更に増加することが分かりました(図2)。
すなわちこれらの結果から、乳酸菌KB1株とロスマリン酸は共にウイルスに対する免疫は活性化する一方で、アレルゲン等への免疫には抑制的に働くことが分かり、アレルギーに対する抑制効果が示唆されました。また、KB1株とロスマリン酸は併用投与により相加的にアレルギー抑制効果が上昇することが示されました。
今後の展望について
今回の研究成果につきましては特許出願中です。当社は本研究結果を基に、ポリフェノール原料メーカーやポリフェノールを採用している食品メーカー等への提案を強化していきたいと考えております。
今後、KB1株のアレルギー抑制効果のメカニズムについて検討すると共に、他のポリフェノール類との組み合わせについても検討していきたいと考えております。
なお、本研究成果の乳酸菌KB1株は当社のクラーク乳酸菌プレミアムに採用されております。
https://lab-biotech.co.jp/business/clark.html
学会発表者のコメント
学会では幅広い分野での素晴らしい研究成果と、熱心な議論が交わされておりました。ポスターセッションでは様々な観点からご質問を頂き、乳酸菌分野への関心の高さが分かりました。
学会では他にも乳酸菌関連分野の発表が有り、最新の知見を得ることが出来ました。今回の経験を今後の研究に生かしていきたいと思います。
企業プレスリリース詳細へ
PR TIMESトップへ
この記事に関連するニュース
-
有胞子性乳酸菌プロバイオティクスの養殖魚における斃死抑制効果を確認
Digital PR Platform / 2024年12月23日 20時5分
-
精神的ストレスがアトピー性皮膚炎を悪化させるメカニズムを解明
PR TIMES / 2024年12月23日 14時45分
-
抗炎症免疫応答に寄与するRALDH2の発現を促す食品由来物質を同定 ~免疫疾患の新たな予防法開発につながる成果~
PR TIMES / 2024年12月16日 11時45分
-
(株)ヘルスケアコンサルティングと神戸低侵襲がん医療センター、進展型小細胞肺がんのCDDP適合症例におけるICI併用レジメンの臨床的有用性に関する解析結果をESMO-Asia 2024で発表
PR TIMES / 2024年12月9日 10時45分
-
長寿研究のいまを知る(11)やせる2型糖尿病薬と長寿との関係…抗がん剤より副作用が少ない
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年11月28日 9時26分
ランキング
-
112月末まで!今年の「ふるさと納税」注意したい点 定額減税の影響は? 申し込む前に要チェック
東洋経済オンライン / 2024年12月26日 13時0分
-
2女川原発、営業運転を再開=福島第1と同型で初―東北電力
時事通信 / 2024年12月26日 18時46分
-
3昭和的「日本企業」は人事改革で解体される? 若手社員への配慮と、シニアの活性化が注目される背景
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年12月26日 5時55分
-
4なぜスターバックスの「急激な拡大」は失敗に終わったのか…成長を一直線に目指した企業の末路
プレジデントオンライン / 2024年12月26日 15時15分
-
5ローソン、東京など一部店舗で販売する“氷”を自主回収へ ガラス片混入の恐れ
日テレNEWS NNN / 2024年12月26日 20時51分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください