ハンセン病に関する「親と子のシンポジウム」静岡会場~ハンセン病に関する患者・元患者・その家族がおかれていた境遇を踏まえた人権啓発活動~

PR TIMES / 2019年10月17日 15時45分

正しく知ることで偏見や差別のない社会をつくるハンセン病患者・元患者とその家族について考える

7月12日、内閣総理大臣は、ハンセン病対策について、かつての施設入所政策の下で、患者・元患者の皆様のみならず、その家族の方々に対しても極めて厳しい偏見・差別が存在したことは厳然たる事実という談話を公表しました。そんなハンセン病問題を正しく理解するためのシンポジウムが、8月31日に静岡県静岡市で開催されました。プログラムは基調講演、パネルディスカッション、映画「あん」の上映、トークショーなど。参加者はハンセン病問題について思いをめぐらせました。



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(ハンセン病とは)
ハンセン病は「らい菌」という細菌に感染することで起こる病気です。手足の指先の神経が麻痺したり、皮膚が変形したりすることがありました。しかし、らい菌の感染力は弱く、発病することは極めてまれです。また、万が一発病しても、現在は早期発見と適切な治療により後遺症が残ることなく完治します。

■基調講演 ハンセン病の歴史と療養所
国立駿河療養所 駿河会会長 小鹿 美佐雄さん

明治40年に制定された「癩予防ニ関スル件」という法律は、昭和6年に「癩予防法」へと名称が変わりました。この法律の目的はハンセン病患者を収容・隔離すること。療養所での適切な治療などは望めませんでした。施設入所政策により「ハンセン病は非常に感染力が強く、怖い病気だ」という誤った認識が国民に浸透したことが、現代の偏見・差別に大きく影響しているのではないでしょうか。

また、患者だけでなく、その家族も差別を受けました。6月に熊本地方裁判所で行われた「ハンセン病家族国家賠償請求訴訟」の裁判では、改めてそのことが明らかにされたわけですが、今後の討議を通してハンセン病に対する正しい認識が広まっていくことを願っています。

現在、駿河療養所を含む、全国各地の療養所で入所者の高齢化が進み、施設をどう活用していくのかが大きな課題となっています。できれば、医療提供や地域交流の場として活用してほしいというのが関係者の希望です。ぜひ皆さんには、ハンセン病や療養所のことについて、考えてみてほしいと思っています。

■パネルディスカッション 未来に向けて、私たちにできること


(パネリスト)
・正しく知り、語り継ぐ
【静岡雙葉中学校3年 吉田 安祐美さん

ハンセン病家族訴訟で伝えたかったのは「患者の家族への偏見や差別はいまも完全には終わっていない」ということなのではないでしょうか。誤解から生まれる偏見や差別を終わりにするためにも、みんながハンセン病を正しく知り、後世に語り継いでいくことが大切だと思います。

・海人の後輩として伝える
静岡県立沼津商業高等学校2年 半田 小梅さん

高校の先輩でもある歌人、明石海人※の一生を調べ、かつてのハンセン病患者がどれほどつらい思いをしていたのか分かりました。沼津商業高校生として、海人のこと、ハンセン病のことをさらに深く調べ、それを後輩たちに伝えていきたいと思います。

※)あかしかいじん(1901−1939年)。静岡県沼津市出身の歌人。25歳の時にハンセン病を発病。

・駿河療養所の将来を考える
静岡大学地域創造学環地域共生コース4年 宮澤 大己さん

ゼミで、駿河療養所の将来構想をテーマに活動してきました。「将来」とはいつなのか、学生と入所者の間には大きなギャップがありましたが、報告書・提言書をまとめ、提出したことにより、少しだけ問題が動き始めた実感があります。療養所について、多くの方々に考えていただきたいです。

(コメンテーター)
・情報を発信し、誤解を解く
国立駿河療養所 駿河会会長 小鹿 美佐雄さん

若い方々がハンセン病のことを勉強し、それを後世に伝えていこうとしている姿を見て少し安心しました。まだまだハンセン病について誤解されていることはたくさんあるので、私自身も当事者として、様々な情報を発信していきたいと思っています。

・安心できる環境づくりを
国立駿河療養所所長、国立療養所多磨全生園園長 石井 則久さん

ハンセン病は「普通の病気」の一つです。家族も安心してそう言える環境になっていけばと考えています。駿河療養所にはふれあいセンターがあり、夏祭りなども開催されているので、ぜひいらして、入所者と交流してください。療養所の将来について、地域の方たちと一緒に考えていけたら良いと思います。

・国の決断を問題解決の契機に
フリーアナウンサー、元日本テレビアナウンサー・記者 藪本 雅子さん

かつて小泉総理が控訴を断念したとき、ハンセン病問題が解決したと達成感を覚えましたが、家族訴訟が始まり、問題が終わっていなかったことに気付かされました。今回の判決受入れで終わりではなく、これからが本当の解決へのスタートなのだと気持ちを新たにしました。

(コーディネーター)
・若い世代に啓発・教育の機会を
公益財団法人人権教育啓発推進センター理事長 坂元 茂樹さん

若い世代のパネリストの皆さんから、共通して「正確な知識を持たないことから偏見・差別が生まれる」と問題提起していただきました。偏見・差別をなくしていくため、啓発や教育の機会をもっと増やしていきたいと考えています。また、若い方々には積極的に学んでいただくとともに、真実を伝えていく語り部の役を自ら担っていくことをお願いしたいですね。


■トークショー

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・映画をきっかけに思いを馳せて
俳優(映画「あん」主演) 永瀬 正敏さん
フリーアナウンサー、元日本テレビアナウンサー・記者 藪本 雅子さん

映画「あん」の上映後、主演の永瀬正敏さんが登場し、藪本さんと対談。永瀬さんは「僕は演じているだけであんなにつらかったんですよ。だから、実際のご家族の気持ちというのは、とてつもないものがあるんだろうと思います」「元ハンセン病患者の方にお会いすると皆さん笑顔がすばらしいんですね。すごく前向きで。あの強さは、本当に自分もほしいと思えるくらい」と語りました。

さらに、人権についても意見を求められた永瀬さん。「ハンセン病だけではなく、いろんな問題で、みんなが違いを認めて、いろいろ会話ができる、知るということがすごく大事になってくるのではないか」と伝えました。

また、藪本さんは「あん」を振り返って「この映画は、生きづらさを感じている人、何らかの苦しみや痛みを抱えている人に見てもらいたい。『生きていていいんだよ』と言われている気がして、勇気をもらえる」と感想を述べました。


※国立駿河療養所
東海北陸地区唯一の国立ハンセン病療養所として70年以上の歴史を持つ、国立駿河療養所。質の高い医療・看護・介護等を提供する場として、地域住民との生活の一体化を目指しています。駿河会は駿河療養所の入所者自治会です。

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● このシンポジウムの模様は、動画共有サイトYouTubeの[人権チャンネル]でご覧いただけます。
https://www.youtube.com/jinkenchannel

【知っていますか?「子どもの人権110番」】
いじめや体罰などの困りごと、ひとりで悩まないで相談してください。

・子どもの人権110番 0120-007-110
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● 法務省人権擁護局ホームページ  http://www.moj.go.jp/JINKEN
● 人権啓発活動ネットワーク協議会ホームページ  http://www.moj.go.jp/jinkennet
● YouTube 法務省チャンネル  https://www.youtube.com/MOJchannel
● YouTube 人権チャンネル  https://www.youtube.com/jinkenchannel
●人権ライブラリー  http://www.jinken-library.jp

【人権アーカイブ・シリーズ】
分かりやすくまとめた映像で、ハンセン病をきちんと知ろう

「ハンセン病問題」~過去からの証言、未来への提言~
ハンセン病問題の歴史的な経緯や時代ごとの社会情勢、問題の本質などについて、関係者の証言や解説をもとに分かりやすくまとめた映像。幅広い世代が学びを得られます。
https://youtu.be/eRKCmf-kcSw

「家族で考えるハンセン病」
実際のハンセン病問題の関係者も登場するドラマ作品。中学1年生の清香が友だちと療養所を訪れるなどして、ハンセン病問題や人権の大切さについて理解していきます。
https://youtu.be/cRCAIDCC3hs

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