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(株)ヘルスケアコンサルティングと神戸低侵襲がん医療センター、進展型小細胞肺がんのCDDP適合症例におけるICI併用レジメンの臨床的有用性に関する解析結果をESMO-Asia 2024で発表

PR TIMES / 2024年12月9日 10時45分



- 神戸低侵襲がん医療センターを中心とする8医療機関の電子カルテデータ及びレセプトデータを統合
- 電子カルテデータからOSを始めとする有効性・安全性などの治療成績に関するデータ、レセプトデータから治療期間中の医療費データを取得し、患者ベースで一意に紐づけたデータセットを構築
- 進展型小細胞肺がんの患者において、免疫チェックポイント阻害薬であるアテゾリズマブあるいはデュルバルマブを含むレジメンの臨床的有用性を有効性と安全性の両側面で比較
- 全身状態および腎機能が良好(PS≦1かつCCr≧60 mL/min)でCDDPを投与可能と考えられる患者(CDDP適合症例)において、CBDCA+ETP+ATZとCDDP+ETP+DURの有用性は同程度であるとの結果
- 本研究結果を2024年12月開催のESMO-Asia 2024でポスター発表

 株式会社ケアネットのグループ会社で医療ビッグデータの分析により健康・医療に関わる課題解決に取り組む株式会社ヘルスケアコンサルティング(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:小久保 欣哉、以下、HCC)と神戸低侵襲がん医療センター治験・臨床研究支援センター(所在地:兵庫県神戸市、センター長:秦 明登、以下、KMCC)を中心とする8医療機関の研究チームは、小細胞肺がんの患者の電子カルテデータとレセプトデータを患者ベースで一意に紐づけたデータセットを構築し、費用対効果分析および様々な部分集団における臨床的有用性の解析を推進しています。
 この度、その成果として、全身状態および腎機能が良好(PS≦1かつCCr≧60 mL/min)でCDDPを投与可能と考えられる患者(CDDP適合症例)において、免疫チェックポイント阻害薬であるアテゾリズマブあるいはデュルバルマブを含むレジメンの臨床的有用性を有効性と安全性の両側面で比較した研究結果を2024年12月6日~12月8日に開催されたESMO-Asia 2024においてポスター発表をいたしました。
■ 学会発表について
タイトル:
Cisplatin (CDDP)+Etoposide (ETP)+Durvalumab (DUR) vs. Carboplatin (CBDCA)+ETP+Atezolizumab (ATZ): propensity score matching (PSM) real-world data (RWD) on CDDP-fit extensive disease (ED)-small cell lung cancer (SCLC)
著者名:
Kosuke Hamai; Katsuya Hirano; Akito Hata; Yuta Yamanaka; Toshiyuki Sumi; Motohiro Tamiya; Yuki Sato; Yuko Oya; Nobuyuki Katakami; Katsuhiko Iwasaki; Tatsuhiro Uenishi; Kinya Kokubo
学会名:
European Society for Medical Oncology Asia Congress 2024 (ESMO-Asia 2024)
開催期間(場所):
2024年12月6日~12月8日(シンガポール)

■ 研究の概要
背景・目的:
 化学療法と免疫チェックポイント阻害薬(アテゾリズマブあるいはデュルバルマブ)の併用レジメンは、進展型小細胞肺がんにおける一次治療の標準治療です。アテゾリズマブ併用療法とデュルバルマブ併用療法の有効性は同等であると考えられますが、デュルバルマブはCDDPあるいはCBDCAのいずれかと併用できるのに対して、アテゾリズマブはCBDCAのみと併用できます。従来CDDPはCDDP適合患者においてより有効であると考えられてきましたが、免疫チェックポイント阻害薬と併用する場合についてはほとんど知られていません。本研究は、CDDP+ETP+DURを投与した患者と、CDDPを投与可能と考えられる患者にCBDCA+ETP+ATZを投与した場合の有効性と安全性を比較することを目的としました。
 なお、本研究に先立ち、全体集団(非高齢者も含む)および71歳以上の高齢者部分集団における解析結果を発表しており、OSの観点ではレジメン間の有効性には差が見られないものの、医療費の観点からはアテゾリズマブの方が経済性に優れるという結果を報告しています。また、脳、骨および肝転移を有する患者において、アテゾリズマブとデュルバルマブの有効性が同等である結果も報告しています。本研究は、CDDP+ETP+DURを投与した患者と、CBDCA+ETP+ATZを投与した患者のうちCDDPが投与可能と考えられる患者に着目し、両レジメンの臨床的有用性を検討した部分集団解析となります。本研究を通して、CDDPを投与可能と考えられる患者において、CBDCA+ETP+ATZを選択することの意義について示唆を得られます。
方法:
 本研究は、神戸低侵襲がん医療センター及び試験参加医療機関(大阪国際がんセンター、函館五稜郭病院、宝塚市立病院、神戸市立医療センター中央市民病院、関西医科大学病院、JA尾道病院、藤田医科大学病院)の合計8医療機関から得られる実臨床のリアルワールドデータを解析する後ろ向き研究です。
 小細胞肺がんと診断された患者のうち、2022年12月末までにPD-L1阻害薬併用化学療法(CDBCA+ETP+ATZ、あるいは、CDDP/CBDCA+ETP+DUR)を開始された患者を解析の対象としました。
 有効性の指標として、OSおよびPFSを評価しました。また、安全性の指標として、免疫関連有害事象(グレード2以上)、間質性肺疾患、発熱性好中球減少症、重篤な有害事象の発生割合、及び、入院回数を評価しました。
 患者背景、及び、有効性や安全性などの治療成績に関するデータは各医療機関の電子カルテデータより取得しました。
 アテゾリズマブ併用療法群(ATZ-G)とデュルバルマブ併用療法群(DUR-G)の2群に分け、ATZ-GからCDDP適合例(PS≦1かつCCr≧60 mL/min)の患者を抽出、また、DUR-GからCDDP使用の患者を抽出した後、治療開始前の情報に基づき傾向スコアマッチングを実行し、両群の背景を同等にした集団を再抽出しました。
結果:
 2018年8月から2022年12月までに8医療機関から274例(ATZ-G / DUR-G = 176 / 98)が抽出されました。ATZ-Gのうち、CDDP適合例は98例、DUR-Gのうち、CDDP投与例は31例でした。その後傾向スコアマッチングで背景を同等にした患者集団として50例(ATZ-G / DUR-G = 25 / 25)が抽出されました。
 奏効率はATZ-Gで76.0%、DUR-Gで88.0%(P=0.463)でした。ATZ-GとDUR-GのOS中央値はそれぞれ19.8カ月(95%CI:12.2- Not Reached [NR])と21.4カ月(95%信頼区間[CI]:14.0- NR)でした(P=0.490)。ATZ-G とDUR-GのPFS中央値はそれぞれ4.7(95% CI: 4.3-6.5)ヵ月と5.6(95% CI: 5.1-7.5)ヵ月とでした(P=0.500)。また安全性に有意差は認められず、ATZ-GとDUR-Gのそれぞれで、免疫関連有害事象(AE)グレード2以上は2%と20%(P=0.702)、あらゆるグレードの間質性肺疾患は4%と8%(P=1.000)、発熱性好中球減少症は8%と8%(P=1.000)、重篤な有害事象は16%と8%(P=0.667)、入院回数の中央値/平均値は1/1.7と2/2.3(P=0.331)でした。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/96320/9/96320-9-226aec66fe1b25325aab99294e3834ca-2572x1706.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]


[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/96320/9/96320-9-32a95fc17db46fd41f6da8c3471197fc-2592x1710.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]


結論:
 CDDPを投与可能と考えられる進展型小細胞肺がんの患者において、CBDCA+ETP+ATZとCDDP+ETP+DURの有用性が同程度であることが示唆されました。

■ 今後の展開
 HCCとKMCCは、本研究結果を2024 Asia Conference on Lung Cancer (ACLC 2024)で発表の後、論文化を予定しております。これらの研究活動を通して、小細胞肺がんの患者に応じた適切な治療選択に貢献して参ります。
 本研究では、電子カルテデータとレセプトデータを患者単位で一意に紐づけたデータセットを利用し、CDDPを投与可能と考えられる進展型小細胞肺がんの患者において、免疫チェックポイント阻害薬を含むレジメンの臨床的有用性を検討しました。HCCでは、本研究の手法をモデルケースとして、非小細胞肺がんを始めとする他のがん種や、さらにはがん以外の疾患での検証も目指し、様々な医療機関との連携を目指していきたいと考えております。これまで多種多様なデータを解析し、エビデンス創出に取り組んできた経験を活かし、健康寿命の延伸と持続可能な社会の実現に貢献して参ります。

■ 株式会社ヘルスケアコンサルティングについて
本社: 東京都千代田区富士見一丁目8番19号住友不動産千代田富士見ビル
事業開始: 2021年11月
代表取締役: 小久保 欣哉
事業概要: ヘルスケア領域のコンサルティング、医療関連情報のデータサイエンス、エビデンスによるマーケティングとROI検証等
公式ホームページ: https://www.hc-c.co.jp/

■ 用語解説
※1 ESMO-Asia 2024: European Society for Medical Oncology Asia Congress 2024
※2 ICI: 免疫チェックポイント阻害薬
※3 ATZ: アテゾリズマブ
※4 DUR: デュルバルマブ
※5 CDDP: シスプラチン
※6 CBDCA: カルボプラチン
※7 ETP: エトポシド
※8 OS: 全生存期間
※9 PFS: 無増悪生存期間
※10 PS: Performance status
※11 CCr: クレアチニンクリアランス
※12 NR: Not Reached

以上

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