コラーゲン由来ブレインフーズ特許取得。認知機能を改善する成分として注目のシクロGP
PR TIMES / 2021年11月9日 19時15分
日本初、コラーゲン由来シクロGPの製造・用途特許
我が国の平均寿命は男性81歳、女性87歳(※1)と伸び続け、世界でも類を見ないスピードで高齢化が進んでいます。一方、健康寿命となると、男性72歳、女性75歳(※2)と10年前後の差があります。健康寿命との差をつくる、大きな原因の一つは認知症です。認知症は、治療法や治療薬として決め手となるものが現段階では見つかっていません。
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創業以来80年以上ゼラチン・コラーゲンの研究、商品の製造販売を行っているゼライス株式会社(本社所在地:宮城県多賀城市、代表取締役社長:稲井謙一)は、ブレインフーズとして期待される、コラーゲン由来の環状ペプチド、シクロGP(シクログリシルプロリン)の開発に成功し、2014年には製法特許を、2019年には認知機能改善用食品として用途特許(※3)を取得しました。
(※1)厚生労働省「令和2年 簡易生命表」
(※2)厚生労働省「令和2年版厚生労働白書」
(※3)NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の支援を受け、独立研究開発法人・産業技術研究開発所との共同研究
認知機能改善の可能性に期待、新ブレインフーズ「シクロGP」
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ゼライス社開発担当は、
「シクロGPはもともとヒトの脳内にある物質で、1996年にロシアで発見されました。ロシアの研究者はラットを使った実験で、あらかじめシクロGPを脳内に注入したところ、抗健忘作用がみられたという結果を発表しました。これを機に世界中から注目されましたが、食品として大量生産する方法が見つからず、これまでブレインフーズとして世に出ることはありませんでした」と話します。
震災直後、抗加齢に関連するトリペプチドの開発から生まれた製法
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ゼライス社は、抗老化全般をテーマに研究を続け、肌・ひざなど全身の機能維持や改善にコラーゲン・トリペプチドが関連することを発見し製品化、売り上げを伸ばしています。
「10年前、トリペプチドは脳にどうなのだろうか、という声があがりました。そんな中トリペプチドの製造過程で微量ながら別の成分ができていることに気づき、構造解析を行ったところ偶然にも認知機能改善で注目されるシクロGPであることがわかりました。当時、東日本大震災の影響を受け、最も資金繰りに苦労した時期でしたが、忍耐強く研究を続け、シクロGPの製法を追求しました」(ゼライス開発担当 以下同)
食べて脳に届くシクロGP、ヒト試験において認知機能改善を確認
ゼライス社のヒトによる研究により、シクロGP摂取後、血中濃度が上がり食品として摂取した場合、きちんと吸収されていることがわかりました。さらに透過性研究により、シクロGPは、血液脳関門を通過し脳へ到達することもわかりました。
また、ヒトによる試験で、8週間シクロGPを摂取したところ、
「男女10人という小規模試験でしたが、認知機能を測定するテストでスコアがアップし改善が見られました。今後さらに、規模を広げて試験を行っていく予定です」
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シクロGPの製造の難しさは、環状構造にある
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今まで注目されながら、ブレインフーズとして世に出ていなかった理由の1つは製造コストにありました。
「シクロGPはグリシンとプロリンというアミノ酸2つが結合したジペプチドです。アミノ酸を2つ並べて結合させることは難しくありません。しかし環状構造にするには、有機溶剤や高温・高圧が必要とされており、高コストなので食品としては見合わないとされていました。アミノ酸はタンパク質をつくる材料で、何百何千というアミノ酸が鎖状に結合し、それが折りたたまってタンパク質ができあがります。コラーゲンもタンパク質の1種です。一方、アミノ酸が数個から数十個結合したものは、タンパク質とはいわずペプチドといいます。2つ結合したのがジペプチド、3つ結合したものがトリペプチドです。タンパク質と同様にペプチドも、ヒトの体で働く物質です」
トリペプチドを開発したからこそ獲得した技術
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偶然の産物として発見されたシクロGPですが、実はそこにトリペプチドを製造するゼライス社の技術があったからこそ生まれました。
「紐のように長く鎖状につながるコラーゲンを、酵素で切断して最小単位のトリペプチドにする技術をゼライス社は持っています。酵素でゼライス独自のペプチド結合を切り離す技術があったからこそ、偶然の産物から安定して環状のジペプチドをつくりだすことに成功したのです」
環状ジペプチドは熱に強く安定性が高い
「シクロGPは、水に溶けやすく、100℃の熱にも絶えることがわかっており、安定性にすぐれた成分です。
また、通常コラーゲンなどのタンパク質を摂った場合、消化器官でアミノ酸に分解されて吸収されますが、シクロGPのような環状構造のジペプチドは分解されにくく、そのまま吸収され血中への移行が非常によいことも特長です」
今までブレインフーズといわれる食品は数々登場していますが、熱に弱い、分解されやすい、脳に届くのかわからないといった心配は、シクロGPにおいては必要ないようです。
シクロGPは脳神経を活性化させる物質
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「その後シクロGPは2000年前半にニュージーランドの研究で、脳の組織のダメージを改善することがわかりました。現在もロシアとニュージーランドのグループにより研究が続けられており、脳の神経保護効果、記憶調節効果に期待がもたれるようになりました。さらにオーストラリアでは、アンジェルマン症候群をはじめとする複数の神経疾患に有効な医薬品原料として、シクロGPの誘導体化物質の臨床試験が行われています。
培養細胞による研究ですが、ゼライス社では神経系モデル細胞がシクロGPによって活性化されることも確認しました」
近年は脳内の血流をアップする、腸脳相関を期待して腸内環境をよくするなどのブレインフーズが続々と登場していますが、脳内に存在する物質で脳神経を活性化させる物質であるシクロGPはそれらとは機序が異なり、期待が寄せられています。
医薬用ゼラチンからコラーゲンの未知なる可能性へ
「ゼラチンはコラーゲンからつくられています。80年以上前からゼラチンを製造するゼライス社は、コラーゲンからペプチドをつくる高い技術を持っています。現在は家庭用ゼラチンとして知られるゼライス社ですが、ワクチンの安定化剤としてもゼラチンを供給しておりアレルギーをゼロに近づけるためアレルゲンの研究を行い、トリペプチドの開発へつなげています。さらに、今度はシクロGPの開発に成功し特許を取得しました。長年の丁寧な研究を重ねてきたからこそ、これらの成果があったのだと考えています。今後は、シクロGPの製品化、さらなる抗加齢に向けたペプチドの研究を続けていく予定です」
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