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疾患の早期発見・医療費削減への寄与と製造における応用に貢献『第45回本田賞 贈呈式・記念講演』レポートジェームス・G・フジモト博士が受賞

PR TIMES / 2024年11月26日 10時0分

数秒で生体組織や内部構造をリアルタイムで画像化する「光干渉断層撮影(OCT)」

 公益財団法人 本田財団(設立者:本田宗一郎・弁二郎兄弟、理事長:石田寛人)は、1980年に「人間性あふれる文明の創造」に寄与する研究成果に対し顕彰を行う、日本初の科学技術分野における国際褒賞である「本田賞」を創設しました。2024年11月18日(月)帝国ホテル東京 孔雀東の間にて「第 45 回本田賞 贈呈式・記念講演」を開催しました。第45回目となる本田賞は、光干渉断層撮影(Optical Coherence Tomography、以下 OCT)の開発と、眼科、心臓病学、生物医学研究における OCT の商業化および臨床応用に貢献したジェームス・G・フジモト博士(米国 マサチューセッツ工科大学 電子工学研究所 電気工・コンピュータ学科 エリフ・トムソン冠教授)へ贈呈いたしました。



[画像1: https://prtimes.jp/i/68733/10/resize/d68733-10-eb887826ebf5b789fc2b-0.jpg ]

 開会と同時に、受賞者として紹介されたたジェームス・G・フジモト博士は、会場からの盛大な拍手で迎えられました。

 はじめに本田財団理事長 石田寛人より主催者挨拶がありました。石田理事長は、「本田財団は設立以来、利益と効率の追求ではなく、自然環境や人間環境両方を大切にする技術『エコテクノロジー*』という概念を提唱し、その普及と発展を訴えてまいりました。本田賞は1980年に創設され、日本で初めての科学技術分野における国際褒章として、長年に渡り多くの優れた業績を讃えてきました。本年は、次世代の科学技術および医療分野において、人類に大きな光明をもたらす素晴らしい業績を果たしたジェームス・G・フジモト博士へ本田賞を贈呈できることを嬉しく思います。」と述べました。

 続いて、本田賞選考委員会委員長の内田裕久より選考の経緯が説明されました。内田委員長は、「本田賞選考委員会では、世界各国の約300人の推薦者から推薦を募り、厳正な審議を重ねた結果、ジェームス・G・フジモト博士を受賞者として決定いたしました。OCTはコヒーレント光と光干渉計を用いて非破壊的に断層像を得る技術であり、博士はその機器を初めて開発し、網膜や血管の断層画像を得ることに成功しました。さらに博士は、OCTの普及を目指して、世界初の眼科用OCTを商業化しました。現在、OCTは眼科や心臓病学の分野だけでなく、糖尿病疾患や神経系疾患の早期発見、工業用の非破壊検査機器や指紋認証デバイスなど基礎研究や製造領域への応用が広がっており、その可能性は無限大です。本田宗一郎氏は、『技術で人々を幸せにする』と語りましたが、博士の業績はまさにこの言葉を体現するものであり、医工連携を率いてOCTの提案から開発・普及まで一貫して貢献した博士の業績は、『エコテクノロジー*』の重要性を長年標榜し主張してきた本田財団の基本方針にも一致し、本賞をジェームス・G・フジモト博士へ贈呈する運びとなりました。」と説明しました。
 その後、石田理事長よりジェームス・G・フジモト博士へ賞状が贈呈され、松本副理事長からメダルが手渡されました。ジェームス・G・フジモト博士は「本田賞を受賞できたことを大変名誉に思っています。本研究を続けることができたのは、研究に携わった仲間や多くの支援者からの知見やサポートがあってこそで、OCT技術が商業化され、臨床応用される中で、様々な人々の助けになっていることを非常に嬉しく思っています。」と喜びの言葉を述べられました。
その後、来賓の方々から祝辞をいただいた後、博士による記念講演が行われ、『第 45 回本田賞 贈呈式・記念講演』は終了しました。

ジェームス・G・フジモト博士 記念講演


[画像2: https://prtimes.jp/i/68733/10/resize/d68733-10-2633e6f08fb2d4872d82-1.jpg ]

 「光干渉断層撮影 -歴史、進化、そして将来の展望」をテーマにジェームス・G・フジモト博士による記念講演が行われました。博士がOCT技術を眼科で志すきっかけとなった出来事や学生時代の研究について、OCT技術の発見から進化に至る経緯について語られました。さらに、OCT技術の将来の展望についても触れ、今後の可能性について示唆されました。

「光干渉断層撮影(Optical Coherence Tomography)」の研究について


 OCTは、超音波に類似したイメージング技術であり、光干渉を利用して反射光の位置と強度を測定し、顕微鏡と同等の解像度で生体組織や物質の表面下構造をリアルタイムに画像化します。この技術は、複数の医療分野をはじめ、基礎研究や製造にも広く応用されており、ファイバースコープや内視鏡、腹腔鏡と組み合わせることで、体内の撮影が可能です。従来の切除生検のように組織片の採取を必要とせず、リアルタイムで画像化を行う「光生検」を実現します。
 ジェームス・G・フジモト博士は、OCT技術の開発において、基礎研究、工学、臨床医学、産業の各分野を横断する学際的な共同研究チームを結成しました。1980年代後半、このような取り組みは非常に珍しく、医工連携による研究開発の先駆けとなる画期的なものでした。
 現在、OCTは健康診断や糖尿病や神経系疾患の早期発見などで効果を発揮し、また患者の負担を軽減するだけでなく、医療の質の向上、診断時間の短縮、さらには医療費削減にも貢献しています。今後、他方面でのさらなる応用が期待されています。

本田財団とは


 本田財団は、本田技研工業株式会社の創業者本田宗一郎とその弟・弁二郎の寄附金によって、1977年12月に設立されました。当財団では、「自然環境」と「人間環境」の両方を大切にする技術を「エコテクノロジー*」と呼び、その発展と拡大を目指して、3つの活動に取り組んでいます。

 1.エコテクノロジーの概念に即して顕著な成果を達成した研究成果を表彰する国際褒賞「本田賞」
 2.現代社会が抱える種々の問題について解決のアイデアを議論し創出する「国際シンポジウム・懇談会」
 3.次世代を担う若い技術者・科学者リーダーを発掘育成する「Y-E-Sプログラム」
これらの活動を通じて、「人間性あふれる文明の創造に寄与する」ことを目指しています。

* エコテクノロジー(Ecotechnology):文明全体をも含む自然界をイメージしたEcology(生態学)とTechnology(科学技術)を組み合わせた造語。人と技術の共存を意味し、人類社会に求められる新たな技術概念として1979年に本田財団が提唱。

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