新規コラーゲン由来ペプチド「Gly-3Hyp-4Hyp」を発見 ― その高い安定性と細胞への機能
PR TIMES / 2022年6月8日 20時15分
株式会社ニッピは、2種のヒドロキシプロリン(Hyp)を含有するユニークなペプチドGly-3Hyp-4Hypが、コラーゲン加水分解物摂取後に血中へと高濃度で吸収されることを見出し、その高い安定性と生理活性を明らかにしました。本研究成果は、2022年6月3日に英学術誌「npj Science of Food」にオンライン掲載されました。
【論文情報】
Identification of a highly stable bioactive 3-hydroxyproline-containing tripeptide in human blood after collagen hydrolysate ingestion.
Taga Y, Iwasaki Y, Tometsuka C, Funato N, Shigemura Y, Kusubata M, Mizuno K.
NPJ Sci Food. 6(1):29 (2022) doi: 10.1038/s41538-022-00144-4
URL(オープンアクセス):https://www.nature.com/articles/s41538-022-00144-4
新規コラーゲン由来ペプチドGly-3Hyp-4Hyp
[画像1: https://prtimes.jp/i/83625/10/resize/d83625-10-2f8c455666a60399e7a4-6.jpg ]
【研究の背景】
コラーゲンは[グリシン(Gly)-アミノ酸X-アミノ酸Y]という繰り返し配列から構成されており、X位ではプロリン(Pro)、Y位ではProが水酸化されて形成される4-ヒドロキシプロリン(4Hyp;以下、Hypとも省略)がそれぞれ約30%を占めています。コラーゲンを酵素分解して作られるコラーゲン加水分解物(いわゆるコラーゲンペプチド)の摂取により、皮膚や骨、関節など様々な組織に対する有益な作用が古くから報告されていますが、その作用機序は長らくわかっていませんでした。しかし近年、Pro-HypやHyp-Glyに代表される、Hypを含有する様々なコラーゲン由来オリゴペプチド(※1)が、他の食品タンパク質由来ペプチドに比べて非常に高い濃度で血中へと吸収されることが明らかとなりました(※2)。Hyp含有オリゴペプチドの生理活性も多数報告されており(※3)、それらのペプチドが血流に乗って各組織に届けられることで、コラーゲン加水分解物による健康効果が発揮されると考えられています。
一般的にHypと言うと存在量の多い4Hypのことを指し、これまでPro-HypやHyp-Glyなど、全て4Hypを含有するオリゴペプチドの吸収性や機能性についての研究が行われてきました。しかしながら、コラーゲンGly-X-Y配列のX位では、4Hypとは構造の異なる3Hypも僅かに存在しており(皮膚I型コラーゲンで約0.2%)(※4)、私たちは、この特殊なHypがコラーゲン加水分解物摂取後にどのような形で吸収されているのかに注目し、研究を進めました。
【研究成果】
コラーゲン加水分解物摂取後のヒト血液を分析したところ、3Hypは大部分がアミノ酸にまで分解されず、3つのアミノ酸が繋がったペプチドGly-3Hyp-4Hypの状態で血中へと吸収されることが判明しました。Gly-3Hyp-4Hypの血中濃度は、最も主要なPro-HypやHyp-Glyには及びませんでしたが、その他のHyp含有オリゴペプチドに匹敵するレベルであり、また他のペプチドにない特徴として、摂取後4時間という長時間にわたって最大濃度を維持していました(図1)。
[画像2: https://prtimes.jp/i/83625/10/resize/d83625-10-442f1f69ae592cc09324-1.jpg ]
図1:コラーゲン加水分解物摂取後のヒト血中Gly-3Hyp-4Hyp濃度
また、Hyp含有オリゴペプチドは、配列中にHypが存在することにより、ペプチド分解酵素に対して高い耐性を持ちますが(※5)、Gly-3Hyp-4HypはPro-HypやHyp-Glyに比べてさらに血中で安定であることが示されました(図2)。コラーゲン中の3Hypは微量であるのにも関わらず、この著しい安定性によって、Gly-3Hyp-4Hypが吸収後に高濃度かつ長時間血中に留まっていると考えられます。
[画像3: https://prtimes.jp/i/83625/10/resize/d83625-10-e282576a8d9c26c4e9ea-5.jpg ]
図2:Gly-3Hyp-4Hypの血中安定性(マウス血漿中での分解推移, 37℃)
さらに、皮膚や骨においてコラーゲンを合成する細胞(皮膚線維芽細胞、骨芽細胞)に対する作用を評価した結果、Pro-HypやGly-Pro-Hypでは有意な効果は示されなかった一方で、Gly-3Hyp-4Hypはどちらの細胞に対しても強い生理活性を持つことが明らかとなりました(図3)。
[画像4: https://prtimes.jp/i/83625/10/resize/d83625-10-74917eb29fd7de628f06-3.jpg ]
図3:Gly-3Hyp-4Hypの生理活性(Dunnett’s test, *P < 0.05, **P < 0.01)
本研究で見出したコラーゲン由来ペプチドGly-3Hyp-4Hypは、その高い安定性と生理活性から、コラーゲン加水分解物摂取による健康効果に大きな役割を果たしている可能性もあります。3Hyp含量の多い原料から作ったコラーゲン加水分解物を摂取すると、Gly-3Hyp-4Hypの吸収量がさらに向上することも示されており(論文Fig. 5参照)、今後はGly-3Hyp-4Hypに特化したコラーゲン加水分解物を開発するとともに、その機能性を多角的に検証していく予定です。
※1:その他にX-HypやX-Hyp-Gly、Gly-Pro-Hypなど、アミノ酸が2~3個繋がった小さなペプチド
※2:
Iwai et al. J Agric Food Chem. 53, 6531-6536, 2005
Shigemura et al. Food Chem. 129, 1019-1024, 2011
Taga et al. J Agric Food Chem. 67, 4671-4678, 2019
※3:
Sato. J Agric Food Chem. 66, 3082-3085, 2018
当社ウェブサイト「生姜酵素を用いた機能性コラーゲンペプチドの開発」
https://www.nippi-inc.co.jp/biomatrix/tabid/172/Default.aspx?itemid=477
※4:Taga et al. J Biol Chem. 291, 837-847, 2016
※5:Taga et al. J Agric Food Chem. 66, 8737-8743, 2018
【お問い合わせ先】
本記事および製品に関するお問い合わせ … https://www.nippi-inc.co.jp/tabid/140/Default.aspx
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