第65回WHO年次総会:新たなワクチン供給計画の不備

PR TIMES / 2012年5月16日 14時56分



プレスリリース
2012年5月16日


5月21日からジュネーブで開催される第65回世界保健機関(WHO)年次総会にて、必要とする子どもにワクチンの普及を目指す「世界規模でのワクチン供給計画(Global Vaccine Action Plan)」に関する協議が予定されている。国境なき医師団(MSF)は、基礎的な予防接種の普及と毎年1900万人の子どもが予防接種を受けられずにいる問題に向けた取り組みなしでは、この計画は失敗に終わる懸念があることを訴える。

「世界規模でのワクチン供給計画」は、2010年にビル&メリンダ・ゲイツ財団が子どもに命を救うことができるワクチンを提供することを目的に立ち上げた「ワクチンの10年(Decade of Vaccines)」プロジェクトを実践するために策定されたものであり、次週のWHO年次総会で各国保健相での協議が予定されている。MSFは「ワクチンの10年」を契機としたワクチン普及を目指す取り組みを歓迎する一方で、重要な問題の解決がなおざりであることに懸念を抱いている。

MSFのエストレリャ・ラスリー医師は次のように語っている。
「『世界規模でのワクチン供給計画』は、基本的な予防接種が十分に機能していることを前提に成り立っています。しかし、MSFが活動する国の多くでは、これは現実ではないのです。現在の予防接種のシステムの底上げをすることなく最新のワクチンの普及を目指しても、大半の子どもたちにとって有益な戦略ではありません。」

今日、幅広く流通するワクチンのほとんどが、訓練された医療従事者を必要とする注射による接種であるため、人材の限られた国にとっては適切な実施が困難である。予防接種を適切に完了するには、接種を受ける子どもが満1歳を迎えるまでに、その子どもと保護者が予防接種を実施している施設を5回訪れることが必要となる。これは、遠方に住む人びとや、交通費を支払えない人びとにとっては負担である。また、大半のワクチンは低温保存が必須であり、冷却技術が限られ、電力供給の不安定な国では輸送が問題となる。これまでのところ、輸送が簡便になるように調製されたワクチン開発を目指す動きはごくわずかである。新たな「世界規模でのワクチン供給計画」が、これに対応出来るものとなるかは不透明である。

MSFはこれまで、ワクチンで予防可能な病気の大流行に繰り返し対応している。流行の原因は平時の予防接種がなされていないことである。2010年はアフリカの28ヵ国ではしかが大流行し、2011年にはコンゴ民主共和国(DRC)だけで、1~10月の期間に10万人の感染が報告されている。この期間、MSFは同国で400万人の子どもにはしかの予防接種を行った。予防接種率の向上には、開発途上国に合わせた新たな方策と簡便に使用できるワクチン製剤が必要である。

毎年、世界中の新生児の20%が、致死性の病気から身を守るための基本的な予防接種を受けられずにいる。この懸念すべき数値は、一部の国や地域の接種率が特に低いことに起因するものである。新生児の60%が予防接種を完了していないインドのビハール州はその一例である。

過去10年間で予防接種を受けられる子どもの数を増やす取り組みにおいても、ほとんど進展が見られていない。2006年に予防接種を受けていない子どもが圧倒的に多いとされた10ヵ国のうち、DRC、インド、ナイジェリア、エチオピア、インドネシア、パキスタンは、2010年も同じリストの上位10ヵ国に名前を連ねている。ワクチンで予防できる病気に対し、無防備な子どもの数を減ら取り組みにおいては、進展がほとんど見られていないのが現状である。

MSFの必須医薬品キャンペーンにおける予防接種計画顧問、ケイト・エルダーは説明する。
「必要な予防接種を受けていない子どもたちを接種対象とするために、予防接種を簡便化するための取り組みを優先させなければなりません。接種の簡単なワクチン製剤開発の努力がいま必要とされているのです。遠隔地に住む子どもたちにワクチンを届ける方法についての議論も必要とされています。各国政府は、十分に機能するとはとても言いがたい計画を推し進めようとしています。平時の予防接種を底上げし、使用が簡便化されたワクチン製剤の必要性にこそ、注意を向ける必要があります」



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