大好評の「Before/After」シリーズ第2弾、『Before/After 相続法改正』6/21刊行!
PR TIMES / 2019年6月19日 14時40分
「相続」に関わる実務を確実にする!実務家のベスト・チョイス
株式会社弘文堂(本社:東京都千代田区、代表取締役社長:鯉渕友南)は、『Before/After 相続法改正』を2019年6月21日に刊行します。
本書の最大のストロングポイントは、シンプルな設例(121Case)をもとに、「旧法での処理はどうだったか」(Before)→「新法での処理はどうなるか」(After)に分けて徹底解説し、改正の前後で相続法の解釈・運用がどう変わるのかが具体的に分かる点にあります。
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[画像1: https://prtimes.jp/i/14059/12/resize/d14059-12-366311-0.jpg ]
【本書の特徴】
●シンプルな設例(121Case)をもとに、「旧法での処理はどうだったか」(Before)→「新法での処理はどうなるか」(After)に分けて、徹底解説! 改正の前後で、相続法の解釈・運用がどう変わるのかが具体的に分かる。
●根拠条文・要件効果の違いを示すことを第一義にし、実務においても学習においても、押さえておきたい基本を明示。
●法制審議会委員(潮見佳男、窪田充見、中込一洋、増田勝久、水野紀子、山田攝子)が編者となり、学者と実務家がわかりやすく解説。
ここでは、本書で扱っている解説のうち、このたびの改正で新設された第909条の2(遺産の分割前における預貯金債権の行使)の「Before/After」を紹介します。
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【新設】第909条の2
《分割前の預貯金債権行使》
遺産分割前に預貯金の払戻しが認められる場合
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【Case】
Aが死亡し、その相続人は妻Bと長男Cである。Aは、D銀行に普通預金600万円を有していた。BとCは遺産分割協議を重ねたが、未だ合意には達していない。Bは、裁判所の関与なしに、D銀行に対し、預貯金の払戻しを求めることができるか。
【Before】
従来、後述の最大判平28・12・19民集70-8-2121(以下、「本件最判」という)以前は、「相続人数人ある場合において、その相続財産中に金銭その他の可分債権あるときは、その債権は法律上当然分割され各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継する」(最判昭29・4・8民集8-4-819、最判平16・4・20集民214-13等多数)ものとされ、相続人全員の同意がない限り、預貯金は遺産分割の対象とならないとされてきた。
ところが、本件最判は「共同相続された普通預金債権、通常貯金債権および定期貯金債権は、いずれも、相続開始と同時に当然に相続分に応じて分割されることはなく、遺産分割の対象となるものと解するのが相当」と判示した。その後最高裁は定期預金債権、定期積金債権についても同旨の判決をした(最判平29・4・6集民255-129)。
すなわち、平成28年12月19日以後は、預貯金債権は、遺産分割の対象とされ、相続人間の準共有状態となり、相続人は単独で行使できないこととなった。
Caseにおいては、遺産分割未了であるため、Bは、単独では、裁判所の手続を経ずに、D銀行に対し、普通預金の払戻しを求めることはできない。
【After】
909条の2は、遺産分割前において、裁判所の判断を経ずに、遺産に属する預貯金債権の行使を一定の範囲で認めた。各共同相続人は、(日)遺産に属する預貯金債権の、(月)相続開始の時の債権額(各預貯金債権ごとの債権額)の3分の1に法定相続分を乗じた額につき、(火)預貯金債権の債務者(金融機関)ごとに法務省令で定める額を限度として、単独でその権利を行使することができる。
これは、本件最判により、遺産分割終了までの間、相続人に相続債務、葬儀費用、生活費、納税資金などの資金需要がある場合でも、相続人単独では預貯金債権の払戻しができない不都合が生じるおそれがあるため、遺産分割における他の共同相続人の利益を害することがないよう公平性を図りつつ、相続人の比較的小口の資金需要に対応できるように、預貯金債権に限り、家庭裁判所の仮分割の仮処分の要件を緩和する方法(→Case20)とともに、家庭裁判所の判断を経ずに、預貯金債権の一定割合の支払を受けられるように改正されたものである。
上記法務省令で定める額は、150万円でパブリックコメントに付されていた。これは、標準的な生計費の額については、毎年、国家公務員の給与勧告を行う際に人事院が参考資料として算定を行っている世帯人員が1名の標準生計費は1か月当たり12万円弱となっていること、および、平均的な葬式費用の額については,150万円前後とされていることが根拠とされている。今後パブリックコメントの結果を踏まえて法務省令が定められる。
Caseにおいては、Bは、(日)遺産であるD銀行の普通預金の、(月)相続開始の時の債権額(600万円)の3分の1(200万円)にBの法定相続分2分の1を乗じた額(100万円)につき、(火)法務省令で定める額(150万円)の限度内で、すなわち100万円の払戻しを求めることができる。
なお、909条の2に基づく払戻請求は、他の相続人がなした同条に基づく払戻請求や、家事審判手続法200条3項に基づく仮分割仮処分に基づく預貯金債権の払戻請求(→Case20)と、並行して行いうる。払戻額を決定する預金額の基準は「相続開始の時」の債権額であり、先行する払戻しは考慮されず、払戻額が決まり、同額以上の残額があれば、行使できる。
ただし、これまで同様、金融機関から、被相続人に対する債権、相続人に対する債権との相殺の抗弁や、例えば定期預金の満期前である等の預金約款による払戻制限の抗弁を受ける可能性はある。
また、909条の2に基づき相続人が単独で権利の行使をした預貯金債権については、当該共同相続人が遺産の一部の分割によりこれを取得したものとみなすこととされている。
すなわち、後になされる遺産分割調停・審判においては、当該相続人が先行する一部分割で既に909条の2に基づき相続人が単独で権利の行使をした預貯金債権を取得し具体的相続分の一部の満足を得ているものとみなし、清算義務を課すこととなる。具体的には、当該相続人の909条の2の権利行使による取得を考慮して、他の共同相続人に他の遺産を取得させるか、当該相続人に対し代償金支払義務等の金銭清算義務を負わせることとなろう。
なお、改正法附則第5条において、909条の2は、施行日前に開始した相続に関し、施行日後に預貯金債権の行使がされるときにも、適用するとされている。施行日以後であれば、相続発生の時期を問わず、相続人は909条の2に基づく請求が可能となる。
このほか、Bは、D銀行の判断により、一定額を下回る預金や、葬儀費用等に充てるための資金については、いわゆる「便宜払い」を受けられる場合もある(→Case19)
【書籍情報】
書 名:Before/After 相続法改正
潮見佳男、窪田充見、中込一洋、増田勝久、水野紀子、山田攝子/編著
判 型:A5判
頁 数:266頁
発売日:2019年6月21日
定価:本体2,200円+税
I SB N:978-4-335-35770-1
発行元:弘文堂
URL:https://www.koubundou.co.jp/book/b453980.html
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改正相続法の条文理解と実務理解の双方を獲得!
『実務解説 改正相続法』との併読が最適!
「改正相続法」に関わっては、数多くの解説書が刊行されておりますが、なかでも2017年9月に刊行されて以降、実務家や司法試験受験生の必読書として好評を博した『Before/After 民法改正』の第2弾となる本書と、改正相続法初の逐条解説である『実務解説 改正相続法 』(著者は本書の編者の一人である中込先生)を併読することで、条文理解と実務理解の双方を確実のものとすることができます。
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【書籍情報】
書 名:実務解説 改正相続法
中込 一洋/著
判 型:A5判
頁 数:368頁
発売日:2019年5月10日
定価:本体2,800円+税
I SB N:978-4-335-35789-3
発行元:弘文堂
URL:https://www.koubundou.co.jp/book/b453691.html
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