東大発・環境移送ベンチャー「イノカ」、IoTを活用したサンゴの人工抱卵を実現

PR TIMES / 2020年7月27日 11時40分

世界初、産卵時期をコントロールした人工産卵の実証実験を再始動

環境移送技術(※1)を活用する東大発ベンチャー企業の株式会社イノカ(本社 : 東京都港区、代表取締役CEO : 高倉葉太)は、IoT技術により水温を沖縄の久米島付近の海面水温と同期させた完全閉鎖環境内の実験で、サンゴの人工抱卵を実現したことをお知らせいたします。同時に、2020年8月からサンゴの人工産卵のための実証実験を再始動し、2021年3月、世界初の産卵時期をコントロールした人工産卵成功を目指します。



[画像1: https://prtimes.jp/i/47217/12/resize/d47217-12-362393-0.jpg ]



実験背景・目的


WWF(世界自然保護基金)の調査では、全世界のサンゴ礁が生態学的多様性による経済にもたらす資本価値は、観光業、漁業、沿岸の保護、研究価値といった観点から推定8,000億ドルと試算されています。地球上の全海洋面積のうち、サンゴ礁が占める面積の割合は世界の0.2%程度にすぎない一方で、そこには約9万3000種(海洋生物種の25%程度)の生物種が生息し、1平方キロメートルのサンゴ礁が年間15tの食料を生産しています。このように、サンゴは海洋生態系の中心的な機能を果たしているにも関わらず、その重要性はまだ一般的には広く認知されていません。

さらに、サンゴの生態系は大気中の二酸化炭素を吸収し、炭素を海洋に固定するブルーカーボン生態系としても注目されています。温室効果ガスの抑制効果も期待されていることから、世界的に減少を続けているサンゴを保護し、残していくことでSDGsに貢献できると考え、2019年10月より実験を開始しました。

[画像2: https://prtimes.jp/i/47217/12/resize/d47217-12-593479-1.jpg ]

小型水槽内での人工産卵技術が確立すれば、ビルなどの一般的な都市空間のような場所でも人工産卵が可能になるため、サンゴ研究が飛躍的に促進されます。

さらに、本来、自然界における産卵は年に1回と限定的ですが、水槽内の各パラメータの調整で、理論上、産卵の時期をコントロールすることが可能となるため、ハツカネズミやショウジョウバエのように何世代にもわたって研究調査を行うモデル生物としてサンゴを扱うことができます。これにより、その結果、サンゴの基礎研究が進み、サンゴ保全に大きく寄与すると考えられます。

より詳しい実験の背景については、こちらのnoteをご覧ください。
https://note.com/takakurayota/n/n70851786f79a



実験の概要


この度イノカが成功した実験は、独自で研究開発を進める「環境移送技術」を用い、虎ノ門にあるオフィスビル内の会議フロア一角にて実施しました。

<検証方法>
IoT技術を活用し、四季の変化をサンゴの採種元である沖縄の久米島付近の海と同期させました。水槽内では水温の調整のほか、水流をつくることで沖縄の海のような波を人工的に発生させています。

本実験では沖縄産の成熟したサンゴを利用し、アクアリウム用のサンゴライトで紫外線を当てました。ライトは昼は太陽を浴びるような明るさ、夜間は月明かりに照らされる程度の明るさにすることで、水槽内の環境を沖縄の海に可能な限り近づけています。

[画像3: https://prtimes.jp/i/47217/12/resize/d47217-12-315367-2.jpg ]


<検証結果>
5月中旬にサンゴを折って確認したところ、体内での抱卵を確認しました。
その後、例年の産卵タイミングである6月中旬に、再度サンゴを折って確認したところ、サンゴの体調の悪化に伴い卵が確認できず、産卵には至りませんでした。
[画像4: https://prtimes.jp/i/47217/12/resize/d47217-12-659010-3.jpg ]

弊社では、サンゴが産卵しなかった原因を「体調不良によってサンゴ本体に卵が吸収されたのではないか」と考えています。
これは、生物ではよくある現象で、体調悪化を食い止めるため(※2)卵を自分自身のエネルギーに変えたことが考えられます。



今後の展開


上記の結果をもとに、2020年8月より再び実証実験を開始します。今回は、できるだけ生体へのストレスを低減できるよう、水槽内の各パラメータをさらに精緻に調整します。また、サンゴの健康状態の判別のために画像解析技術も応用しながら、世界初の産卵時期をコントロールした人工産卵の成功を目指します。

暑い時期を経験させず、かつ次の産卵タイミングまで最短でたどり着くように季節を3ヶ月ずらし、11月の水温設定から実験をスタートさせ、約半年後の2021年3月に産卵を目指していきます。

イノカは今後も、国内初のサンゴの人工産卵の成功を目指しながら、地球温暖化や環境汚染などの危機に対し、生態系の価値を「のこす」ための取り組みを進めてまいります。



株式会社イノカとは


「自然の価値を、人々に届ける」をミッションに2019年に創業し、国内最高峰の『生態系エンジニア』とAI・IoTエンジニアを中心に、生態系の理解と再現(=『人工生態系』技術)の研究開発および社会実装を推進する東京大学発スタートアップ企業です。

東京大学 暦本研究室にてAI研究を行っていたCEO高倉、ブロックチェーン開発経験など高い実装力を誇るCTO栗田をはじめ、IoTデバイス開発や機械学習の高度な知見を持った最先鋭のエンジニアチーム、メガベンチャー出身のマーケティングチーム、大手広告代理店・プロダクトデザイナーのクリエイティブチームを有しており、社内外の先端プロダクト開発を積極的に手掛けながら、生態系の価値を「ひろめる」「いかす」「のこす」という3つの事業領域を拡大しています。

『環境移送サービス』を含む、生態系の価値を「ひろめる」事業としては、AIやICT技術を活用して都会で本物の自然を観察できる環境教育プログラムのほか、イノカラボ(港区虎ノ門)のサンゴ礁水槽を教材にした「本物のサンゴ礁に触れる」ワークショップ、生態系の価値を五感で味わう「食べリウム」、サンゴの蛍光タンパクを利用した光るカクテルイベント、さらに最近ではライブ配信を活用したオンライン授業など、ユニークな環境教育を展開しています。

詳しくはこちらのリリースをご覧ください。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000011.000047217.html
[画像5: https://prtimes.jp/i/47217/12/resize/d47217-12-133964-4.png ]


株式会社イノカ 会社概要
商号 : 株式会社イノカ
代表者 : 代表取締役CEO 高倉葉太
所在地 : 東京都港区虎ノ門1-4-7 GLOCAL GATE (第一誠ビル) 4F
設立 : 2019年4月
資本金 : 425万円
URL : https://corp.innoqua.jp
MAIL :info@innoqua.jp

※1 環境移送技術とは、水質(30以上の微量元素の溶存濃度)をはじめ、水温・水流・照明環境・微生物を含んだ様々な生物の関係など、多岐に渡るパラメータのバランスを取りながら、自社で開発したIoTデバイスを用いて実際の自然環境と同期させ、特定地域の生態系を自然に限りなく近い状態で水槽内に再現するイノカ独自の技術のこと。

※2 参考資料
https://academist-cf.com/journal/?p=8338

画像素材:こちらよりご利用ください。
https://drive.google.com/drive/folders/1YfnOJlxhCuaapSQVgcR31rKXEk-q8Q6z?usp=sharing


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