万病の原因である慢性炎症は水素でしか治せない
PR TIMES / 2021年3月5日 18時15分
MiZ株式会社は、慶應義塾大学環境情報学部・武藤佳恭教授およびカリフォルニア大学・バークレー校と共同で、「慢性炎症疾患における水素の治療的応用の可能性:ミトコンドリアのストレスに対する抑制の可能性」と題した総説論文を投稿し、この度論文が掲載されました。
従来の薬は急性炎症疾患を制御できても慢性炎症疾患は制御できません。病気の多くは慢性炎症がその根源にあります。最近の研究から、多くの炎症の誘発には細胞内のミトコンドリア(注1)で生成された活性酸素種(注2)による酸化障害が原因となることが分かってきました。水素は不活性物質ですが、活性酸素種の中でも最も酸化力の強いヒドロキシルラジカルを選択的に消去できます。
水素が炎症を抑制するメカニズムはよく分かっていませんでした。本論文では水素が炎症を抑制するメカニズム仮説を提唱し、中国で報告された新型コロナウイルス感染症の患者に対する水素ガスの臨床研究の有効性のメカニズムも考察しました。
本論文は、2021年3月4日に国際科学誌「International Journal of Molecular Science」(インパクトファクター: 4.6)で発表されました。
論文の背景と水素による炎症改善効果
多くの病気に慢性炎症が関与しているため、「慢性炎症は万病の根源」であると言っても過言ではありません。現代医療は、急性炎症疾患をコントロールすることはできても、慢性炎症疾患をコントロールすることはできません。炎症は、白血球の一種の細胞が産生する炎症性サイトカイン(注3)を放出することで誘発されます。軽度の炎症が長引くと、生体にダメージを与え、慢性炎症を誘発します。最近の研究では、ミトコンドリアが炎症性サイトカインの産生に重要な役割を果たしていることが分かってきました。そこで、当社はミトコンドリア内で産生されたヒドロキシルラジカルがNLRP3と呼ばれるインフラマソーム(注4)を活性化し、その刺激が炎症性サイトカイン産生の引き金となる仮説を提唱しました。
炎症モデル動物における水素の効果は、ミトコンドリアの酸化抑制とNLRP3インフラマソーム活性化抑制のメカニズムに基づいていることがいくつかの文献で示されています。水素のようなミトコンドリアに選択的なヒドロキシルラジカル消去剤は、NLRP3 インフラマソームの活性化につながるカスケード(注5)をブロックすることができます。水素はミトコンドリアの中に入り、ヒドロキシルラジカルを消去できる唯一の物質ですので、水素でしか慢性炎症疾患や慢性炎症に関連する多くの疾患を治すことができません。
新型コロナウイルス感染症に対する水素の可能性
新型コロナウイルスの表面にあるスパイク蛋白質が宿主細胞の表面にあるアンジオテンシン変換酵素2受容体に結合することでウイルスへの感染が始まります。ウイルス表面のスパイクと呼ばれる蛋白質がその受容体に結合すると、ウイルスは細胞内小胞に入ります。細胞内小胞ではウイルスは分解され、遺伝情報のみが細胞質に放出され、そこでウイルスは複製・増殖します。ウイルスの細胞質成分はウイルスのRNAを認識する受容体や他のセンサー分子を認識し、その刺激によりミトコンドリアでは大量のヒドロキシルラジカルが産生されます。これはミトコンドリアDNAを酸化し、これがNLRP3から炎症性サイトカインの放出へのカスケードを動かします。 最近、新型コロナウイルス感染によって誘導されるNLRP3の過剰活性化がサイトカインストーム(サイトカインの嵐)の引き金となる可能性を示したが論文が報告されました。したがって、水素はこのカスケードを抑制し、新型コロナウイルスで誘発された炎症を抑制する可能性があります。実際、新型コロナウイルス感染症の患者44人(対照46人)に水素ガスの吸入が有効性を示した臨床試験の論文が中国から発表されています。
論文
英文タイトル:Potential Therapeutic Applications of Hydrogen in Chronic Inflammatory Diseases: Possible Inhibiting Role on Mitochondrial Stress
タイトル和訳:慢性炎症疾患における水素の治療的応用の可能性:ミトコンドリアのストレスに対する抑制の可能性
著者名:平野 伸一1、市川 祐介1、佐藤 文平1、山本 暖2、武藤 佳恭3、佐藤 文武1
所属:1 MiZ株式会社、2 カルフォルニア大学・バークレー校、3 慶應義塾大学・環境情報学部
掲載誌:International Journal of Molecular Science, 2021, 22, 2549
URL:
https://www.mdpi.com/1422-0067/22/5/2549/pdf
[用語解説]
(注 1)活性酸素種:空気中の酸素が反応性の高い化合物に変化したものの総称で、一般的には(狭義には)スーパーオキシド、ヒドロキシルラジカル、過酸化水素、一重項酸素の4種とされている。
(注 2)ミトコンドリア:真核生物の細胞小器官である。二重の生体膜からなり、独自のDNAを持ち、分裂、増殖する。ミトコンドリアDNAはATP合成(エネルギー合成)以外の生命現象にも関与する他、酸素呼吸の場として知られている。
(注 3)炎症性サイトカイン:サイトカインとは、主に免疫細胞から分泌される蛋白質で、細胞間の情報伝達を担っている物質である。サイトカインの中でも炎症症状を引き起こすものを炎症性サイトカインと呼ぶ。
(注 4)インフラマソーム:複数のタンパク質からなる複合体で、細胞質内の異物(病原微生物成分や尿酸結晶など)を宿主細胞に対する危険シグナルとして認識し、細胞内のシグナル伝達を介して炎症性サイトカインの遊離を行い、炎症反応の誘導や進展に重要な役割を果たす。
(注 5)カスケード:元々の意味は数珠つなぎになったものですが、医学的には、いくつかの生化学的・生理学的反応を介して、1つのシグナルを段階的に増幅させる現象を指します。
※ご取材の際には、事前に次に示す「本資料のお問い合わせ先」にご一報くださいますようお願い申し上げます。
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