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シェアリングエコノミー協会、住宅宿泊事業関連条例に関する意見書を公表

PR TIMES / 2018年1月29日 17時1分

シェアリングエコノミー協会

一般社団法人シェアリングエコノミー協会は2017年1月29日(月)シェアリングエコノミー協会、住宅宿泊事業関連条例に関する意見書を公表をいたしました。



[画像: https://prtimes.jp/i/22734/13/resize/d22734-13-753848-0.jpg ]



意見書(全文)

住宅宿泊事業関連条例に関する意見書

一般社団法人シェアリングエコノミー協会 当協会は、わが国におけるシェアリングエコノミーの健全な発展のため、柔軟 かつ実態に即した法律・条例の整備を望みます。ついては、各自治体において 現在検討が進んでいる住宅宿泊事業関連条例につき、以下のとおり意見を述べ させていただきます。 

第1 意見の趣旨  
1. 住居専用地域全域を対象とした一律の制限を課すべきではありません。 
2. 都道府県や保健所を設置する市・特別区全域を対象とした一律の制限は、住宅 宿泊事業法の目的に逸脱し、違法・無効な制限であることは明らかです。  
3. 曜日による制限(例:月曜日午後から金曜日午前は民泊禁止等)も、制限が必 要な理由を具体的事実関係に基づいて検討した上で行わない限り、違法・無効 な条例となるおそれがあります。 

第2 意見の理由
1 上記1.について
ホームシェアリングは、個人のプライベートな生活領域での資産や活動を他者 と分かち合うことにより金銭的価値以上の豊かな経験を双方が得るというシェア の本質をなす活動です。安全安心への過度の配慮から入口部分で重すぎる事前規 制をかけてしまうと、住宅宿泊事業を始めるホストが著しく少なくなってし まい、共有型経済そのものが発展しません。 
住宅宿泊事業法第18条によれば、条例による住宅宿泊事業の区域及び期間に係 る制限は、「住宅宿泊事業に起因する騒音の発生その他の事象による生活環境の 悪化を防止するため必要があるとき」に「合理的に必要と認められる限度におい て」認められるとされ、さらに、同法施行令第1条では、同制限は、生活環境の悪 化の防止のため「特に必要」な場合に限定するものとされています。
住宅宿泊事業法においては、旅館業法に基づく許可や国家戦略特別区域法に基 づく認定とは異なり、住居専用地域であるか否かに関係なく、届出さえ行えば180 日という日数制限の下で住宅宿泊事業を行うことができる建付けとなっていま す。そうだとすれば、同法は日数制限を課す代わりに住居専用地域での宿泊事業 を許容する趣旨だと解釈するのが自然です。(1)

このように、住居専用地域において一般的に静謐な環境が求められるのは当然 のことである一方で、住宅宿泊事業法は180日以下の営業であれば住宅としての機 能を失わないとして住居専用地域での営業も認めていますので、条例による制限 が認められるためには、単にそこが住居専用地域であって静謐な住環境の維持が 求められるからというだけでは足らず、当該地域において民泊を制限しなければ ならない特段の必要性が存在しない限り、法律の委任の範囲を超える条例による制限を課すことになるものと思料いたします。
特に、同法施行令第1条第1号で「区域」(注:「地域」ではありません。「区 域」の具体例としては「学校の半径百メートル以内」や「●●4丁目の●●地区」 等が挙げられ、これは「地域」という概念(2) よりもさらに狭い概念です)ごとに期 間を指定して初めて制限することが可能であることを定めていることを考慮する と、具体的な事実関係に基づかず、単に住居専用地域であるからという理由によ る期間の制限を課した場合、各事業者から行政訴訟を提起される恐れがありま す。その際に法律の委任の範囲内で条例を制定していたかについて、どのような 事実関係に基づいて制定したのか等の証拠提出を求められる可能性が高く、これ が示せない限り、憲法第94条に違反しているとして違法・無効な条例という判断 を下される恐れがあります。(3)
当然のことながら、家主滞在型民泊ではホスト自身が当該住宅において生活し ているのですから、騒音やごみなどの問題について当該ホスト自身が普段生活を 営んでいるのと同等の範囲に収まることが十分期待されますし、家主不在型民泊 においても、住宅宿泊事業法及び関係政省令において厳格な資格要件に基づいた 管理者による管理が義務づけられており、責任の所在や問題発生時の連絡先など も明確になっていることから、騒音やごみなどの問題について、現在指摘されて いる問題がそのまま放置されることはありません。
したがって、住居専用地域全域を対象として一律に期間制限を課すことについ て、生活環境の悪化を防止するための特段の必要性は認められず、特に家主滞在 型民泊についてはより慎重な検討が必要になるものと思料いたします。 また、仮に今回上述のような制限を課すとしても、早期に実態調査やアンケー トを行うなどしてできる限り早期に条例の改正を実施すべきであると考えます。

2 上記2.について
繰り返しになりますが、住宅宿泊事業法においては、旅館業法に基づく許可や 国家戦略特別区域法に基づく認定とは異なり、住居専用地域であるか否かに関係 なく、届出さえ行えば180日という日数制限の下で住宅宿泊事業を行うことができる建付けとなっています。そうだとすれば、同法は日数制限を課す代わりに住居 専用地域での宿泊事業を許容する趣旨だと解釈するのが自然です。
特に、同法施行令第1条第1号で「区域」ごとに期間を指定して初めて制限する ことが可能であることを定めていることを考慮すると、具体的な事実関係に基づ かず、都道府県や保健所を設置する市・特別区全域を対象として一律に期間の制 限を課した場合、各事業者から行政訴訟を提起される恐れがあります。
この点、既に広域的に都道府県や保健所を設置する市・特別区全域において一 律に期間を制限する条例案を検討している自治体もあるようですが、「住宅宿泊 事業法施行要領(ガイドライン)」でも「条例によって年間全ての期間において 住宅宿泊事業の実施を一律に制限し、年中制限することや、都道府県等の全域を 一体として一律に制限すること等は、本法の目的を逸脱するものであり、適切で はない。」(29p)と明示されているとおり、都道府県や保健所を設置する市・ 特別区全域において一律に期間を制限する条例は、住宅宿泊事業法の目的に逸脱 し、違法・無効な条例であることは明らかです。かかる条例案については、家主 滞在型・不在型に拘らず、検討する自治体において事前に法曹に意見を求めるな ど、慎重な検討をお願いいたします。
仮に今回上述のような制限を課すとしても、早期に実態調査やアンケートを行 うなどしてできる限り早期に条例の改正を実施すべきであると考えます。

3 上記3.について
外国人観光客の視点から見れば、当然のことながら曜日に関係なく旅行の予定 を組むことになります。また、国内観光客の視点から見ても、有給休暇等を活用 した旅行を計画しようとした場合、住宅宿泊事業について特定の曜日の宿泊が制 限されるとなれば、民泊は事実上国内外の観光客の選択肢から外れることにな り、住宅宿泊事業の適正な運営を通じて観光客の来訪及び滞在を促進するという 住宅宿泊事業法の目的(第1条 (4) )に反する結果となる可能性があります。
また、特定の曜日における民泊を広く制限する条例を制定するということは、 自治体として外国人観光客も含め対外的に旅行客を受け入れないという意思表示 を行うことに等しいと評価されることも想定されます。
繰り返しになりますが、住宅宿泊事業法第18条によれば、条例による住宅宿泊 事業の区域及び期間に係る制限は、「住宅宿泊事業に起因する騒音の発生その他 の事象による生活環境の悪化を防止するため必要があるとき」に「合理的に必要 と認められる限度において」認められるとされ、さらに、同法施行令第1条では、 同制限は、生活環境の悪化の防止のため「特に必要」な場合に限定するものとさ れています。
また、「住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)」28pでも、「期間の設定 において、月や曜日を特定して設定し、その結果、年間の大半が制限の対象とな るような場合には、当該制限を行うことによって、当該区域の生活環境に悪影響 がもたらされることが想定しがたい期間も含めて当該区域におる営業が事実上で きなくなるなど、合理的に必要と認められる限度を超えて過度な制限となってい ないか等について特に十分な検証を行い、本法の目的や法第18 条の規定に反する ことがないようにする必要がある」と指摘されていますので、区域の制限だけで なく、期間の制限についても当該制限が必要な理由を具体的事実関係に基づいて 検討し、必要性・合理性を判断した結果として期間を制限しない限り、憲法第94 条に違反し、違法・無効な条例となる恐れがあります。少なくとも、条例制定ま でのプロセスについては、パブリックコメントを募集するだけでなく、条例制定 のための審議会や検討会に当協会や仲介事業者、民泊ホストなど当事者側の意見 聴取を実施する必要があると考えます。
したがって、家主滞在型・不在型に拘らず、具体的な事実関係を考慮すること なく、月曜日午後から金曜日午前中などというような曜日による画一的な期間制 限を行うべきではなく、当然、事業の実施を通年で制限する場合にはさらに具体 的な事実関係に基づく合理的な理由が必要になると考えます。 仮に今回上述のような制限を課すとしても、早期に実態調査やアンケートを行うなどしてできる限り早期に条例の改正を実施すべきであると考えます。

以上

(1) 平成29年5月31日 衆議院国土交通委員会 ○田村政府参考人(観光庁長官)答弁:「多様な宿泊ニーズに対応する選択肢をふやし、増加する宿泊需要に対応 していくことは、観光を成長戦略の柱に据える我が国にとって極めて重要なことでありまして、一定の規制のもと で健全な民泊の普及を図ることが求められております。また、空きストックである住宅の有効活用や、ゲストとの 交流を図るといった、宿泊サービスを提供する側からのニーズも一定程度ございます。このような多様なニーズに 対応するため、住宅を一年の半分未満の期間で活用するという制限のもとで、住宅が多く立地する住居専用地域を含 め、住宅が立地するさまざまな地域において実施可能とすることといたしております。この場合、周辺の生活環境へ の悪影響を防止するため、標識を掲示するとともに、住宅宿泊事業者または管理業者に対して、宿泊者への説明義 務や苦情処理義務などの措置を義務づけることといたしております。こういう結果として、住宅宿泊事業法案につ きましては、都市計画に基づく用途地域制度との整合を確保して提出させていただいているというふうに考えてお ります。」

(2) 参照:風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和二十三年法律第百二十二号))第13条 第2項 「都道府県は、善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害する行為又は少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止 するため必要があるときは、前項の規定によるほか、政令で定める基準に従い条例で定めるところにより、地域を 定めて、風俗営業の営業時間を制限することができる。」

(3) 「住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)」28pでも、「区域の設定において、例えば、都道府県等の内の 「住居専用地域」全域を対象とするなど、かなり広範な区域を制限の対象とすることを検討する場合には、住居専 用地域を含めて全国的に健全な民泊サービスの普及を図ることとした本法の目的を十分踏まえるとともに、各地域毎 に住宅宿泊事業に伴う騒音等が当該地域の生活環境にもたらす影響等についてきめ細やかに検討を行うなど、合理的 に必要と認められる限度において、特に必要である範囲で区域が設定されているかどうかについて特に十分な検証を 行い、本法の目的や法第18 条の規定に反することがないようにする必要がある。」と指摘されています。

(4) 住宅宿泊事業法第1条 「我が国における観光旅客の宿泊をめぐる状況に鑑み、…事業を営む者の業務の適正な運営を確保しつつ、国内外からの観光旅客の宿泊に対する需要に的確に対応してこれらの者の来訪及び滞在を促進し、もって国民生活の安定 向上及び国民経済の発展に寄与すること」

シェアリングエコノミー協会 HPサイト
http://sharing-economy.jp/ja/news/opinion180129/

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