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中小企業の人材育成に関する調査研究の結果を発表

PR TIMES / 2015年11月9日 12時41分

中小企業の人材育成は「経験マネジメント」がカギ、「屋根瓦式の人材育成」をいかに実現するかが課題

経営者・人事担当者・管理職およびその部下となる若手・中堅社員(社会人歴2年以上10年未満)の4つの層について多層的・立体的に、日本の中小企業の人材育成の実態に関する日本初の調査研究を実施しました。中小企業の人材育成に関する「通説」は科学的に検証ができないこと、また「経験マネジメント」を通して「屋根瓦式の人材育成」をいかに実現するかが課題であることが分かりました。

トーマツ イノベーション株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長 眞崎大輔)は、中小企業の人材育成に関する調査研究の結果を発表します。

本調査研究は、中小企業における人材育成手法のイノベーションを目的に、人材育成研究の専門家で大企業や公共領域でのコンサルティング実績のある中原淳氏(東京大学准教授 / NPO法人 Educe Technologies副代表理事)と共同で、2014年11月より進めてきました。中小企業350社2,800名を対象として2015年3月~2015年5月にアンケートを実施。経営者・人事担当者・管理職およびその部下となる若手・中堅社員(社会人歴2年以上10年未満)の4つの層について多層的・立体的に調査した、日本の中小企業の人材育成の実態に関する日本初※1の調査研究です。
※1外部調査会社調べ

中小企業における人材育成の「通説」の検証


若手・中堅社員の「能力向上」や期待通りの「成果」・「成長」と「社長のリーダーシップ」とは相関がない

中小企業では社長と社員との距離が近いが故に、社長の影響力・存在感はあらゆる面で大企業に比べて大きいと考えられ、人材育成においても例外でないといった意見が聞かれる。しかしながら今回の調査研究では、若手・中堅社員の「能力向上」や期待通りの「成果」・「成長」と「社長のリーダーシップ」とは相関がないことが明らかになった。若手・中堅社員のモチベーションには社長のリーダーシップが有効だが、実際の業務遂行においては管理職によるマネジメントが欠かせないことが分かる。


社内勉強会だけでは成果を出せる人材は育てられない

「社内勉強会や研修を実施すれば成果を出せる人材を育てられる」といった思い込みも見られるが、「若手・中堅社員が期待通りの成果をあげている」ことと、それらの実施の有無には相関がないことが明らかになった。社内勉強会等は決して無益ではないが、人材育成において必要十分とは言えないことが分かる。




これからの中小企業の人材育成に求められる要素


若手・中堅社員を伸ばすポイント「経験ストック」


若手・中堅社員の能力向上は、「社員に『背伸びの仕事経験』を意図的に積ませ、振り返りを通じて仕事のノウハウをストックさせること(以下、「経験ストック」と呼ぶ)」の有無との高い関連性が見出だされた。
若手・中堅社員の「経験ストック」の有無は、上司の仕事の任せ方による影響が大きい。「うまい任せ方」ができている上司とできていない上司では、部下の経験ストックの度合いに有意に差が見られた。
上司から部下への仕事の「うまい任せ方」とは、1)仕事の意義づけを行い、2)予想される困難を示し、3)再度意義を確認し、4)部下のコミットを引き出す、という4つのステップを踏んで仕事を任せる方法である。この工程に不足があると、言葉足らずで、部下からするといわゆる「丸投げ」となってしまい期待した結果が出ない状況に陥りがちとなる。


管理職のマネジメント力を伸ばすポイント「経験フロンティア」

「日常業務ではない『未解の仕事』に若いときから取り組ませ、同時に『社長の薫陶』を実施すること」(以下、「経験フロンティア」と呼ぶ)が管理職のマネジメント力と関連性の高い要素となった。
「未解の仕事」とは、「顧客からのハードな要求への対処」「全社プロジェクト」「新規事業の企画」「部門を横断して協力する仕事」といった日常業務とはかけ離れた「答えややり方を自ら見つけなければならない仕事(未開の土地の開拓)」であり、取り組む人にとって「社長の薫陶」はセーフティーネットとなる。セーフティーネットのない「未解の仕事」は無理難題の押し付けとなり、せっかくの人材を潰してしまうような状況になりかねない。
また上記「『通説』の検証 1.」の結果と照らし合わせると、社長の薫陶が管理職のマネジメント力と関連し、管理職のマネジメント力は部下となる若手・中堅社員の能力等と関連していることが分かる。中小企業の人材育成は上位者が下位者を育成し、下位者がさらに下位者を教えるように、「社長-右腕・中間管理職-若手・中堅社員」の三者が協力して育成の体制をつくることを必要としており、「一枚上の屋根瓦が一枚下の屋根瓦に重なる」ように構成される、いわば「屋根瓦式の人材育成」ということができる。


社長の右腕となる幹部を育成するポイント「経験ビジョン」

「右腕幹部の育成のポイントは「仕事人としての将来の目標(ビジョン)を持たせ、逆算して今できることを実行させること」(以下、「経験ビジョン」と呼ぶ)であり、若手・中堅社員時代から始まることが分かった。なお、中小企業の経営者からは、将来のビジョンを考えさせることで人材の流出を懸念する声も聞かれるが、むしろ逆で、「経験ビジョン」を持たせた方が自社への愛着が増すことが分かった。
「若手・中堅社員および管理職が期待通りの成果を上げるかどうか」へ関連性の高い要素が「右腕幹部の有無」であることが分かった。右腕幹部がいる企業では管理職も若手・中堅社員も成果を出しやすいと言える。




【調査研究の背景】
日本企業の99.7%※2が中小企業であるにも関わらず、人材育成において定石と言われるものは経営資源の少ない中小企業では実現が難しいものが多く、長らく中小企業を対象とした人材育成のノウハウが求められています。しかし中小企業の人材開発・人材育成を対象とした調査研究はほとんどなされていないのが実情て゛す。
本調査研究の結果を受け、トーマツ イノベーションでは「人材育成イノベーションフォーラム」を11月9日の第一回を皮切りに、今後継続的に開催していきます。加えて、賛同企業とともに人材開発の様々なテーマを題材としたさらなる調査研究や、調査研究から得られた成果を基にした新たな人材育成サービスの開発を行う予定です。
※2 2015年版 中小企業白書

【調査概要】
[表: http://prtimes.jp/data/corp/5749/table/14_1.jpg ]



【共同研究者 中原淳氏 プロフィール】
東京大学 大学総合教育研究センター 准教授、NPO法人Educe Technologies副代表理事。東京大学大学院 学際情報学府 (兼任)。東京大学教養学部 学際情報科学科(兼任)。大阪大学博士(人間科学)。北海道旭川市生まれ。東京大学教育学部卒業、大阪大学大学院 人間科学研究科、メディア教育開発センター(現・放送大学)、米国・マサチューセッツ工科大学客員研究員等を経て、2006年より現職。「大人の学びを科学する」をテーマに、企業・組織における人々の学習・コミュニケーション・リーダーシップについて研究している。専門は経営学習論(Management Learning)。
単著(一般書)『研修開発入門』(ダイヤモンド社)、『駆け出しマネジャーの成長戦略』(中公新書ラクレ)など多数。働く大人の学びに関する公開研究会Learning barを含め、各種のワークショップをプロデュース。民間企業の人材育成を研究活動の中心におきつつも、近年は、最高検察庁(参与)、横浜市教育委員会など、公共領域の人材育成についても、活動を広げている。一般社団法人 経営学習研究所 代表理事、特定非営利活動法人カタリバ理事。

【トーマツ イノベーションについて】
トーマツ イノベーションは中堅中小ベンチャー企業を中心に人材育成・人材戦略に特化したコンサルティング会社です。定額制研修「Biz CAMPUS(旧イノベーションクラブ)」、最新の教育手法モバイルラーニング・反転学習を取り入れた「モバイルナレッジ」など、業界初※3の人材育成サービスを開発・提供し続けています。「人材育成」という観点から様々なサービスを提供し、「Biz CAMPUS」のクライアント数は8,000社以上、業界トップクラスの支援実績があります。
※3 東京商工リサーチ調べ

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