2024年12月2日に初開催の「ACT FOR SKYシンポジウム」で木村化工機が講演「SAF用バイオエタノールの自給に向けた新プロセス構築について」
PR TIMES / 2024年11月20日 18時15分
「ヒートポンプ式バイオエタノール蒸留装置」で蒸留プロセスのCO2排出量を削減
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図1.Act For Sky
木村化工機株式会社(以下「当社」)は、2024年12月2日(月)に羽田空港のTIAT SKY HALLで初開催される「ACT FOR SKYシンポジウム」において、「SAF※1用バイオエタノールの自給に向けた新プロセス構築について」と題した講演を行い、国産バイオエタノールを製造する上での3つの課題と解決策について説明します。当社が提案する解決策の1つは、発酵直後のアルコール濃度が低いエタノールを蒸留する際に、エネルギー消費量の大きいボイラ蒸気を使わず、当社が発明した、低消費電力で蒸留する「ヒートポンプ式バイオエタノール蒸留装置」を活用することです。これにより蒸留プロセスのCO2排出量をゼロにすることも可能です。当社は令和6年4月に国産SAFの商用化と普及拡大に取り組む有志団体「ACT FOR SKY※2」に加盟しております。
※1.「SAF」は、Sustainable Aviation Fuel(持続可能な航空燃料)の略称で、循環型の原料で製造された航空燃料を化石由来のジェット燃料の代わりとなる、温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)の排出量を抑えられる燃料。
※2.「ACT FOR SKY」は、持続可能な航空燃料SAFの普及・拡大を目指す、オールジャパンの企業や自治体等からなる有志団体。事業として国産SAFに直接関与し、サプライチェーン構築の主体となる企業(ACTメンバー)と、国産SAFのサプライチェーン構築に必要となる企業や自治体等(SKYメンバー)が加盟している。URL:https://actforsky.jp/
■ACT FOR SKYシンポジウム概要
「未来の空を拓く、国産SAFの最前線」をテーマに、国産SAFの最新状況や課題について一度に知ることができる貴重な機会です。今回は、ACT FOR SKYのメンバー企業45社・団体のうち15社・団体が発表を行います。
・日時: 2024年12月2日(月) 13:00~17:45
・会場: TIAT SKY HALL(羽田空港第3ターミナル直結)
・参加方法: 会場とYouTubeライブ配信
・登壇企業(五十音順):出光興産(株)/Airbus Japan K.K./(株)NTTデータ/ENEOS(株)/木村化工機(株)/コスモ石油(株)/全日本空輸(株)/東京農工大学/日揮ホールディングス(株)/日本グリーン電力開発(株)/日本航空(株)/日本製紙(株)/本田技研工業(株)/ (株)みずほ銀行/(株)レボインターナショナル
・URL:https://actforsky.jp/news/act-for-sky/
■当社講演概要
・日時:2024年12月2日(月)16:05~16:20予定
・タイトル:「SAF用バイオエタノールの自給に向けた新プロセス構築について」
・演者:木村化工機株式会社 エンジニアリング事業部 技術1部次長 中西俊成
・申し込み(会場参加/YouTubeライブ配信視聴): https://afs-symposium.jp/
■当社講演要旨
国土交通省は2050年の国内外の航空におけるカーボンニュートラル達成に向けて、2030年に航空燃料使用量の10%をSAF燃料に置き換えることを目標としています※3。
バイオエタノールを原料とするSAF燃料を生産する方法の「ATJ(Alcohol to Jet)法」は、大規模生産も可能なため、SAF燃料製造の技術として有力視されています。ところが、国内のバイオエタノールの自給率は0.02%(2018年)※4しかありません。
海外にエネルギー資源を依存すると、国際情勢などの影響により、エネルギー資源を安定的に確保できなくなるリスクがあります。そこで、国産バイオエタノールの安定供給が求められています。
国産バイオエタノールを安定供給するためには、低コストプロセスを開発する必要があります。そのための3つの課題と、当社が提案する解決策は次の通りです。
・課題1.国内バイオエタノール原料の安定供給
国内のトウモロコシやサトウキビなどの可食性の作物は、今後の食糧不足が懸念される中で、燃料用途としては安定供給が難しくなると予想されます。それ以外の既存の作物は、バイオエタノール原料としてはコスト高になる可能性が高いです。
そこで、休耕地でもほとんど水を必要とせず省力栽培が可能で、多収性がある、ソルガム※5というイネ科の植物が有望です。その中でも糖収量が多い「炎龍」という品種があります。
当社は、次のようなサプライチェーンを提案します。各地方の休耕地を利用して、ソルガム「炎龍」を栽培し、地場で搾汁・製粉し、中堅都市に建設するバイオエタノールプラントに集めます。バイオエタノールは各地方のコンビナートの製油所に輸送し、SAFを製造した後、近隣の空港に輸送して航空機に給油するというものです。
・課題2.糖化・アルコール発酵工程の低コスト化
バイオマスに含まれるセルロース、ヘミセルロースの糖化工程では、従来は高価な酵素が必要とされていました。
そこで当社は、バイオマスの前処理に、水熱処理技術※6を活用することで、酵素の使用量を削減して、低コスト化を図ることを提案します。なお、当社は水熱処理技術を保有しております。
・課題3.低濃度バイオエタノールの蒸留・濃縮の省エネ化
発酵直後のバイオエタノールのアルコール濃度は低く、蒸留によって高濃度に濃縮するプロセスが必要です。従来、このプロセスにはボイラ蒸気が使われており、多量のCO2を排出しています。
そこで、当社が発明した、ボイラ蒸気を不要とし、電力のみでバイオエタノールを蒸留・濃縮する「ヒートポンプ式バイオエタノール蒸留装置」(特許出願中)を利用することを提案します。再生可能エネルギー由来の電力を用いれば、CO2排出量をゼロにすることも可能です。本装置は、シミュレーションでは理論回収率99.0%を達成、製品生産あたりの消費電力量を0.7kWh/リットルとし、従来技術より大幅に削減しました。
※3.国土交通省 「航空脱炭素化推進基本方針」令和4年12月1日
※4.出典 資源エネルギー庁 資源・燃料部「燃料供給基盤整備課SAF及びバイオエタノールの現状と今後の展開について」
※5.「ソルガム」は、モロコシやタカキビとも呼ばれる穀物で、アフリカが原産地であり、日本には遅くとも室町時代には伝わったとされる。実以外の茎などがバイオエタノールの原料となる。信州大学 工学部 物質化学科 生物化学研究室の天野良彦教授は、長年ソルガムの利活用をはじめとするバイオマスの研究を続けている。
※6.「水熱処理技術」は、高温高圧の亜臨界水が持つ高い加水分解能力を利用して、ソフトバイオマスの前処理に適用できる技術。信州大学の天野良彦教授は、バイオマスを対象とした液密亜臨界制御による水熱反応技術の研究も行っている。
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/84547/14/84547-14-766b0bb892e1cd8c5cf4156cee229c0e-743x742.jpg?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
図2.「ヒートポンプ式バイオエタノール蒸留装置」イメージ
■会社概要
木村化工機株式会社は、資源循環・低環境負荷のエネルギー供給などを通して、製造業の持続可能性・持続可能な社会づくりに貢献する総合エンジニアリング会社です。蒸発・蒸留装置の省エネとCO2排出削減において業界トップクラスの技術力と研究開発力を有しています。
会社名 :木村化工機株式会社
本社 :〒660-8567 兵庫県尼崎市杭瀬寺島二丁目1番2号
創業 :1924年
代表者 :代表取締役会長兼社長 小林 康眞
事業内容:エンジニアリング事業、化工機事業、エネルギー・環境事業
TEL :06-6488-2501(代表)
URL :https://www.kcpc.co.jp/
■当社がめざす蒸留におけるCO2排出ゼロ
当社は化学プラントで大量に排出されているCO2を削減するために、ボイラ蒸気を使用せずに100%電力のみで蒸発・蒸留を可能とする各種「省エネ型ヒートポンプ式蒸発・蒸留装置」を開発してきました。当社は2017年に「ヒートポンプ式メタノール蒸留装置を開発し、2017年に「省エネ大賞 経済産業大臣賞」を受賞、2018年に「環境大臣表彰」を受賞しました。「ヒートポンプ式バイオエタノール蒸留装置」はこの装置を発展させ、消費エネルギーを大幅に削減したものです。当社は、「蒸留にはボイラ蒸気が必要」との固定概念を打ち破り、電化によるCO2排出ゼロを目指しています。
URL :https://www.kcpc-engineering.co.jp/ede/
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