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【ヤマモリ】醤油の副産物で「海洋プラスチック問題※1」の解決を目指す 「しょうゆ油」を利用した海洋生分解性プラスチックの生合成を発見

PR TIMES / 2023年3月6日 11時45分

岩手大学、東京農大との産学共同研究 ~日本農芸化学会 2023年度広島大会にて発表~

総合食品メーカーのヤマモリ株式会社 (本社:三重県桑名市、代表取締役社長:三林圭介) は、国立大学法人 岩手大学(農学部 応用生物化学科 山田 美和准教授)と学校法人 東京農業大学(応用生物科学部 醸造科学科 前橋 健二教授)と産学共同研究にて、醤油の副産物である「しょうゆ油」から海洋生分解性プラスチックとしての活用が期待されているpoly(3-hydroxybutyrate)を合成できることを発見し、その内容を日本農芸化学会 2023年度広島大会(会期:令和5年3月14~17日・オンライン開催)にて発表します。



 ヤマモリは1889年の創業時から醤油醸造を行っており、130年以上に渡り「発酵・醸造」を通して、時代の食卓を彩る「食スタイル」の提案を行ってきました。

醤油は、製造の過程でしょうゆ油が副産物として発生しますが、通常使用することなく廃棄されています。当社ではかねてからしょうゆ油を廃棄することなく活用しており、現在、しょうゆ油は工業用せっけんの原料および燃料として使用されています。一方で、この副産物を未利用資源ととらえ、さらに付加価値のある活用(アップサイクル)ができないかという視点で長年検討してまいりました。

 生分解性プラスチックの生合成については2020年より検討を開始。2021年に微生物によるプラスチックの生合成を研究する岩手大学農学部の山田准教授と、醤油醸造に造詣の深い東京農大 応用生物科学部の前橋教授の率いる研究室に協力を申し入れ、研究に着手しました。

 そして、この度、しょうゆ油を利用し、水素細菌の1種であるCupriavidus necatorを用いて、海洋生分解性プラスチックとしての活用が期待されているpoly(3-hydroxybutyrate)を合成できることを発見し、今年3月に開催される、日本農芸化学会2023年度広島大会にて発表する運びとなりました。

 日本醤油協会の調査(※2)によると、醤油の製造工程で生まれるしょうゆ油の量は、全国で4600t(2006年実績)に及ぶと試算されており、業界を挙げて再利用を目標に掲げています。この研究技術によりしょうゆ油を有効活用することは産業廃棄物の発生と海洋プラスチックによる環境汚染の両方を削減することにつながります。当社では将来的な実用化に向けた研究開発を進め、その成果を広く情報発信することで、持続可能な社会の実現を提案致します。

 ヤマモリでは引き続き、食を通じて「地球にやさしく、健康で楽しいライフスタイル」の実現に貢献してまいります。

※1 海洋プラスチック問題について
ダボス会議で知られる世界経済フォーラムは、2050年にはプラスチック生産量はさらに約4倍となり、「海洋プラスチックごみの量が海にいる魚を上回る」というショッキングな予測を発表しています。またSDGsにおいても、目標14「海の豊かさを守ろう」にて海洋中に漂う浮遊プラスチックごみの密度を大幅に削減することが挙げられています。海洋プラスチックごみは、国際的な視点でも意識しなければならない問題の1つです。

※2 平成19年度環境自主行動計画についての調査票/日本醤油協会

【日本農芸化学会 2023年度広島大会概要】
開催日:令和5年3月14~17日URL:https://www.jsbba.or.jp/2023/

【研究のポイント】


しょうゆ油を炭素源とし、カプリアビダス・ネカトールを培養したところ、P(3HB)の合成が確認された。
しょうゆ油を炭素源とした場合、大豆油を用いた場合と比較してP(3HB)の合成量が高く、しょうゆ油がPHA合成に適していることが示唆された。
他社のしょうゆ油を用いた場合においても、P(3HB)の合成が確認された。
しょうゆ油の成分を分析した所、主要成分は脂肪酸エチルエステルの1つであるリノール酸エチルであった。
リノール酸エチルを単一炭素源とし、カプリアビダス・ネカトールを培養したところ、ほとんど生育出来なかった。
カプリアビダス・ネカトールはリノール酸エチルのみではなく、他のしょうゆ油成分を利用して生育している可能性が示唆された。
しょうゆ油の新たな利用用途の可能性を見出すことができた。


図:醤油醸造で得られる「しょうゆ油」
[画像1: https://prtimes.jp/i/113050/14/resize/d113050-14-c0300171accbe7737bd8-3.jpg ]


図:しょうゆ油を原料とした炭素循環サイクル(出典:岩手大学 応用微生物学研究室 HPより一部改変)
[画像2: https://prtimes.jp/i/113050/14/resize/d113050-14-d834b8718986ebb77ece-0.jpg ]


【共同研究】
■岩手大学

[画像3: https://prtimes.jp/i/113050/14/resize/d113050-14-cd7346225f36a32635b9-2.jpg ]

岩手県盛岡市に本部を置く日本の国立大学。1949年に大学設置された。山田准教授らの研究室では「微生物のちからを借りて、環境に優しい新技術を構築・開発する」ということを目指し、様々なテーマに取り組んでいる。これまでに食用以外の海藻類や加工後の廃棄海藻部分を原料としたバイオプラスチックを合成出来る微生物を発見してきた。本件では、しょうゆ油を原料とし、微生物によるプラスチックの生合成検討を行っている。

■東京農業大学

[画像4: https://prtimes.jp/i/113050/14/resize/d113050-14-988dad5230fa08082ed7-1.png ]

東京都世田谷区に本部を置く日本の私立大学。1925年に大学設置された。前橋教授らの研究室では、醤油や味噌、酢などの発酵食品に関する数多くの研究に取り組んでいる。「おいしく食べることが心身共に健康への第一歩。豊かな食生活を支えている調味料にはまだ多くの可能性がある」を研究の醍醐味と考えている。本件ではしょうゆ油に含まれる成分解析を行っている。

■ヤマモリ株式会社

[画像5: https://prtimes.jp/i/113050/14/resize/d113050-14-9edd1c941352cec1a4e4-4.jpg ]

三重県桑名市に本社を構える1889年の創業の総合食品メーカー。創業当初より、発酵調味料である醤油の製造・販売を行ってきた。醤油の醸造過程でGABA(γ-アミノ酪酸)を生成する技術で特許を取得するなど、祖業である醤油の付加価値化のための研究を続けている。本件においては、しょうゆ油を供給すると共に、研究方向性のディレクションを担当する。

■日本農芸化学会とは
農芸化学分野の基礎および応用研究の進歩を図り、それを通じて科学、技術、文化の発展に寄与することにより人類の福祉の向上に資することを目的として、1924年に設立された学術団体。1957年に文部省の認可によって社団法人となり、2012年3月1日付けで公益社団法人へ移行した。バイオサイエンス・バイオテクノロジーを中心とする多彩な領域の研究者、技術者、学生、団体等によって構成される本学会は、さらに一層の展開を図るべく、国際活動の推進、国際学術集会開催の積極的支援を実現し、実用性と応用性を基盤とする農芸化学の重要性を広く紹介している。


[表: https://prtimes.jp/data/corp/113050/table/14_1_ec4589530e3fae1b71d79803e37d7a44.jpg ]


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