アボット、慢性疼痛を緩和する充電式脊髄刺激システム「Eterna(TM)ニューロスティミュレータ」の販売を開始
PR TIMES / 2025年1月31日 14時40分
- Eterna(TM)ニューロスティミュレータは、脊髄に微弱な電流を与えることで慢性疼痛を緩和する、脊髄刺激療法(SCS)のためのシステムです。
- 本システムは、充電頻度を年5回程度に抑えることで患者さんが充電のために要する負担を軽減し、患者さんに最適化された術後の運用をサポートします※ [1][2][3]。
2025年1月30日-アボットメディカルジャパン合同会社(本社:東京港区、代表執行役員社長:千田 真弓、以下「アボット」)は、2024年9月19日に厚生労働省より製造販売承認を取得した慢性疼痛を緩和するための植込み型充電式脊髄刺激装置「Eternaニューロスティミュレータ」(以下「Eterna(エターナ)」)の販売を、2025年1月より順次開始したことをお知らせいたします。
[画像1: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/55167/15/55167-15-10f64b69c2f672c49861cdbc715d0663-862x465.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
右:自社従来品比22%小型化したEternaニューロスティミュレータの刺激装置
[画像2: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/55167/15/55167-15-766eae3f28c82ff2fc8d3a2e7e51948e-1680x1665.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
左:充電器とEterna、中央:医師用プログラマ、右:患者用コントローラ
[画像3: https://prcdn.freetls.fastly.net/release_image/55167/15/55167-15-59d785df9619ba862982383b009cda1a-388x540.png?width=536&quality=85%2C75&format=jpeg&auto=webp&fit=bounds&bg-color=fff ]
植込みイメージ
日本における慢性疼痛の有病率は、成人人口の22.5%と報告されており、推計患者数は約2,315万人に上ると報告されています。また、慢性疼痛による経済損失は、約2兆円に上ると報告されています[4]。脊髄刺激療法(Spinal Cord Stimulation:SCS)は、慢性的な痛みを管理し生活の質を向上させるための治療法で、日本では30年以上に渡り使用されてきました。SCSでは脊髄に微弱な電気刺激を与えることで、痛みを引き起こしている神経の異常な興奮を調整し、脳に伝わる痛みの信号を和らげます。SCSに使用されるデバイスは、硬膜外腔[5] に配置される細いリードと腰下方の皮下に留置される小さな刺激装置(ジェネレータ)で構成されており、リードの先の電極から電気刺激を流します。
Eternaの開発にあたってアボットは、慢性疼痛を抱える人々の満たされていないニーズを理解するために、患者さん、医師、介護者を対象とした広範囲な調査を実施しました。その結果、術中および術後の負担軽減のために、より小さなサイズの植込み型装置が望まれていることや、デバイスを毎日または毎週充電するのにかかる負担を減らしたいというアンメット・メディカル・ニーズが判明しました。そこでアボットは患者さんのニーズを最優先に考え、通常使用時において年 5 回程度の充電のみで継続使用が可能なEternaを開発し、充電に対する患者さんの負担を軽減するプラットフォームを実現しました。
またEterna は、アボットの刺激波形技術「BurstDR(TM) 刺激」を搭載しています。これは臨床エビデンスの信頼度が最も高いレベルであることを示す1Aエビデンスを備えた SCS の波形技術で、従来の波形技術よりも痛みを軽減するというデータが示されています[6]。
Eternaの主な機能は以下のとおりです。
- 小型サイズ:
患者さんの日々の負担軽減を念頭に置いて設計されたEternaは[7]、自社従来品比22%小型化した植込み型充電式脊髄刺激装置です。(寸法:幅48mm, 高さ38.7mm, 厚さ8.9mm)
- 臨床エビデンスに基づく治療法:
Eterna は、アボットのBurstDR刺激を特長とし、脳内の自然発火パターンを模倣して[8]、痛みの緩和を高いレベルで実現します[9]。患者さんの87%が、従来の「ピリピリする」Tonic刺激[10]よりもBurstDR刺激の方が好ましいとしています[11]。
- 充電頻度の低さ:
アボットの「Xtend(TM)エナジー技術」と組み合わせることで、Eternaは患者さんの充電負担を軽減します。標準的な使用状況の場合、必要な充電回数は年5回とバッテリーの持ちが良く、かつワイヤレス充電が可能です※。
- MRI対応機能:
アボットの「TotalScan(TM) MRI技術」により、患者さんはデバイスを植込んでいても全身MRI検査を受けることが可能です。
- iPhoneとの統合:
EternaはiOS対応モバイルアプリを患者用コントローラとして使用します。患者さんはご自身がお使いのiPhone上で、Eterna のバッテリー残量と充電状況をリアルタイムで確認することが可能です。
兵庫医科大学病院ペインクリニック部 教授の高雄 由美子先生は次のように述べています。
「日本では多くの人たちが難治性疼痛で苦しんでいますが、これといった治療の決め手がありません。しかし、脊髄刺激療法という疼痛を緩和する方法があります。これは難治性疼痛の代表である神経障害性疼痛や虚血性疼痛に有効な手法で、脊髄の近くの硬膜外腔に電極を留置し、脊髄を微弱な電気で刺激する方法です。比較的侵襲の少ない安全な方法で、近年治療に使用する機器が劇的に発展してきています。Eternaの発売で、痛みに苦しむ一人でも多くの患者さんにこの治療法を知ってもらうきっかけとなり、より多くの方に脊髄刺激療法を広められる事を大いに期待しています。」
アボットのニューロモデュレーション事業部カントリーマネジャーの藤本 祐介は、次のように述べています。「アボットでは、長年に渡り、慢性疼痛で苦しむ患者さんに最良の治療プログラムを提供することを目指し、製品とソリューションを提供してきました。このミッションを更に前に進める為、Eternaは大変期待されるシステムとなります。Eternaは小型の充電式脊髄刺激装置であることから従来品よりも侵襲が低く、術中および術後の患者さんの体への負担を軽減します。また充電頻度も減ることから患者さんのADL(日常生活動作)およびQOL向上にも大きく寄与すると信じています。そして、近日中にはAppleデバイスを用いたアボットの「NeuroSphereプログラマ」による遠隔治療を行うこともできるようになります(導入予定)。アボットは、今後も慢性疼痛に苦しむ患者さんにより適切な疼痛緩和の選択肢をご提供できるよう尽力してまいります。」
なお、アボットのニューロモデュレーションデバイスのポートフォリオには、非充電式SCSシステムであるProclaim(TM) XRがあり、患者さんのライフスタイルやニーズに応じてご選択いただけます。Proclaim XRもアボット独自のBurstDR刺激技術を搭載しています。
販売名:Eterna ニューロスティミュレータ
承認番号:30600BZX00187000
販売名:Proclaim XR MRI Dual 8 ニューロスティミュレータ
承認番号 :22800BZX00117A01
販売名: NeuroSphere プログラマ
承認番号:30600BZX00186000
脊髄刺激療法(SCS)のメカニズムについて
痛みの感覚は、神経に痛みの信号が生じて脊髄を通り、脳に伝わることで「痛い」と感じます。SCSは、脊髄の硬膜外腔にリード(電極)を挿入し、腹部・臀部・腰背部などに植込んだペースメーカに類似した刺激装置(ジェネレータ)に接続します。この刺激装置で電気信号を発生させ、脊髄に微弱な電流を流すことで、異常な痛みの信号をコントロールし、痛みが脳に伝わりにくくします。
アボットの刺激装置では、トニック刺激(Tonic刺激)とバースト刺激(BurstDR刺激)という2種類の刺激を使用することができます。トニック刺激は従来からある刺激方法で、電気刺激を一定間隔で送ります。患者さんによって感じ方が異なりますが、「なめらかな刺激感」や「軽くたたくような刺激感」または「ピリピリした刺激感」が生じます。一方、バースト刺激は脳内の自然な発火パターンを模した特殊な刺激方法です。刺激を感じることが無い強さで治療するのが特長で、姿勢を変えても刺激の強さを変更する必要がありません。バースト刺激では身体的な疼痛と感情的な苦痛の両方をコントロールし、患者さんの日常生活を取り戻すことを目的としています。
※ Eterna(TM)SCSシステム植込み後に、BurstDR(TM)刺激を標準(公称)としてプログラミングした場合(振幅を0.6mA、その他すべてのBurstDR(TM)刺激設定値をデフォルトのままとし、マイクロドーズを30/90にプログラミングした場合)、1年あたり約3時間を5回程(充電間隔は69~74日間)又はひと月あたり1時間(充電間隔は25~27日間)。
[1] Abbott. Eterna SCS IPG Battery Recharge Characterization Report (90903492). 2023.
[2] Abbott. Eterna SCS IPG Elect Design Verification Report: Current Draw (90860050). 2022.
[3] Abbott. OUS Eterna Lowest Recharge Burden Comparison Memo (MAT-2310293). 2023.
[4] 【政策提言】「集学的な痛み診療・支援体制の均てん化に向けて」(2023年3月31日) - 日本医療政策機構(Health and Global Policy Institute) グローバルな医療政策シンクタンク
[5] 脊髄を包む硬膜と、その外側にある椎骨(背骨)の間にある空間のこと
[6] Karri J, Orhurhu V, Wahezi S, Tang T, Deer T, Abd-Elsayed A. Comparison of Spinal Cord Stimulation Waveforms for Treating Chronic Low Back Pain: Systematic Review and Meta-Analysis. Pain Physician. 2020 Sep;23(5):451-460. PMID: 32967388.
[7] Abbott. Gemini Validation Bench Testing Report (90853371). 2021. Patient comfort resulting from reduced features that could lead to discomfort (i.e., sharp edges) and reduced size compared to on-market IPGs.
[8] De Ridder D., Vanneste, S., Plazier, M., & Vancamp, T., (2015). Mimicking the Brain: Evaluation of St. Jude Medical's Prodigy Chronic Pain System with Burst Technology. Expert Review of Medical Devices, 12(2), 143-150.
[9] Deer T, Slavin KV, Amirdelfan K, et al. Success Using Neuromodulation With BURST (SUNBURST) Study: Results From a Prospective, Randomized Controlled Trial Using a Novel Burst Waveform. Neuromodulation. 2017;20(6):543-552.
[10] 一定の周波数と強度で持続的に電気刺激を与える方法
[11] Deer, T. Randomized, Controlled Trial Assessing Burst Stimulation for Chronic Pain: 2-Year Outcomes from the SUNBURST Study. Presented at NANS 2018.
アボットについて
アボットは、人々が人生のあらゆるステージにおいて最高の人生を送ることができるようサポートをするグローバルヘルスケアリーダーです。業界をリードする診断薬・機器、医療機器、栄養剤、およびブランド ジェネリック医薬品分野の事業および製品を含め、人々の生活に大きな影響をもたらす画期的なアボットの技術は、ヘルスケアの広範な領域にわたっています。現在、世界160カ国以上で、約114,000人の社員が活動しています。
アボット(www.abbott.com)、アボットジャパン(www.abbott.co.jp)、リンクトイン(www.linkedin.com/company/abbott-/)、フェイスブック(www.facebook.com/Abbott)、インスタグラム(www.instagram.com/abbottglobal)、X(x.com/AbbottNews)、YouTube(www.youtube.com/c/abbott)、YouTubeジャパン(www.youtube.com/@abbottjapan)も合わせてご参照ください。
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