イタリア当局は、ロマの人びとの公認キャンプの閉鎖を停止せよ
PR TIMES / 2012年7月11日 18時34分
イタリア当局は、ローマ近郊のキャンプからロマの家族を立ち退かせる計画をただちに取りやめ、同キャンプの居住環境を改善するべきである。国際人権NGOアムネスティ・インターナショナル(http://www.amnesty.or.jp/)はこう述べ、イタリア当局を批判した。
ローマ市は7月30日までにトール・ド・センチ・キャンプを閉鎖し、居住者を新たな収容所に移そうとしている。しかし、閉鎖の決定や新たなキャンプ設置場所の選定にあたって、明確な理由説明はなく、適切な安全策もとられていない。
いずれにしても、「トール・ド・センチ・キャンプを閉鎖する」という方針を当局は繰り返し主張しているため、キャンプの生活環境は深刻なまでに悪化し、協議はうまくいっていない。当局が住人に与える唯一の選択肢は、別のキャンプへ移ることだけだ。
当局は転居を望まない居住者に対する立ち退きの強要は、控えるべきである。キャンプ内の居住環境とインフラを十分に回復するよう居住者と協議すべきだ。
■弄ばれる住民たち
「最初、私たちをあるキャンプに入れ、それから3年後、別のキャンプに移し、さらに10年後、また別のキャンプに入れようとしています。そんなことはできるはずがない。私たちをまるでサッカーボールみたいに弄んでいます」と、キャンプ住人の広報担当者は、アムネスティに語った。
350人以上のロマの人びとが、トール・ド・センチ・キャンプで生活している。彼らのほとんどが、ボスニアかマケドニア国籍だ。ここでの生活は、長い人で16年に及ぶ。
このキャンプは1995年、地方当局の手で設置されたが、そこでは居住者は生活に必要な諸サービスが整い、子どもは学校にも通えた。
しかしこの2年間で、地方当局はここまでが特別に大目に見てきただけだと言い始め、閉鎖をちらつかせてきた。当局がこのキャンプの管理を事実上に放置しているため、居住環境は日に日に悪化している。
当局はこのキャンプの居住者を新たなラ・バルブタというキャンプに移そうと計画している。この新たなキャンプでは、人種的隔離政策を取るようだ。
これまでのキャンプの閉鎖計画と新キャンプの建設は、2008年にイタリア政府が非常事態下で作成した、ロマの「ノマド(遊牧民)プラン」の一部だった。非常事態下の権限を行使して、当局は環境と立案の分野で主要な保護法をないがしろにしてきた。
「ノマド非常事態」により、イタリア政府はロマに対して差別的な手段を取ることができたが、やがて、2011年11月、イタリアの最高行政裁判所である国家評議会は、この非常事態宣言を違法とした。
転居に同意した家族もあるが、多くはラ・バルブタへの移動に反対している。転居にはっきりと同意していないトール・ド・センチ・キャンプの家族を力ずくで移転させることにアムネスティは反対する。
■すべてのロマの人びとに、十分な住居を
多くのキャンプ居住者は、一般社会の住宅に住むことを望んでいる。トール・ド・センチ・キャンプが改修されるならそこにとどまりたいという希望もある。しかし、当局は、資金不足が理由のようで、どちらの選択肢も考慮していない。さらに、ラ・バルブタ建設に1000万ユーロ近くを投資してきたとのことだ。
ラ・バルブタは、チアンピーノ空港近郊の孤立したエリアにあり、フェンスとカメラにより取り囲まれている。地方当局はそのキャンプをロマ家族だけを居住させる計画だが、これは国際法により禁じられている。イタリア政府によるEU委員会に対する最近の約束とも相容れず、また人種を隔離するキャンプを新たに生むことになる。
当局はトール・ド・センチの居住環境を改善すべきだ。ラ・バルブタを国内外の規約・基準に適合するように手を打ち、人種隔離キャンプとして使用しないことを明確にすべきだ。
また、当局がキャンプ居住者を移すとしても、彼らと常に真摯に協議すべきであり、住居の選択肢をキャンプに限ってはならない。
イタリア当局は「ノマド非常事態宣言」を放棄し、同宣言がもたらした違法行為に対して救済措置をとり、すべてのロマに十分な住居を確保すべきである。
【写真】ロマの人びとが暮らすトール・ド・センチ・キャンプ。
▼シリアの人びとを救うために、あなたにできるアクションがあります
https://www.amnesty.or.jp/get-involved/action/syria_20120608.html
▼△▼アムネスティとは?▼△▼
アムネスティ・インターナショナルは、世界最大の国際人権NGOです。1977年にノーベル平和賞を受賞し、現在は全世界に300万人以上のサポーターがいます。
http://www.amnesty.or.jp/
▼アムネスティ日本公式Facebook
http://www.facebook.com/amnesty.japan
企業プレスリリース詳細へ
PRTIMESトップへ
この記事に関連するニュース
-
「私は売られ、結婚させられた」 ナイジェリア、避難民キャンプの女性たちの声──求められる医療と心のケア
国境なき医師団 / 2024年4月24日 18時4分
-
米大学でパレスチナ連帯活動続く
AFPBB News / 2024年4月24日 11時1分
-
【東京都】「家賃補助が手厚い自治体」ランキング! 2位「新宿区」、1位は?
オールアバウト / 2024年4月19日 8時35分
-
「トイレは数百人に1つ」 不衛生な過密環境でコレラ流行の懸念──コンゴ、戦闘から逃れた人びとが直面する危機
国境なき医師団 / 2024年4月3日 17時15分
-
地中海:イタリアがMSFの救助船を不法に出港差し止め リビア沿岸警備隊の脅迫と救助妨害
国境なき医師団 / 2024年4月1日 17時16分
ランキング
-
1サイゼリヤ、ギリギリ「国内黒字化」も残る難題 国内事業の利益率0.05%、値上げなしで大丈夫か
東洋経済オンライン / 2024年4月24日 7時30分
-
2【速報】1ドル=155円を突破 円安止まらず 日米金利差「縮まらない」見方から円売り・ドル買い強まる
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年4月24日 21時19分
-
3山手線沿線の再開発が進む 「新宿、渋谷、品川」駅の工事はいつ終わるのか
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月25日 7時10分
-
4イトーヨーカドー、祖業のアパレル復活なるか アダストリアとの新ブランドが生んだ“相乗効果”
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年4月25日 10時0分
-
5目印は「エコだ値」シール、セブン-イレブン“見切り品”値引き拡大へ 食品ロス削減へ…客「貢献できて嬉しい」【Nスタ解説】
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年4月23日 20時0分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください