「MONEX個人投資家サーベイ 2012年11月調査」 為替相場の見通しは円安派が急増
PR TIMES / 2012年12月5日 16時13分
マネックス証券株式会社(以下「マネックス証券」)は、2009年10月より、マネックス証券に口座を保有する個人投資家を対象に、相場環境に対する意識調査を月次で実施しております。
このたび、2012年11月22日~26日にインターネットを通じて実施したアンケート調査1,177件の回答結果を報告書にまとめました。マネックス証券チーフ・ストラテジスト広木 隆の総括と併せてご活用ください。
【調査結果要約】
(1) 日本株および中国株DI(注)は大幅に上昇
【日本株DI】(2012年10月) 22ポイント → (11月) 45ポイント (前月比 +23ポイント)
【米国株DI】(2012年10月) 38ポイント → (11月) 34ポイント (前月比 -4ポイント)
【中国株DI】(2012年10月) -49ポイント → (11月) -39ポイント (前月比 +10ポイント)
日本株および中国株DIはそれぞれ+23、+10ポイントと前月から大幅に改善しました。中国株DIは、-39と依然低水準ではあるものの明確な反発は9ヶ月ぶりとなりました。
(注)「上昇すると思う」と回答した%から「下落すると思う」と回答した%を引いたポイント。
(2) 自動車、鉄鋼など景気敏感株が健闘
個人投資家が「魅力的であると思う業種」ランキングでは、「自動車」が13業種中、前月の9位から5位へと順位をあげるなど、景気敏感株が順位を上げました。一方で「通信」(2位→3位)、「不動産」(5位→6位)、「小売」(6位→9位)など、内需系業種が順位を落としました。
(3) 今後3ヶ月程度の米ドル/円相場の見通しは円安派が急増
政権交代およびそれに伴う日銀への追加緩和圧力の高まりを反映し、今後3ヶ月程度の米ドル/円相場の見通しについて、「円安を見込む」との回答が前回から21%ポイント増加し7割以上を占めました。
(4) 個人投資家が注目するトピックは国内要因へのシフトがより鮮明に
日本の個人投資家の関心は前月から引続き、米国、欧州、中国を含む新興国から日本国内にシフトしています。投資判断にあたり個人投資家が注目するトピックは、前月54.2%であった「金融政策」が69.6%と、+15.4%上昇したことをはじめ、国内要因へのシフトがより鮮明になりました。
(5) 「財政の崖」のマーケットへの影響については見方が分かれる
今回の調査では、注目の高い米国のいわゆる「財政の崖」問題が及ぼすマーケットへの影響について問う設問を追加しました。「大きな影響はない」(37.2%)、「深刻な影響がある」(36.6%)、「わからない」(26.2%)と、各々約3割を占める結果となり、「財政の崖」のマーケットへの影響については、見解が分かれていることがうかがえました。
調査結果
1、株式市場を取り巻く環境について
(1)今後3ヶ月程度の株価予想(日本株、米国株、中国株のDI推移)(参照グラフ1.&2.)
(2)日本株を買いたい水準
日経平均株価がどの水準であれば、日本株を買いたいと思うか (参照グラフ3.)
(3)日本市場の各業種に対する今後3ヶ月程度の見通し
日本投資家の「魅力的であると思う業種」ランキン(参照グラフ4.)
2、為替市場について
今後の3ヶ月程度の米ドル/円相場予想 (参照グラフ5.)
3、お客さまの日本株取引について
今後3ヶ月の投資意欲について (参照グラフ6.)
4、注目するトピック
5、財政の崖について
総 括 (マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆)
7月のサーベイで、日本株の売買代金低迷の理由を尋ねたところ、「政治に対する不信」という回答が多く驚いた、と述べた。その部分を引用しよう。
<もともと期待もしていない政治に対する不信が、売買低迷の要因に挙がるとは正直、驚いた。しかし、「政治がしっかりしないから」というのは極めてまっとうな意見である。欧州債務危機の本質は政治問題であり、危機からの脱却は欧州の政治家のリーダーシップにかかっている。米国経済の行方も財政・金融の政策に負うところが大きい。経済と政治はもともと不可分のものである。
日本だけが「経済は一流」として、「三流の政治」からあえて距離を置いてきた感があるが、ここにきて経済も一流ではなくなった。つまり政治と同じ三流の地位に下がったのだ。それではじめて政経不可分となった。これまでは「だめな」政治に頼らなくても、日本経済はそれなり奮闘してきた。しかし、ここに至って、いよいよ政治にしっかりしてもらわねば、前に進むことはおろか、どんどん後退していくリスクを経済界も切実に感じ始めている。株式市場における売買代金の低迷の背景に政治不信が挙がるのは、そういう視点でみれば、なるほど自然なことかもしれない。>
昨今の株式相場を見ていると、改めて政治という相場材料の重要性を再認識させられる。政治の駆け引きによって揺れ動いてきた欧州債務問題はようやく収束の兆しが見えつつある一方、今世界が固唾を飲んで見守るのが米国の「財政の崖」問題だ。米議会の与野党協議の進展次第で米国景気が「崖」から転がり落ちるリスクを孕んでいる。まさに政治が鍵を握る。政治家の発言ひとつでダウ平均がこれほど乱高下するのを見た記憶がない。
そしてわが国では野田首相による「馬鹿正直解散」を経て、安倍晋三自民党総裁の金融政策を巡る発言が株高・円安を誘っている。個人投資家サーベイの今月の日本株DIは、米国株を上回り、日経平均が1万円をつけた3月以来の高い水準になった。ドル円相場の見通しについても、「円安を見込む」との回答が前回から21%ポイント増加し7割以上を占めるに至った。
もちろん、政権交代によって金融政策が大転換するのではないかという思惑が株高、円安の背景にある。変化への期待が相場の原動力となっている。2005年の「郵政解散・選挙」のときも、当時の小泉首相による構造改革で「日本は変わる」との期待から外国人の買いが続き、株式市場はミニバブル的なラリーとなった。今回はどうだろう。次回のサーベイは3カ月毎に実施するグローバルサーベイだ。海外の投資家にぜひ尋ねてみたい。政権交代が見込まれていますが、これで日本は変われると思いますか?と。
話は変わるが今回、ひとつ注目すべき回答があった。それは中国株のDIがプラス10ポイントと前月から大幅に改善したことである。中国株DIは、マイナス39と依然低水準ではあるものの明確な反発は9カ月ぶりのことだ。さすがに「いいところ」だとの判断が働いたのであろうか。しかし、実際には上海総合指数は下げ止まらずに2,000ポイントの大台割れとなった。普通、個人投資家サーベイは一致指標で、相場が上げていれば改善し、下げていれば悪化する。相場の下げ止まり~反発を確認する前にDIが改善するというのは珍しい。これで、本当に中国株が底入れから反転上昇してくれば、このDIに先行性があったということになる。今後の展開に注目したい。
今回も皆様のご協力により有益な調査結果を得ることができました。皆様の資産運用を考える一助となれば幸いです。
(マネックス証券 チーフ・ストラテジスト 広木 隆)
調査の概要と回答者の属性
調査方式:インターネット調査
調査対象:マネックス証券に口座を保有している個人投資家
回答数:1,177件
調査期間:2012年11月22日~11月26日
本情報は当社が実施したアンケートに基づいて作成したものです。
・ 本情報は売買のタイミング等を反映したものではなく、また示唆するものではありません。
・ 当社は記載した銘柄の取引を推奨し、勧誘するものではありません。
・ 当社は本情報の内容に依拠してお客さまが取った行動の結果に対し責任を負うものではございません。
・ 銘柄選択や売買タイミングなどの投資にかかる最終決定は、お客さまご自身の判断と責任でなさるようにお願いいたします。
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