新たな深海調査手段の確立へ。小型水中ドローンによる深海1,000m域の生物共同研究を実施|株式会社FullDepth
PR TIMES / 2019年7月9日 15時40分
株式会社新江ノ島水族館(本社:神奈川県藤沢市 以下、新江ノ島水族館)と株式会社FullDepth(本社:茨城県つくば市 以下、当社)は小型水中ドローンを活用した深海1,000m域の生物共同研究「シロウリガイ探査プロジェクト」を実施することを発表いたします。
[画像1: https://prtimes.jp/i/24434/19/resize/d24434-19-248790-0.png ]
本プロジェクトでは、新江ノ島水族館の持つ深海と深海生物に関する豊富な知見やノウハウと、FullDepthが開発した深海調査用小型水中ドローン(ROV)技術、それぞれが得意とする分野を組み合わせることで、民間レベルでの新たな深海調査手段の確立を目指しています。これまでの深海調査は大掛かりな機材と専門的な知識を有する人員が必要とな理、コスト面からも民間レベルで手軽に行うことは難しい状況が続いておりました。FullDepthは、2018年6月に世界で初めて、小型水中ドローン【1】による深海1,000m域の調査を成功させ、深海調査の新しい手段として注目されています。また、深海生物の展示・飼育で豊富な実績のある新江ノ島水族館と共同プロジェクト実施することで、未だそのほとんどが未知とされている深海の世界やそこに棲む生物たちの生態の解明に貢献していきます。
目的
2020年に、小型ROVによる深海探査の手段を確立し、中深層(水深200~1,000m)付近に棲息する、深海生物及び化学合成生態系【2】に属する生物(例:シロウリガイ【3】、サガミハオリムシなど)を採集する。
概要
神奈川県・相模湾エリアを中心に、小型水中ドローン(ROV)を用いた継続的な深海調査を行い、その過程を含む映像・写真・データを研究資料として発表する。また、深海生物のより詳細な研究を行うための生物採集の方法も検討しており、実施に必要なアームなどの機器の開発など、今後の深海調査の新たなスタンダードの確立を目指す。
想定される成果物
調査過程で得られる映像や写真など海洋環境データなど、深海研究に有意義な情報
上記、調査過程に得られた情報をウェブやイベントなどを通じて、定期的な成果発表の実施
採集した深海生物を新江ノ島水族館で飼育しながら一般公開する
参考:当社調査記録映像(2018年6月相模湾沖・深海約1,000m)
[動画: https://www.youtube.com/watch?v=2-MQg4JxDHU ]
調査記録写真
[画像2: https://prtimes.jp/i/24434/19/resize/d24434-19-700966-1.jpg ]
[画像3: https://prtimes.jp/i/24434/19/resize/d24434-19-679959-2.jpg ]
[画像4: https://prtimes.jp/i/24434/19/resize/d24434-19-593772-3.jpg ]
相模湾の深海生物と化学合成生態系に属する生物について
相模湾は水深1500mに達する日本でも有数の深海湾であり、その水深約1000mには湧水域【4】が存在することが知られている。そこではシロウリガイやサガミハオリムシなど、体内に化学合成を行う細菌と共生する種が多数生息しており、その生態に関して研究が進められているが、今も未知の部分が多く残されている。
新江ノ島水族館での深海の取り組みについて
新江ノ島水族館では、2004年より国立研究開発法人 海洋研究開発機構(以下JAMSTEC)と共同で深海生物の長期飼育方法に関する研究開発を行っています。これまで、サガミハオリムシやゴエモンコシオリエビの長期飼育、ホネクイハナムシの継代繁殖、タギリカクレエビの繁殖等に成功しています。
このように新江ノ島水族館では、専門の研究者と協力し、よりよい飼育方法の開発をするとともに、研究に利用できるよう、この貴重な生物のライブストックを行っています。また、これらを飼育公開することで広く一般に、化学合成生態系を含む深海の環境とそこに生息する生物の生態や多様性についてお伝えします。
FullDepthについて
当社は2014年7月に、筑波大学発のスタートアップとして創業し、現在は日本初の水中ドローン専業メーカーとして、「もっと手軽」に「より安全」に水中での調査や撮影が行える独自のROVを開発しております。2018年6月1日より自社開発のROV、FullDepth DiveUnit300を用いた「必要な時に必要な期間だけ」ROVを利用することができるロボットサービスの提供を開始いたしました。本サービスではこれまでの水中探査において大きな課題となっていた、初期導入コストを大幅に抑えられるほか、大掛かりな設備や人員を必要とせず、低コストでROVを運用することが可能となります。これにより、今後ますますの需要が見込まれる、ダムや港湾など水中インフラの維持・管理への活用、海底資源や深海生物の探査など幅広い用途においての利用が期待されます。今後も人々の暮らしに欠かすことのできない海洋や河川の中を見るという重要な「目」の役割を果たしてまいります。
用語解説
【1】小型水中ドローン Tripod Finder
Tripod FinderはFullDepthが開発した水中ドローン。小型の可搬式ROVとしては世界初、深海1,000m域への潜行に成功しました。FullDepthではTripod Finderを実証実験機と位置づけ、深海をはじめとする過酷な環境下でのROVのオペレーションを実現するための様々なデータ・ノウハウの蓄積を行っております。今後も不可能を可能にするテクノロジーのブレイクスルーを目指し活動を行なってまいります。
【2】化学合成生態系
化学合成とは、光合成における光エネルギーの代わりに無機物の酸化によって発生するエネルギーを用いて炭酸を固定し、有機物を固定することである。無機物の酸化によって有機物を合成できる生物は化学合成生物とよばれ、それらが生産者として機能する生態系を化学合成生態系とよぶ。
【3】シロウリガイ
マルスダレガイ目オトヒメハマグリ科に属する深海性二枚貝。相模湾の水深1,000m付近の湧水域には、シロウリガイとシマイシロウリガイの2種の生息が確認されている。シロウリガイの消化管はほぼ退化しているため、浅海の二枚貝にみるようなプランクトンなどは食べずに、海底から湧出する硫化水素を体内に吸収して、鰓内に共生している共生細菌(化学合成細菌)からエネルギーを得ること生きている特異的な生物である。真白く重量感のある2枚の貝殻と、身体の半分はあろうかという巨大な4枚の鰓、そして血のような真っ赤な体液がとても印象的な二枚貝である。
【4】湧水域
湧水域とは地殻のプレートが沈みこむときに、プレートの上に積もった堆積物から硫化水素やメタンなどが絞り出される場所。それらのガスを利用するサガミハオリムシやシロウリガイなどが生息している。
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