世界禁煙デーに寄せて。フローレンスはタバコメーカーから寄付を受け取らないことにしました
PR TIMES / 2018年5月31日 19時1分
世界禁煙デーに、わたしたちフローレンスは「タバコメーカーから寄付を受け取らない」ことを宣言します。
5月31日は、世界禁煙デー(World No Tobacco Day)。
この世界禁煙デーは、WHO(世界保健機関)が定めた国際的な記念日。タバコのない社会、タバコにノーと言える社会を目指そうというメッセージが込められています。
そして、日本の厚生労働省は、5月31日から6月6日までの1週間を「禁煙週間」として定め、さまざまなキャンペーンを行っています。この世界禁煙デーに、わたしたち認定NPO法人フローレンスは「タバコメーカーから寄付を受け取らない」ことを宣言します。
[画像1: https://prtimes.jp/i/28029/20/resize/d28029-20-261081-0.jpg ]
タバコは吸う人にも周りの人にも健康被害をもたらす
ご存知の方も多いと思いますが、タバコを吸うことによる健康被害は非常に大きく、非常にわかりやすいところだけとりあげても、
・喫煙が原因で亡くなる人は、日本で1年に12万~13万人(※1)
・各種がんの発生リスクが1.6~5.5倍になる(※1)
・心筋梗塞の発生リスクが2.90~3.64倍(※2)
・うつ病にかかる可能性が非喫煙者の約3倍(※3)
など、生命に関わるものからクオリティ・オブ・ライフを低下させるものまでさまざまなものが立証されています。
さらに問題なのは、タバコは吸う人だけでなく、その周りにいる人にも、受動喫煙というかたちで害をおよぼすということです。以下のようなことが明らかになっています。
・受動喫煙が原因で亡くなる人は、日本で1年に1万5千人(※4)
・受動喫煙により肺がんの発生リスクが1.3倍になる(※5)
さらに、子どもに注目すると、
・両親が喫煙する環境だと、乳幼児突然死症候群(SIDS)の発生リスクが10倍になる(※6)
・気道アレルギーが悪化し、ぜんそくが治りにくくなる(※7)
などと言われており、大人から子どもまで、タバコの煙を吸わされることによる被害は無視できないものであるのが現状です。
なお最近は、IQOS、Ploom TECHといった、「加熱式タバコ」が広まりつつあり、従来のタバコに比べて煙が少ないことから、健康被害も低減されるとPRされています。
しかし、実際に通常のタバコより健康に害が少ないかどうかは、検証に長い時間がかかるため、いまだ証明されていません。
日本呼吸器学会の声明でも、目に見えにくいだけで、加熱式タバコも喫煙者の呼気に有害物質が含まれることは変わりなく、「使用者にとっても、受動喫煙させられる人にとっても、非燃焼・加熱式タバコや電子タバコの使用は推奨できません」と明確に述べられています。(※8)
むしろ、目に見えづらい、匂いがしづらいからこそ、従来のタバコよりも、気づかないうちに煙を吸っている、ということが発生する可能性すらあります。
[画像2: https://prtimes.jp/i/28029/20/resize/d28029-20-228228-1.jpg ]
フローレンスのタバコと喫煙に対するスタンス
こういった健康被害を生み出すタバコは、子どもの健康、子どもの福祉をさまたげる存在であるとフローレンスは考えています。
「みんなで子どもたちを抱きしめ、子育てとともに何でも挑戦でき、いろんな家族の笑顔があふれる社会」を目指すフローレンスでは、創業当時から、採用の条件として「喫煙習慣のないこと」を掲げています(※9)。
また、病児保育事業では、病児保育の利用会員となるための同意事項に「喫煙習慣のないこと」が含まれています。これは前述のとおり、保護者が喫煙習慣のある家庭環境では、乳幼児突然死症候群(SIDS)の発生リスクが高まるためです。
今回、以上の方針に加えて、今後タバコメーカーとそのグループ企業からは、金銭・物品を問わず、寄付を受け取らないということを、ここに宣言いたします。
国が進めている健康増進法改正案(いわゆる受動喫煙防止法)は、実質的に完全禁煙の対象となる店舗が少なく、また本来全面禁煙であるべき医療機関や学校でも敷地内の喫煙所を許してしまうなど、骨抜きになってしまいました。
タバコ業界によるロビイング、政府への働きかけの力は非常に強く、増税や法規制など、トップダウンの施策を妨げています。
また、大手メディアについても、タバコ産業が広告主となるなどして、利害関係が生まれると、メディアがタバコの害について報道し受動喫煙防止を叫ぶことが難しくなる場合もあります。
さらに、タバコ会社は学術団体や研究者への寄付、社会活動を行うNPO、福祉団体、慈善団体などに対する金銭的な支援なども行っています。こういった支援を受け、組織としてタバコにノーと言いづらくなるというケースも、少なくないでしょう。
そんな環境だからこそフローレンスは、タバコメーカーと利害関係を持たない子どもの利益の代弁者として、親子の笑顔と子どもの健康のために、これからも声を上げていきます。
受動喫煙による健康被害は、親子の笑顔をさまたげる問題のひとつです。
子どもに関わる団体や、従業員の健康を大切にする企業など、問題意識を持っている組織も多いはずです。子どもたちの未来のために、はっきりと受動喫煙にノーと答える、そんなムーブメントが広がっていくことを願っています。一緒に、社会に声を届けていきましょう。
ひとつひとつの企業や組織、個人から、声を上げよう
国の受動喫煙防止法が骨抜きとなっているいっぽうで、現在制定が進められている東京都の受動喫煙防止条例(※10)は、従業員を雇う飲食店を全面禁煙とする内容です。これは、非喫煙者や飲食店の従業員、そして子どもの健康を守ることのできる非常に重要な条例です。
ぜひ、こういった動きが他自治体にも広がっていくことを期待しています。
そして、国や自治体に頼るだけでなく、ひとつひとつの企業や非営利団体、あるいは個人ひとりひとりが、従業員や顧客といったステークホルダー、または家族や子どもの健康のためになにが大事かを考え、行動することが、社会を変えていくためには何より重要です。
社内のルールを変える、自治体へ意見を送るなど、半径5メートルからでもできることはきっとあります。タバコによる健康被害のない社会を実現するために、ぜひあなたも一歩を踏み出してみてください。
それぞれの出典に関して、詳しくはこちらの記事をご覧ください
https://florence.or.jp/news/2018/05/post25280/
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