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医師の働き方改革によって医師の長時間労働は本当に改善された?

PR TIMES / 2024年7月4日 16時45分

定義が曖昧な「労働時間とみなされない自己研鑽」に苦しむ医師の現状



2024年4月から、「医師の働き方改革」がスタートしました。
これにより、長年の医療現場の課題であった、医師の長時間労働の改善が期待されております。

これまで、常勤医師の約4割が「過労死ライン」といわれる月80時間以上の残業をしており、長時間労働が常態化し、過労死を含む労災事故がいつ起こってもおかしくない状態でした。長時間労働による疲労の蓄積や睡眠不足は、医療過誤の温床にもなり得ます。医師の皆さん一人一人の健康、医療の安全性を確保するために、「医師の働き方改革」が求められているのです。

労働時間の把握は医療機関の義務に


2024年4月以降、 健康確保の観点から、「医師も雇用されていれば労働者である」という考え方の下、労働時間の状況を客観的な方法その他適切な方法で把握することが、すべての医療機関の義務となりました。

医療機関は本当に労働状況を把握できているのか?


しかし、先日実施された医師へのアンケート調査では、
「時間外手当の書類の記入欄には、実際に患者をみた時間だけしか記入できないようになっている。」
「どれだけ時間をかけて業務をしても給料に反映されない。」
「どこまでが業務でどこから自己研鑽なのか区別が曖昧になっている。」
「カンファレンス資料の準備や後輩や学生のレポート添削の労働時間はは全く考慮されていない。」
「術後の患者の処置は当直の人に任せればいいから自己研鑽にするようにと言われたが、休日は入局したばかりの後輩が処置を行うので退院させてよいかどうかの判断もつかなく結局行かざるを得ない。」
等のコメントが寄せられており、医師の長時間労働は改善されていないのではないか、という疑問が浮かびます。

今回はアンケート調査の結果から、医師の労働時間管理の現状を読み解いていきたいと思います。

年間960時間のラインとなる、週60時間以上の労働をしている医師は26%以上



[画像1: https://prtimes.jp/i/40067/20/resize/d40067-20-4666c6d53132416c6d67-0.png ]

※小数点第2位以下を四捨五入しているので合計が100.0%にならない場合があります

医師の1週間あたりの平均的な労働時間の調査結果はこのようになりました。
労働基準法では、法定労働時間は1日8時間・1週間40時間とされていますが、この法定労働時間を超える労働をしている医師は80%以上います。

年間960時間が医療機関の労働時間の上限(特例水準を除く)とされており、60時間以上の労働をしている26%以上の医師は、すでにこの上限を上回ってしまう計算です。

労働時間とみなされていない自己研鑽の時間も存在



[画像2: https://prtimes.jp/i/40067/20/resize/d40067-20-d37e0b1db642bedbda1f-1.png ]

※小数点第2位以下を四捨五入しているので合計が100.0%にならない場合があります

さらに、医師の負担はこれだけにとどまりません。
医療機関の管理が正しく行われていない場合、本来は労働時間として取り扱うべき時間が、自己研鑽扱いとなり、正しく労働時間が計算されないケースもあるのです。

厚生労働省では、労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドラインを提示しており、労働時間について「使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる」と定めております。特に大学病院に勤務する医師については研究教育は明確に業務であると考えられます。

今回のアンケート調査結果では、「労働とみなされていない自己研鑽」の時間がある、と回答した医師が半数近くいました。
これまで、医師の自己研鑽は暗黙の了解として存在しており、医療機関側は本来労働時間として含めるべきところを、自己研鑽として計算せずにいることも予測できます。
その場合、医師にとっては先ほどの労働時間以上の負担が実質的にかかっていることになります。

労働時間とみなされていない自己研鑽に医師の不満の声


[画像3: https://prtimes.jp/i/40067/20/resize/d40067-20-528a0a086305a688e2ce-2.png ]

医師が不満に感じている「労働時間とみなされていない自己研鑽」の回答結果はこのようになりました。
本来は労働時間に該当するにも関わらず、医療機関がそれを把握できておらず、労働時間にカウントせずに作業をさせているとすると、労働時間の上限時間を定める意味がありません。


正確な実態把握と明確なルール化が必要不可欠


繰り返しにはなりますが、医療機関は医師の労働時間を客観的な方法その他適切な方法で把握することが求められています。ただでさえ過酷な医師の労働環境、医療機関の皆様にはぜひ自己研鑽と労働時間の明確な切り分けと、医師の労働状況の実態を把握をしていただきたいと思っております。

医師は何時から何時まで労働をしていたのか、自己研鑽を行った場合どのように申告を行うのか、明確なルール化が必要不可欠です。医師の働き方改革は開始までの準備で終わりというわけではありません。
ぜひ医師の健康確保のためにもひとつひとつ制度を理解して確実な対応をしていただけることを願っております。

アンケート調査概要
内容:医師の働き方改革に関するアンケート調査
期間:2024年6月6日~6月12日
対象:「m3.com」に登録している医師2,147名

エムスリーキャリア株式会社
医療関連ビジネスを展開するエムスリー株式会社(東証プライム上場)、株式会社エス・エム・エス(東証プライム上場)により、2009年12月に設立したジョイントベンチャー。
登録している医師会員数が33万人以上である、医療従事者専門サイト「m3.com」のデータベースを有するエムスリーグループで「イキイキと働く医療従事者を一人でも増やし、医療に貢献する」をミッションとし、医師をはじめとする専門職と医療機関等のマッチング支援を中心に、事業を展開しています。


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■お問い合わせ先
エムスリーキャリア株式会社  担当:医療機関経営支援グループ 事務局
電話番号:03-6895-5183(受付時間:平日9:30~17:30)
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