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筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群に対する水素ガス吸入療法の症例報告

PR TIMES / 2023年11月3日 3時40分

MiZ株式会社は慶應義塾大学の武藤佳恭名誉教授と共同で「水素ガスを用いて筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群の治療に成功した事例:4名の症例報告」と題した論文を発表しました。
筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)は強度の疲労感と共に、微熱、頭痛、筋肉痛、脱力感、思考力低下などが持続する原因不明の病気で、現代医療では治療法がありません。国内の患者数は約8~24万人で、最近では新型コロナウイルス感染症に罹った後の「後遺症」(ポストCOVID-19)もME/CFSの可能性が高いと言われています。著者らは、ME/CFSの患者4名を対象に症例研究を行ったところ、水素ガスはブレインフォグ(注1)、疲労、労作からの回復時間、頭痛、集中力低下、睡眠障害などの症状の改善を示しました。
本論文は、2023年10月24日にメディカル・ガス・リサーチのオンライン版に掲載されました。なお、水素ガスがME/CFSやポストCOVID-19を改善する可能性のメカニズムを報告した私達の総説論文は別の海外雑誌(Frontiers in Neurology, 2022, 13: 841310)に発表済みです(注2)。



ME/CFSに対する治療の現状
ME/CFSは6カ月以上持続する高度の疲労感、身体を動かした後の極端な消耗、記憶力障害、集中力低下、睡眠障害を主症状とします。そして、これらの症状に頭痛、関節痛、筋肉痛、消化器症状、免疫系異常、光・音・匂い・化学物質に対する過敏症などが場合により伴う難治性疾患です。症状の現れ方や重症度は個人差がありますが、全体的な生活の質や社会的な活動の低下につながり、中には寝たきりになってしまう患者さんもいます。近年の解析技術の発展により、この病気の生物学的異常が報告され、中でもエネルギー代謝異常の原因となるミトコンドリアの構造や機能の障害がME/CFSの病因の一部として考えられることが多くの文献で報告されています。日本における患者数は約8~24万人、米国における患者数は84~250万人と推定されています。
これまで、抗体医薬であるリツキシマブを用いてME/CFSの患者さんに対する臨床試験が行われましたが、有効性は確認できませんでした。また、NADH、コエンザイムQ10およびL-カルニチンなどのミトコンドリア(注3)の機能障害に対する保護効果のある物質の臨床試験も行われましたが、これらの物質はある程度の効果を示すものの、その効果は限定的でした。従って、これまで対症療法ではなく根治療法となる治療法や新しい治療物質の開発が望まれていました。


症例研究の方法と結果
今回の症例研究では、4人のME/CFSの患者さんを対象に、水素ガスの有効性の可能性を検討しました。症例Aでは、2年前にME/CFSと診断され、様々な治療を行っても効果がなかった患者さんに、当社の水素ガス吸入機(6~7%水素濃度、2L/分、MHG-2000α)を用いた吸入療法を20週間(毎日3~5時間)行いました。その結果、水素ガス吸入により、この患者さんの労作後疲労、労作からの回復時間、労作時の息切れ、頭痛、喉の痛み、集中力低下、体温異常、音に対する過敏性が著しく改善されました(図1)。
また、症例B、CおよびDも、様々な治療を試みても病状が改善されなかった患者さんです。これらの患者さんも症例Aと同様な方法で水素ガス吸入療法を8~9週間実施したところ、いずれの患者さんでも頭痛、全身痛、睡眠障害、便通、意欲の低下、ブレインフォグなどが改善されました。これら4人の患者さんは、水素ガスの吸入によってME/CFSの症状が改善された最初のケースです。
[画像: https://prtimes.jp/i/47753/24/resize/d47753-24-6d2db8236c17c1fb69eb-0.jpg ]

図1:水素(H2)ガス吸入後の1人のME/CFSの患者さんの総重症度スコアとブレインフォグの変化。水素ガス治療前後の各重症度スコアをカナダ合意基準(注4)に基づいて記録し、合計スコア(スコア63)を算出した。患者さんは8週目と11週目に新型コロナウイルス(COVID-19)ワクチンの接種を受け、その接種によってME/CFSの症状が一時的に悪化した。しかし、水素ガス吸入により、14週目以降、ME/CFSの症状はワクチン接種前のレベルまで回復した。


新型コロナウイルス感染症の「後遺症」との関連
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の急性症状は2~3週間以内に治まりますが、最初の感染から数ヶ月経過しても「後遺症」が残る患者さんもいます 。この 「後遺症 」には様々な症状が存在することが報告されており、ロングCOVID-19あるいはポスト COVID-19と正式に呼ばれています。しかし、ポスト COVID-19とME/CFSの症状は類似していますが、これまでの研究では、COVID-19による感染がME/CFS発症の誘因であることは明らかでありませんでした。 最近、チェコ共和国で50 名のポストCOVID-19の患者さんを対象とした単盲検無作為化試験 (注5)が行われ、14 日間の 水素 ガス吸入により急性期の身体機能および呼吸機能が改善することが報告されました。さらなる大規模試験が必要ですが、ポストCOVID-19が ME/CFS と同じメカニズムで発症すると仮定すれば、私達が行った今回の症例研究の結果はチェコ共和国における臨床試験の結果からも支持されたことになります。


本症例研究の結論
本症例報告は少数の患者さんの自己評価に基づく症例報告であり、無作為化比較試験(注6)の形式の臨床試験ではないため、得られた研究結果には一定の限界があります。しかし、さらなる大規模な臨床研究が必要ですが、この4症例から、水素ガスがME/CFSの治療用ガスとなり得ることが示唆されました。水素ガスは、ME/CFSの原因の一つであるミトコンドリアの機能障害を改善するメカニズムがありますので、水素ガスが4人のME/CFSの患者さんに有効性を示したのはミトコンドリア機能の改善効果に基づくと思われます。ME/CFSの治療ガスとしての水素の有効性や作用機序を評価するために、さらなる大規模な臨床研究が必要です。
なお、水素ガス吸入によるME/CFSおよびポストCOVID-19の改善の発明は、当社が出願人として特許出願済みです。
・筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)(特願2021-202927号)
・ポストCOVID-19(特願2022-19103号)


論文
英文タイトル: Successful Treatment of Myalgic Encephalomyelitis/Chronic Fatigue Syndrome Using the Hydrogen Gas: A Case Report in Four Patients
タイトル和訳: 水素ガスを用いて筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群の治療に成功した事例:4名の症例報告
著者名:平野伸一1、市川祐介1,2、佐藤文平1,2、武藤佳恭3,4、佐藤文武1,2
所属: 1 MiZ株式会社、2 MiZ Inc, USA、 3 慶應義塾大学、4 武蔵野大学・データサイエンス学部
掲載誌:Medical Gas Research, 14(2): 84-86, 2024
論文URL:https://journals.lww.com/mgar/fulltext/2024/14020/successful_treatment_of_myalgic.7.aspx


[用語解説および追記]
注1(ブレインフォグ):頭の中にモヤがかかったようにぼんやりしてしまい、物事が思い出せない状態。ME/CFSや新型コロナウイルスの後遺症で見られる。


注2(水素ガスがME/CFSを改善するメカニズム論文):
英文タイトル: Molecular Hydrogen as a Medical Gas for the Treatment of Myalgic Encephalomyelitis/Chronic Fatigue Syndrome (ME/CFS): Possible Efficacy Based on a Literature Review.
タイトル和訳: 筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)の治療のための医療ガスとしての水素分子:文献レビューに基づく有効性の可能性
著者名:平野伸一1、市川祐介1,2、佐藤文平1,2、武藤佳恭3,4、佐藤文武1,2
所属: 1 MiZ株式会社、2 MiZ Inc, USA、 3 慶應義塾大学、4 武蔵野大学・データサイエンス学部
掲載誌:Frontiers in Neurology, 2022, 13: 841310
論文URL:https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fneur.2022.841310/full


注3(ミトコンドリア):真核生物の細胞小器官である。二重の生体膜からなり、独自のDNA を持ち、分裂および増殖する。ミトコンドリアDNAはATP合成(エネルギー合成)以外 の生命現象にも関与する他、酸素呼吸の場として知られている。


注4(カナダ合意基準):2003年に作成されたME/CFSの症状を診断するための基準で、中等度や重症の患者さんの症状をよく同定できると言われている。疲労感、労作後の倦怠感、睡眠障害、痛みなどの21の症状を0~3のスコア(評点)で表し、その合計(63点満点)で診断する。


注5(単盲検無作為化試験):治療効果や有効性を確かめるための比較試験の一種で、一般には、医師側は知っていて患者側のみ治療薬の中身を知らされずに行われる試験手法である(逆もあり得る)。


注6(無作為化比較試験):患者を偽薬群と本物群などの2つ以上のグループに無作為(ランダム)に分け、治療薬などの効果を検証する試験方法。医師側も患者側も治療薬の中身を知らされずに行われる方法による試験(二重盲検法による無作為化比較試験)が試験結果のエビデンスレベルが高い試験となる。

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