ガンビア:一時的な死刑執行停止では、不十分
PR TIMES / 2012年9月20日 15時31分
ガンビアのヤヤ・ジャメ大統領が、死刑の執行を一時的に停止した。その結果、少なくとも38人の死刑囚が執行の危機にさらされている。
すべての死刑判決を執行するとした期限が近づいた9月14日の夜、ジャメ大統領は死刑の執行停止を発表した。大統領府からの声明は、「今後のことは、暴力犯罪の発生率にかかっている。発生率が下がれば執行停止は無期限になり、上がれば執行停止は自動的に解除される」というものだった。
大統領が発表した一時的な執行停止は、まったく不十分だ。死刑囚とその家族の不安を和らげるには、死刑を法律で廃止することを視野に入れて執行を永久に停止する必要がある。
死刑囚の家族は、死刑囚に面会も連絡もできていない。
調査では犯罪を抑止する上で、死刑は他の刑罰よりも効力があるというわけではないことがわかっている。さらに、ガンビアの刑事司法制度には大きな欠陥があることは周知のことだ。公正な裁判は保障されず、またすべての人の人権が保護されてもいない。死刑囚の生命を、本人たちがどうすることもできない今後の状況変化に委ねることは、恣意的であり生きる権利の侵害である。
政府は、大統領は憲法と国内法を遵守するとしているが、今までのところ政府が自国の法律を尊重していないことをアムネスティは懸念している。
今こそ国会は、国内の死刑の適用を見直す時だ。憲法にそう規定しているし、それがすでに何年も先延ばしにされてきた。
執行を認めた内務省の声明によれば、8月に処刑された9人のうち少なくとも2人(マラング・ソンコとブバ・ヤルボエ)は、国際基準およびガンビアの憲法に違反して、控訴を認めずに執行された。憲法では、死刑判決を受けた者は全員、最高裁に至るまで上訴する権利がある。
またアムネスティは、ガンビアの司法が政治的圧力を受けていて、強要された「自白」が広く採用されていることも懸念している。死刑の適用に関する他の国際保護規定も守られていない。
アムネスティは、だれが執行され、だれがまだ死刑囚として残っているか、情報を確認する努力を続けている。国内には恐怖感が漂っているため、弁護士など法律家の協力を得ることは極めて困難だ。
ガンビアの刑事司法制度は重大な欠陥があり、不明確でわかりにくい。したがって、死刑囚の弁護士や家族でさえ、個々のケースの法手続きがどこまで進んでいるのかわからない。
アムネスティは、死刑に依存せずに、すべての死刑ケースについて透明性のある見直しをするよう求める。
8月処刑された女性1人男性8人の遺族は、まだ遺体を受けとれず埋葬できていない。遺体がどこにあるかも知らされていない。
執行から3週間が経過しているのに、遺族は区切りをつけられない。国は遺族をさらに苦しめている。残酷で非人道的このうえない。
アムネスティはとりわけ、「人および人民の権利に関するアフリカ委員会」の声明を歓迎し、ガンビア政府がこれ以上死刑を執行しないように、国内・国際機関に要請する。先月の死刑執行は、アフリカの、そして世界の死刑廃止の流れに逆行するものである。
■背景
ガンビア政府によれば、1985年以降、先月まで死刑の執行はなかった。アムネスティの資料では、最後の死刑執行は1981年で、ガンビアは事実上の死刑廃止国と考えられていた。
ジャメ大統領は8月、演説の中で「9月半ばまでに、すべての死刑を判決通りに執行する」と発表した。
8月23日の夜、首都バンジュール近郊のマイル2刑務所から男性8人と女性1人が連れ出され、その直後に銃殺刑に処せられた。
この死刑執行は、死刑囚、家族、弁護士への事前通告なく行われた。国際社会からの強い圧力を受け、政府は8月27日の内務省発表で執行の事実を認めた。
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