埼玉工業大学、再生エネ用の新型蓄電池を開発 太陽光発電とレドックスフロー電池を連動させた電力需給システムの実証実験を開始
PR TIMES / 2020年3月9日 13時15分
埼玉工業大学(本部:埼玉県深谷市、学長:内山俊一、略称:埼工大、https://www.sit.ac.jp/)は、再生可能エネルギーを高い効率で利用する研究・開発として、自然エネルギーの蓄電に適した「レドックスフロー電池」を本学「ものづくり研究センター」に設置し、3月11日より実証実験を開始します。
この実証実験では、ものづくり研究センターに新たに設置したバナジウム系の「レドックスフロー電池」に、学内に設置した太陽光パネルで発電した電力を蓄電し、夜間には放電して館内の照明に使用します。本研究は、ものづくり研究センターのコンセプトである、環境にやさしい自然エネルギーの活用を目指した方針に基づいた研究として学長の主導の下、工学部生命環境化学科 環境計測化学研究室 松浦宏昭准教授の研究チームが、「レドックスフロー電池」の実用化に向けた実証実験を展開します。
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「レドックスフロー電池」は、リチウムイオン電池とは異なる原理により、電池反応に関する部材の劣化がないため、充電や放電を繰り返しても長寿命であり、不燃性の材料によって電池が構成されているので、爆発や発火といった現象が起こらないため、安全性にも優れた特長があります。
また、この電池の容量は、電池本体(セルスタック)を大きくすることなく、電解液タンクに貯める電解液量を増やすことにより電池の大容量化が可能です。
さらに、電解液が各電池セルと電解液タンク間を循環して充電および放電をする仕組みのため、各電池セル間の充電度合いが均一化されて、高負荷の変動への対応にも優れていることから、電力の変動の大きい自然エネルギー用の蓄電池として適しています。
この蓄電池システムが実用化されると電力の地産地消が可能になり、近年、地震や台風・豪雨など自然災害による停電が発生する中、自治体庁舎や避難所などの防災拠点や公共施設、病院など停電が許さない施設等において、災害時の非常用電源としても有効です。
今回、本学に設置した太陽光発電とレドックスフロー電池を連動させた電力需給システムでは、太陽光発電で得られた電力を館内照明用に給電すると同時に、余った電力はレドックスフロー電池に蓄電することができます(上部右図を参照)。また、館内消費の必要量に対して太陽光発電だけでは足りない場合(曇りの日など)は、レドックスフロー電池から自動的に放電を開始し、太陽光発電の電力と合わせて館内照明に給電できるシステムとして稼働します。この両方の動作に効果的に対応するレドックスフロー電池の充電と放電の利用を可能にした実用的な実証実験を実施しています。
本学のものづくり研究センターは、大学創立40周年を記念して2016年に自然エネルギーを活かしたECO研究センターとして建築され、自然エネルギーを有効活用する観点で大学初となる「レドックスフロー電池」の1号機を導入し、検証研究を3年間にわたり実施してきました。この3年間の検証研究成果を基に今回、2号機となる新型のレドックスフロー電池を大韓民国のエネルギー関連企業(HI GROUP Energy & HVAC Co., Ltd.)との共同研究により開発、導入しています。
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●レドックスフロー電池の特長について
「レドックスフロー電池」は、電解液が電池セルと電解液タンクの間を循環する際に充電と放電を行うシステムで、電力貯蔵技術の一種。「レドックスフロー」という名称は、Reduction(還元)とOxidation(酸化)、Flow(流れ)の短縮表現。今回のシステムでは、板状の電池セル40枚を1セットとしたセルスタックを1つ設置して、太陽光パネルで発電した電力を蓄電する。また「レドックスフロー電池」は、高い安全性、高い耐久性、メンテナンスフリー(システム保証が20年以上であり、ランニングコストの大幅削減が可能)などの特長により、再生可能エネルギー受電用の電池として優れている。
埼工大は、工業大学として地球環境の保全に向けた再生可能エネルギーの高効率利用の促進に向けて、社会的ニーズの高い技術を産学官の連携による研究・開発として推進して参ります。
●電池のシステム概要
■蓄電池のスペック
・蓄電池の種類:バナジウム系レドックスフロー電池(VRFB)
・蓄電池規模:5.0 kW-6.6 kWh(戸建1軒分の電力マネージメントを想定)
■充電プロセス
・太陽光パネル系統(公称最大出力3.1 kW)
・電力系統(最大5.0 kW)
上記2系統を切り替えることが可能
■放電プロセス
・ものづくり研究センター館内の各種LED照明に給電(館内スポット照明、間接照明、電池室照明)
●本学ものづくり研究センターについて
学園創立110周年、大学創立40周年の記念事業の一つとして、2016年7月に完成した。モノづくりの発信の場となるような総ガラス張りで開放的な空間を目指した施設で、Light(光)、Wind(風)、Earth(土)の3つの自然エネルギーを最大限に生かしたECO研究センター。
本学の中核的研究開発拠点と位置づけて、環境にやさしい自然エネルギーの開発や次世代自動車の開発プロジェクトが展開されている。
●埼玉工業大学の研究・開発
埼工大は工業大学として、AI(人工知能)人材育成を強化するため、工学部情報システム学科にAI専攻を全国に先駆けて2019年4月に開設するなどAIエンジニアの育成およびAIを活用する人材育成に向けた教育・研究に取り組んでいます。特にAIの応用として自動運転の開発に積極的な大学としても定評があります。
今回は新たに、社会的ニーズの高い、安定的な電力需給の課題を解決する技術に取り組みます。
●関連情報
・生命環境化学科のHP:https://dep.sit.ac.jp/lsgc/
・環境計測化学研究室のHP:https://matsuura-labo.sit.ac.jp/
・ものづくり研究センター:https://www.sit.ac.jp/monodukuri/
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