国境なき医師団がフルブライト賞を受賞――団体として初めて
PR TIMES / 2012年9月10日 18時46分
国境なき医師団(MSF)が、2012年のJ・ウィリアム・フルブライト国際理解賞(フルブライト賞)を受賞した。同賞は、国際理解を深め、人道主義の原則を推進する人びとに贈られる。第1回受賞者は南アフリカ共和国のネルソン・マンデラ元大統領(1993年)で、日本の緒方貞子さん(2002年)も受賞している。授賞式典には、MSFインターナショナル会長のウンニ・カルナカラ医師が出席。また、南スーダンの看護師で“顧みられない病気”などの治療に携わっているフランシス・ガトルアクさんが証言活動を行った。賞金は薬剤耐性結核の治療法の開発にあてる予定。
※フルブライト・アソシエーションのプレスリリース
【フルブライト賞2012は“国境なき医師団”――団体への授賞は初めて】
フルブライト・アソシエーションは、2012年のJ・ウィリアム・フルブライト国際理解賞(フルブライト賞)を、国際的な医療・人道援助団体である国境なき医師団に授与した。
授賞式典は、2012年9月8日にワシントンD.C.で開催したMSFインターナショナル会長であるウンニ・カルナカラ医師に賞金5万ドル(約390万円)を贈呈し、カルナカラ医師が記念講演を行った。また、賞の授与に先駆け、米国のNPO「トリートメント・アクション・グループ」のエグゼクティブ・ディレクターであるマーク・ハリントン氏がMSFに賛辞を贈った。
さらに、式典では南スーダンの看護師であるフランシス・ガトルアクさんが証言活動を行った。ガトルアクさんは、“顧みられない病気”と呼ばれる致命的な病気「カラアザール」(内臓リーシュマニア症)の治療をMSFから受けた最初の患者の1人。回復後は看護師としてMSFの活動に加わり、祖国で20年余りにわたり、カラアザールと結核の治療に携わっている。
フルブライト・アソシエーションのパトリシア・クレブズ会長は「団体への授賞は今回が初めてです。MSFは、フルブライト・アソシエーション国際選考委員会において、満場一致で授賞の第一候補に挙がりました。両団体には、国際理解と人道主義の原則を推進するという共通の目標があるからです」と述べている。
第1回のフルブライト賞は1993年、南アフリカ共和国のネルソン・マンデラ元大統領に贈られた。マンデラ元大統領はその後、ノーベル平和賞を受賞している。その他のフルブライト受賞者も、3人がのちにノーベル賞を受賞した。MSFも1999年のノーベル平和賞受賞者だ。
カルナカラ医師は「フルブライト賞は、2万7000人のMSFスタッフの尽力が認められた証です。スタッフの中にはフルブライト奨学生もいます。保健医療の荒廃や紛争に立ち向かい、患者の治療だけでなく、忘れ去られ、顧みられない人びとが抱える医療ニーズの周知を押し進めています。特定の個人ではなく団体として受賞することは、MSFの精神と情熱を映し出し、ふさわしいと言えます」と述べている。
フルブライト・アソシエーションは、フルブライト・プログラムから研究・教育・その他事業で奨学金を受給した同窓生による米国の団体。同プログラムは設立から66年を数え、米国政府の助成も受けている国際教育交換プログラムだ。学習と国際協力を通じ、相互理解を深め、リーダーシップの育成を進めることを目標としている。1946年以来、30万人以上が参加し、米国をはじめ155ヵ国で学習・教育・研究調査の機会を提供されている。およそ8000件の奨学金が毎年、学生・教育者・研究者・芸術家・科学者・各種専門家や、その受け入れ先機関に提供されている。
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