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【調査報告】医療DX当事者ヒアリング調査報告「医療のDX時代を迎え生きる当事者たち」(2024年6月10日)

PR TIMES / 2024年6月10日 10時45分

当事者目線で医療DXを捉え、真に国民の利益に資する保健医療システムを検討するため、当事者へのヒアリング調査を実施しまとめました。

本調査は当事者が日常的に抱えている課題や困り事、不安に焦点を当て、それを元に医療DXへの期待や不安を明らかにすることにより、対策を促し、当事者の生活がより豊かになることを目指した報告書となっております。医療DXに関わる方々が本調査報告書を読み、医療DX推進が何を目的に行われているのか、具体的にイメージしていただけることを期待しております。



特定非営利活動法人日本医療政策機構(HGPI: Health and Global Policy Institute)(事務局:東京都千代田区、代表理事:黒川清)は、医療DX当事者ヒアリング調査報告「医療のDX時代を迎え生きる当事者たち」を公表いたしました。

[画像1: https://prtimes.jp/i/7152/32/resize/d7152-32-a59cfadff7cdfff5d152-0.png ]


日本における近年の医療DX推進への取組は、2022年政府の掲げる骨太の方針に明確に記載され、同年10月に「医療DX令和ビジョン2030」の提言をもとに「医療DX推進本部」が設立されたことが中心にあります。その後、厚生労働省、総務省、経済産業省、デジタル庁を中心に関係省庁が連携し、「全国医療情報プラットフォーム」の創設、電子カルテの標準化、診療報酬改定等、医療DX推進に関する工程表のもと取組が進められています。一方で、医療DXは医療消費者や医療提供者が生産的かつ透明性高く健康を維持し提供していくうえでの重要な手段であるものの、ゴールそのものではありません。国民に支持され信頼され得る、持続可能な保健医療システムの構築が本来のゴールであり、医療DXはそれを下支えする構造にあります。

単なる医療のデジタル化やDXを進めること自体がゴールとならないよう、日本医療政策機構では、医療DXに関する課題を国民目線で捉える試みとして、有識者を集めたエキスパートパネル会合を開催し、【医療DXが目指すべきビジョン】【ビジョン達成に向けた3つの目標】を設定いたしました。

【医療DXが目指すべきビジョン】
“個人データの社会的な利活用が進むことで、個人および国民全体にメリットがもたらされる医療DXを目指す”
【ビジョン達成に向けた3つの目標】
目標1:健康課題に対する国民主体的な自己決定の促進

目標2:市民・患者一人一人がメリットを享受し満足できる持続可能な保健医療システムの構築

目標3:イノベーションの促進と差別等への適切な対応が担保されたデータ利活用システムの実現


参考: https://hgpi.org/research/dx-20231026.html

他方、医療DXは、国民の保健医療に関連する体験を豊かにするためのものであり、国民が期待する未来に向けて推進する必要があります。本調査報告書では、国民のなかでも特に医療DXによる変化を直接的に受ける、患者・当事者と呼ばれる人々にとっての医療DXを整理しました。当事者が抱く現状の困り事を軸に医療DXへの期待や不安を抽出・整理することで、当事者が描く具体的な“医療DXのある未来”を明らかにしております。


<当事者の現状と医療DXへの期待のまとめ>
当事者は疾患にかかり、あるいは家族に変化が起こることで、直後より自己理解や自己決定に困難を感じ、治療や生活を自己選択できるだけの知識や能力が必要と感じていました。また、疾患の治療・治癒に関わらず、物事を考えるときの基盤は「生活」にあり、生活を基盤とした医療との繋がりや、コミュニケーションの円滑化、効率的な時間の活用につながる医療体験の変容が、これからの時代に重要であることが示されました。医療DXによって、このような課題や困難感が解決されることに期待を寄せていました。

<当事者が抱く医療DXへの不安のまとめ>
当事者たちは、情報のデジタル化や共有に伴い、自身または家族が不利益を被る恐れがあることに不安を感じていました。また、医療DXは、政府が主導しているというイメージが強い一方、過去のDX関連の失敗例などの印象も強く、デジタル化に伴うデータ管理に国が関わることそのものへの不安もあります。加えて、DXによるメリットを感じられないことが、国民の医療DXへの参画を消極的にさせていることもあげられました。

<本調査報告の活用にむけて>
医療DXを推進している人々にとって本調査報告書は、患者・当事者が見ている医療DXについて、リアルな現状を伝えてくれます。今後、医療DXを進めるにあたって、当事者にとっての現状と期待、そして不安などを十分に意識し、患者・当事者と対話をしながら、医療DXが推進されていくことを望みます。


このようなまとめに至るまで、ヒアリング参加者は以下のような語りを提供してくれました。

■大動脈解離・脳梗塞当事者(Bさん|60才代・男性|東京都在住)
“医療って非常に広い話だと思うんですよね。その病院で治療を受けることも医療だし、日々生活をして治療をやっていくっていうのも医療だし。生活と医療はかけ離れてるものじゃなくて、密接に関係するんだと思います。病院の治療が終わったら、今度は自宅で生活するわけですから。それって連続性がやっぱりないといけないと思いますし。だから、あんまり切り離しては考えられない。そこに、デジタル化が進めば、その切れ目が少しでも縮まるというか、シームレスになるんじゃないかなっていう風に思います。”



■慢性腎臓病当事者(Gさん|50才代・女性|福岡県在住)
“例えばデジタルで毎日の検査数値が、―中略―ちょっと手にセンサー当てるだけで記録できれば、どんどん(生活の)判断基準が出てきて、今だったら(次の検査までの)2ヶ月ずっと無理したり、逆に油断していたのが、1日や2日で済んだり、なんかそういう風になるといいのかなと思っています。そうすると、今は言葉で説明できない倦怠感みたいなものとかも、もしかしたら何か説明できるようになるのかもしれない。(生活する上での食事や運動といった健康行動の基準を)昨日の基準で今日をまた決められる、決めることができるというのは非常に重要だと思います。”



■なお、本調査結果などを踏まえて、当機構リサーチフェローの藤田卓仙(東京財団政策研究所 主席研究員/慶應義塾大学 医学部医療政策・管理学教室 特任准教授)氏は以下のようにコメントしています。
[画像2: https://prtimes.jp/i/7152/32/resize/d7152-32-ecf3ab066a4e4f9edd18-3.jpg ]

”2022年より、骨太の方針に医療DXに関する事柄が明確に盛り込まれ、内閣に医療DX推進本部が設置されました。2023年に同本部で策定した工程表に基づいた医療DXの取組が進められるなか、国民とのコミュニケーションが足りず、十分な理解が得られないままに、マイナ保険証の突合ミスといった負の側面が大々的に報じられてしまいました。武見厚生労働大臣も国民が一番身近に接するマイナ保険証の利用促進などを重要事項として発言しており、真に国民が医療DXによる利益を享受できるよう、2024年の骨太の方針でもさらに国民の意見を取り入れた医療DXの実現を盛り込む必要があります。日本医療政策機構の取りまとめた「医療のDX時代を迎え生きる当事者たち」は、多様な当事者の目線で語られた医療DXが記載されており、国民目線の医療DXを検討する上で非常に有益です。骨太の方針検討において政策立案関係者各位に本資料をご覧いただくだけでなく、医療DXはすべての国民にかかわることですので、ぜひそれぞれのお立場からご参照いただき、多様な社会を生きる国民にとって日本の保健医療制度がより良いものになることを願っております。”



■また、本調査結果などを踏まえて、本プロジェクトエキスパート・パネル・メンバーである桜井なおみ(キャンサー・ソリューションズ株式会社 代表取締役社長/一般社団法人全国がん患者団体連合会 理事/規制改革推進会議 専門委員)氏は以下のようにコメントしています。
[画像3: https://prtimes.jp/i/7152/32/resize/d7152-32-b634c0dfcc2c5445343b-1.png ]

“日本政府が「医療DX」という言葉を使用する際には、医療情報を共有するプラットフォームを作ることや、医療機関と公的機関や福祉施設などの各種保健医療データを繋ぐ、いわゆる電子健康記録(EHR: Electric Health Record)を整備していくことを指していることが多いように思います。しかし、日本医療政策機構による「医療のDX時代を迎える当事者」からは、患者・当事者は個々人の生活や医療体験に影響する、個人の健康記録であるパーソナルヘルスレコード(PHR: Personal Health Record)に主眼があることがわかりました。この認識のギャップが、国民や当事者にとって医療DXが「わかりづらい」や「伝わらない」などといった要因になっていると思います。私も参加した同機構の医療DXエキスパートパネル会合の論点整理では、「医療DXの目指すべきビジョン」として“個人データの社会的な利活用が進むことで、個人および国民全体にメリットがもたらされる医療DXを目指す”ことが明記されています。EHR整備のためには、PHRの積極的な提供と活用が不可欠です。一人ひとりが協力することで医療DXが完成することを意識することが大切です。また、国や行政には、医療DXが具体的にどのような患者・当事者・国民の生活をより快適なものに、そして直接・間接的に変えてくれるのか、今回の報告書などを活用して、議論を深め、発信していただくことに期待しています。私も、参画している規制改革会議などのなかで、当事者の生の声を積極的に発信し、皆が期待する医療DXを目指し取り組んで行きたいと思います。”




■さらに、当機構理事の津川友介(カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)医学部(内科)・公衆衛生大学院(医療政策学)准教授/規制改革推進会議 委員)氏も以下のようにコメントをしております。
[画像4: https://prtimes.jp/i/7152/32/resize/d7152-32-f749916f38240e87c973-2.jpg ]

“日本において医療DXは、医療DX推進本部が執り行っている「医療DX令和ビジョン2030」を始めとし、メディアでも多く取り扱われています。しかし、総じて国民の意見として医療DXは、「よくわからない」とまとめられてしまいます。今回、日本医療政策機構が取りまとめた「医療のDX時代を迎え生きる当事者たち」は、様々なバックグランドをもつ当事者が現在の日本の保健医療制度のもと抱いている困り毎がまとめられ、当事者がイメージする、医療DXにより変わる未来が描かれています。これは、真に国民が求める保健医療制度のあり方を指しているといえます。加えて、セキュリティの問題やDXに伴い考えられる不利益といった、負の側面もまとめられており、国民が医療DXに求める正の側面とその実現のために必要な課題も同時に示されています。医療DXにより訪れる豊かな未来を国民が安心・安全に迎えられるためにも、今回の資料が規制改革会議等で活用され、国民目線の保健医療政策実現の一助となることを期待しております。”



日本医療政策機構では、医療DX推進に向けて、医療政策における活動を続けて参ります。

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